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第 8 章 公開 BGP 経路情報のデータベース化手法

8.2 既存手法

本節では,BGP経路の格納方法,公開BGP経路を用いた解析手法とその課題について 述べる.BGP経路は,図 8-1に示すMRT (MRT: Multi-threaded Routing Toolkit)[47]

と呼ばれる汎用形式のファイルに格納される.形式として,RIB (Routing Information

Base),UPDATEの2種類が規定されており,それぞれ,ある時刻の全てのBGP経路,

一定時間内に発生した BGP 経路の変動の時系列情報が格納される.いずれも,共通形式 と な る ヘ ッ ダ 部 分 と , 独 自 形 式 と な る ボ デ ィ 部 分 で 構 成 さ れ る .RIB の”Peer IP address”,”Peer AS”,UPDATEの”Source IP address”,”Source AS number”は,複数 の観測点からのBGP経路を識別するために使用される.BGP経路が有効になった時刻は,

RIB についてはボディ部分の”Originated Time”,UPDATE についてはヘッダ部分 の”Timestamp”に格納される.RIBの”BGP Attribute…”,UPDATEの”BGP Message…”

には,ASパス等のBGP経路の属性が格納され,そのフォーマットはBGPの仕様[15]と

して規定されている.

公開BGP経路を用いた解析モデルを図 8-2に示す.経路提供プロジェクトが持つBGP 経路サーバは,数十の観測点と BGP 接続し,BGP 経路を収集している.例えば,

RouteViewsプロジェクトのオレゴンサーバ (route-views2.oregon-ix.net) は,2007年5 月現在,41のサービスプロバイダ(AS番号で識別)に存在する67個の観測点からBGP 経路を収集している.本サーバは,RIB,UPDATEのファイルを,それぞれ 2 時間,15 分毎に生成している.本プロジェクトは,2001年10月より継続的にBGP経路の収集を 行っており,利用者はwebベースでRIB/UPDATEファイルをダウンロード可能である.

顧客にインターネット接続障害の調査を報告する運用者が主な利用者であると考える.

これらの BGP 経路は研究用途として活用されているものの,ネットワーク運用に利用 するには以下の点が課題となる.一点目は,運用者が最終的に必要とする,ある時刻,あ るアドレスのBGP経路を得るまでの工程に時間を要することである.RIB/UPDATEファ イルは一定時間(数十分)毎に作成されるため,web上でダウンロード可能となるまでに 最悪値としてその数十分を要する.さらに,ファイルのダウンロード時間,解析時間を加 える必要がある.RIB/UPDATE ファイルは,解析の高速化を考慮して設計されていない ため,経路数が多い場合,解析にも時間を要する.

二点目は,BGP経路サーバ周りの性能に関する問題である.複数の運用者が同時にファ イルのダウンロードを行った場合,サーバおよびサーバ付近のネットワークの負荷が増大 する.現在の手法では,新サーバの設置やネットワークの増強が必要となる.

図 8-1 MRTフォーマット

図 8-2 既存手法 – BGP経路サーバ