第4章 環境保全計画
第4節 他施設の設定事例
他施設の公害防止条件を以下に整理する。
「既存施設の設定事例」,「周辺施設の設定事例」,「全国の焼却施設の設定事例」,以上 の 3 つの条件についてそれぞれ抽出を行った。
4.1 既存施設と三重県内の施設における公害防止条件
既存施設と三重県内の焼却施設における公害防止条件を表 4-7にまとめる。
周辺施設においては三重県内の比較的竣工年が新しいものを抽出した。
表 4-7 周辺施設の設定事例 施設名 RDF 化施設※1
三重ごみ 固形燃料 発電所※2
伊賀南部クリ ーンセンター※
3
四日市市 新総合ごみ処
理施設※4
松阪市ごみ処 理基盤施設※5 施設規模(t/日) 230(3 系列) 240(2 炉) 95(2 炉) 336(3 炉) 200(2 炉)
竣工年月 2003 年 3 月 2002 年 12 月 2009 年 2 月 2016 年 4 月
(予定)
2015 年 3 月
(予定)
焼却装置型式 その他
(RDF 化)
その他(RDF 焼却・発電)
流動床式 ガス化溶融炉
シャフト炉式
ガス化溶融炉 ストーカ式
排 ガ ス
ばいじん 0.01g/Nm3以 下
0.003g/Nm³以 下
0.01g/Nm³以 下
0.01g/Nm3以 下
0.01g/Nm3以 下 硫黄酸化物 10ppm 以下 1ppm 以下 50ppm 以下 20ppm 以下 50ppm 以下 窒素酸化物 50ppm 以下 74ppm 以下 100ppm 以下 50ppm 以下 50ppm 以下
塩化水素 30ppm 以下
65mg/Nm3以 下(≒40ppm
以下)
50ppm 以下 30ppm 以下 100ppm 以下 ダイオキシン類
0.1ng-TEQ/Nm³
0.1ng-TEQ/Nm³
0.1ng-TEQ/Nm³
0.05ng-TEQ/Nm³
0.1ng-TEQ/Nm³ 排
水
プラント排水 施設内再利用 施設内再利用 施設内再利用 施設内再利用 施設内再利用
生活排水 浄化槽・
河川放流
浄化槽・
河川放流 施設内再利用 浄化槽・
側溝放流 施設内再利用
騒 音
昼間(8 時-19
時) 60dB 以下 60dB 以下 - 60dB 以下 55dB 以下
朝・夕(6 時-8 時 及び 19 時-22
時)
55dB 以下 55dB 以下 - 55dB 以下 50dB 以下 夜間(22 時-6
時) 50dB 以下 50dB 以下 - 50dB 以下 45dB 以下
振 動
昼間(8 時-19
時) 65dB 以下 60dB 以下 - 65dB 以下 60dB 以下
夜間(19 時-8
時) 60dB 以下 50dB 以下 - 60dB 以下 55dB 以下
4-10 悪
臭
アンモニア 1ppm 1ppm - 1ppm 1ppm
メチルメルカプタン 0.002ppm 0.002ppm - 0.002ppm 0.002ppm
硫化水素 0.02ppm 0.02ppm - 0.02ppm 0.02ppm
硫化メチル 0.01ppm 0.01ppm - 0.01ppm 0.01ppm 二硫化メチル 0.009ppm 0.009ppm - 0.009ppm 0.009ppm トリメチルアミン 0.005ppm 0.005ppm - 0.005ppm 0.005ppm アセトアルデヒド 0.05ppm 0.05ppm - 0.05ppm 0.05ppm プロピオンアルデヒド 0.05ppm 0.05ppm - 0.05ppm 0.05ppm ノルマルブチルアルデヒド 0.009ppm 0.009ppm - 0.009ppm 0.009ppm イソブチルアルデヒド 0.02ppm 0.02ppm - 0.02ppm 0.02ppm ノルマルバレルアルデヒド 0.009ppm 0.009ppm - 0.009ppm 0.009ppm イソバレルアルデヒド 0.003ppm 0.003ppm - 0.003ppm 0.003ppm
イソブタノール 0.9ppm 0.9ppm - 0.9ppm 0.9ppm
酢酸エチル 3ppm 3ppm - 3ppm 3ppm
メチルイソブチルケトン 1ppm 1ppm - 1ppm 1ppm
トルエン 10ppm 10ppm - 10ppm 10ppm
スチレン 0.4ppm 0.4ppm - 0.4ppm 0.4ppm
キシレン 1ppm 1ppm - 1ppm 1ppm
プロピオン酸 0.03ppm 0.03ppm - 0.03ppm 0.03ppm ノルマル酪酸 0.001ppm 0.001ppm - 0.001ppm 0.001ppm ノルマル吉草酸 0.0009ppm 0.0009ppm - 0.0009ppm 0.0009ppm
イソ吉草酸 0.001ppm 0.001ppm - 0.001ppm 0.001ppm
出典)※1RDF 化施設発注仕様書
※2 三重ごみ固形燃料発電所 維持管理計画
※3 伊賀南部クリーンセンター パンフレット
※4 四日市市新総合ごみ処理施設整備・運営事業 要求水準書
※5 松阪市ごみ処理基盤施設整備事業 建設基準仕様書
4-11
4.2 全国の施設規模が類似する施設における公害防止条件
(1) 抽出条件
下記の条件にて,ごみ処理施設台帳より抽出を行った。抽出結果を表 4-8に示す。
【抽出条件】
下記条件を全て満たす施設を抽出した。
・施設規模 124t/日~224t/日の施設
・全連続燃焼方式の施設
・2002 年 12 月以降竣工(ダイオキシン類対策特別措置法により)
・焼却方式がストーカ方式(灰の外部資源化委託,灰溶融)
シャフト炉式ガス化溶融炉方式,流動床式ガス化溶融炉方式のいずれかであるもの
4-12
表 4-8 他施設の抽出結果
※ハッチング無…1 時間 1 炉あたりの処理能力が 2t 以上・4t 未満の施設 ハッチング有…1 時間 1 炉あたりの処理能力が 4t 以上の施設
1.都市組合名 2.施設名称
ばいじん HCl NOx ダイオキシン類
設計出口 設計出口 設計出口 K値 設計出口 設計排出濃度
最大濃度 最大濃度 最大濃度 最大濃度
(t/炉・日) (炉) (t/日) (t/炉・時) (g/Nm3以下) (ppm以下) (ppm以下) (ppm以下) (ng-TEQ/Nm3以下)
1中濃地域広域行政事務組合 クリーンプラザ中濃 2003 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 56 3 168 2.3 0.01 50 20 50 0.05
2中部清掃組合 日野清掃センター 2007 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 60 3 180 2.5 0.01 10 10 20 0.01
3八街市 八街市クリーンセンター 2003 9 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 62.5 2 125 2.6 0.01 50 20 0.1 100 0.1
4佐野市 みかもクリーンセンター(ごみ焼却処理施設) 2007 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 64 2 128 2.7 0.01 43 30 7 50 0.05
5各務原市 各務原市北清掃センター 2003 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 64 3 192 2.7 0.01 50 20 50 0.1
6豊川宝飯衛生組合 清掃工場 (5・6号炉) 2003 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 65 2 130 2.7 0.02 40 20 8.7 30 0.01
7日光市 日光市クリーンセンター 2010 7 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 67.5 2 135 2.8 0.01 43 30 14.5 50 0.05
8袋井市森町広域行政組合 中遠クリーンセンター 2008 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 66 2 132 2.8 0.01 40 20 17.5 30 0.05
9宇部市 宇部市環境保全センター 2003 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 66 3 198 2.8 0.01 20 10 0.05 50 0.05
10新居浜市 新居浜市清掃センター 2003 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 67 3 201 2.8 0.02 50 30 50 0.1
11那須塩原市 那須塩原クリーンセンター 2009 5 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 70 2 140 2.9 0.02 43 30 17.5 50 0.05
12流山市 流山市クリーンセンター 2004 2 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 69 3 207 2.9 0.005 10 10 9 30 0.01
13(財)茨城県環境保全事業団 エコフロンティアかさま 2005 10 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 72.5 2 145 3 0.01 100 100 13 100 0.1
14岩手県沿岸南部広域環境組合 岩手県沿岸南部クリーンセンター 2011 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 73.5 2 147 3.1 0.02 80 50 100 0.1
15島田市 田代環境プラザ 2006 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 74 2 148 3.1 0.02 40 20 17.5 50 0.05
16盛岡・紫波地区環境施設組合 ごみ焼却施設 2003 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 80 2 160 3.3 0.01 50 30 17.5 100 0.01
17三条市 三条市新ごみ処理施設 2012 6 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 80 2 160 3.3 0.02 50 30 100 0.1
18石川北部アール・ディ・エフ広域処理組合 石川北部RDFセンター 2003 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 80 2 160 3.3 0.01 18 1 17.5 45 0.01
19玄界環境組合 宗像清掃工場(ECOパーク宗像) 2003 6 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 80 2 160 3.3 0.01 50 50 50 0.1
20富士吉田市 富士吉田市環境美化センター ごみ処理施設 2003 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 85 2 170 3.5 0.02 50 20 80 0.05
21多治見市 多治見三の倉センター 2003 3 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 85 2 170 3.5 0.01 50 50 50 0.05
22中部北環境施設組合 美島環境クリーンセンター ごみ溶融施設 2004 9 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 83 2 166 3.5 0.01 50 50 50 0.1
23高砂市 美化センター 2003 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 97 2 194 4 0.02 50 50 50 0.05
24北しりべし廃棄物処理広域連合 北しりべし広域クリーンセンター 2007 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 98.5 2 197 4.1 0.02 50 50 8 100 0.1
25秦野市伊勢原市環境衛生組合 クリーンセンター建設工事(熱回収施設) 2012 9 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 100 2 200 4.2 0.01 30 30 11.7 50 0.05
26さしま環境管理事務組合 さしまクリーンセンター寺久 2008 3 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 103 2 206 4.3 0.01 10 10 13 50 0.01
27出雲市 出雲エネルギーセンター 2003 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 109 2 218 4.5 0.01 43 50 50 0.01
28延岡市 延岡市清掃工場 2009 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 109 2 218 4.5 0.005 50 50 8.76 50 0.05
29福島市 あらかわクリーンセンター 2008 8 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 110 2 220 4.6 0.01 50 50 0.5 70 0.1
30磐田市 (仮称)磐田市新クリーンセンター 2011 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 112 2 224 4.7 0.01 45 20 50 0.01
31藤沢市 北部環境事業所 (1号炉) 2007 3 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 150 1 150 6.3 0.01 25 25 50 0.1
名称 施設名称 年 月
焼 却
炉 炉数
3.竣工 4.燃焼装置型式 6.排ガス
焼却炉
5.焼却能力
炉あたり
No
SOx
ス ト ー カ 式
流 動 床 式
回 転 燃 焼 式
そ の 他
シ ャ フ ト 炉 式
キ ル ン 式
流 動 床 式
そ の 他
施設規模 ガ
ス 化 溶 融 炉
ガス化溶融炉 そ の 他 重量
4-13 4.3 他施設基準値との確認
(1) ばいじん
ばいじんの基準値と施設数の関係を図 4-2に示す。ばいじんの法規制値は,施設 の処理能力(1 時間・1 炉あたり)によって異なり,本施設の施設規模である 2t 以上 4t 未満の場合は 0.08g/Nm3以下である。抽出結果のうち,処理能力が 1 時間 1 炉あた り 2t 以上 4t 未満の施設において,設定事例が多いのは 0.01 g/Nm3以下(14 件)で あった。
図 4-2 ばいじん基準値と施設数の関係
(2) 硫黄酸化物(SOx)
図 4-3は硫黄酸化物の基準値と施設数の関係を示しているが,硫黄酸化物の排 出基準は地域ごとに定められる K 値で規制されており,濃度では設定されていない。
よって図 4-3は参考として示す。抽出結果のうち,設定事例が多いのは 50ppm 以下
(9 件),20ppm 以下(8 件)であった。
図 4-3 硫黄酸化物基準値と他施設の関係 1
14
7
0 2 4 6 8 10 12 14 16
0.005 0.01 0.02
施設数
基準値(g/Nm3)
ばいじん基準値と施設数の関係
1
4
8
1
7
9
1 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1 10 20 25 30 50 100
施設数
基準値(ppm)
硫黄酸化物基準値と施設数の関係
4-14
(3) 窒素酸化物(NOX)
窒素酸化物の基準値と施設数の関係を図 4-4に示す。窒素酸化物の法規制値は 250ppm 以下である。抽出結果のうち,設定事例が多いのは 50ppm 以下(18 件)であ った。
図 4-4 窒素酸化物基準値と施設数の関係
(4) 塩化水素(HCl)
塩化水素の基準値と施設数の関係を図 4-5に示す。塩化水素の法規制値は 700mg/Nm3(≒430ppm)以下である。抽出結果のうち,設定事例が多いのは 50ppm 以 下(14 件)であった。
図 4-5 塩化水素基準値と施設数の関係 1
3
1
18
1 1
6
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
20 30 45 50 70 80 100
施設数
基準値(ppm)
窒素酸化物基準値と施設数の関係
3
1 1 1 1
3 4
1 14
1 1
0 2 4 6 8 10 12 14 16
10 18 20 25 30 40 43 45 50 80 100
施設数
基準値(ppm)
塩化水素基準値と施設数の関係
4-15
(5) ダイオキシン類
ダイオキシン類の基準値と施設数の関係を図 4-6に示す。ダイオキシン類の法 規制値は,施設の処理能力(1 時間・1 炉あたり)によって異なり,本施設の施設規模 である 2t 以上 4t 未満の場合は 1ng-TEQ/Nm3以下である。抽出結果のうち,処理能力 が 1 時間 1 炉あたり 2t 以上 4t 未満の施設において,設定事例が多いのは,0.05ng-TEQ/Nm3以下(9 件),0.1ng-TEQ/Nm3以下(8 件)であった。
図 4-6 ダイオキシン類基準値と施設数の関係 5
9
8
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0.01 0.05 0.1
施設数
基準値(ng‐TEQ/Nm3)
ダイオキシン類基準値と施設数の関係
4-16