4. 新規 MICE 施設整備の基本方針
4.3. 施設整備の各種要件について
前述の MICE 施設の設計方針に加えて、主要施設の配置や構成、その他各種要件につい て以下に整理する。
4.3.1. 施設規模、配置、参加者動線・搬入動線
4.3.2. 多目的ホールの床面と各種の供給方式
4.3.3. 展示場の各種設備
4.3.4. 多目的ホール、展示場の天井高
4.3.5. 多目的ホール、展示場の分割形式
4.3.6. 中小会議室の各室のサイズ割り
4.3.7. 音響/照明設備の水準
4.3.8. 施設内に必要な飲食、物販施設
4.3.9. 厨房設備の規模、機能
4.3.10. 施設全体のデザインコンセプトの方向性
4.3.11. 駐車場の必要台数
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4.3.1. 施設規模、配置、参加者動線・搬入動線
施設配置、構成のパターンとして、大きく下記の3パターンが考えられる。
各パターンの整理
パターン 展示場規模 多目的ホール・展示場の配置 特徴
① 20,000㎡ 2施設を分離して整備
展示場単体で最大収容20,000人を達成 可能
必要な敷地面積の関係から建設候補地 が制限される可能性
②
10,000㎡
隣 接 さ せ 可 動 壁 で 仕 切 り 、 必 要 に 応 じ て 両 施 設 を 一 体 利用
多目的ホールと展示場を必要に応じて 一体的に利用し20,000人収容を達成 2施設が隣接しているため、片方で学 会、片方で展示会の設営といった場合に 音漏れが問題となる可能性が高い 必要な敷地面積はパターン①の場合と 比べて少なくなる
③ 2施設を分離して整備
展示場単体で最大収容20,000人は達成 不可
必要な敷地面積はパターン①の場合と 比べて少なくなる
需要予測における最大規模の需要である2万人規模のコンサートや集会利用時に必要 となる収容人数2万人を達成するためにはパターン①、あるいは②が必要となる。た だし、パターン②については多目的ホールと展示場で異なる催事を同時開催する際の 音漏れや、技術的観点から整備の実現性に課題が残る。
また、パターン③では最大収容人数が1万人に制限される。
35 パターン①
パターン②
36 パターン③
<方針>
最大収容2万人を達成するためにはパターン①、あるいは②とする必要がある。
パターン②では多目的ホールと展示場を異なる催事で同時に利用することが音漏れ等 の観点より難しい。
そのため、パターン①の採用が望ましい。
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4.3.2. 多目的ホールの床面と各種の供給方式
• 多目的ホールは主な利用方法として、国内・国際会議等の大規模会議やレセプションが想 定されるが、この際は、一定程度の高級感を演出するために床面をカーペット床とするこ とが望ましい。
• 一方で、多目的ホールは展示会の際のサブ会場として利用されることも想定され、展示用 設備として電力に加えて給排水設備も含めた供給を行う場合は床面にピットを備えてい ることが望ましい。ただし、この場合の床面はコンクリートであることが一般的である(コ ンクリート床面の場合はアンカーボルトの打設も可能)。
• また、コンクリート床面でも、着脱式のカーペットを敷設する方式とすることで、会議や レセプション主催者のニーズを満たすことは可能と考えらえる。ただし、カーペットの着 脱にはその都度一定の費用が必要となり、主催者の負担増に繋がる恐れがある。
• 一部の施設については、カーペット床にマンホール形式の電力供給口を備えているケース や、天井からの配線によって電力供給を行っているケースも見られる。ただし、床面ピッ トと比べて展示会に伴う各種ブース施工の自由度は限定されると考えられる。
図表 多目的ホールの床面方式
床面方式 メリット デメリット
カーペット床 学会やレセプション等に求められ る一定程度の高級感を演出可能
床面ピットの整備は困難、またアン カーボルトやドリルは使用不可 コンクリート床 展示会開催用に床面ピットの整備
やアンカーボルトの打設が可能
学 会 や レ セ プ シ ョ ン の 主 催 者 ニ ー ズ を 満 た す こ と の で き な い 恐 れ が ある
コンクリート床 に着脱式カーペット
カーペットの着脱によって展示会 主催者、学会やレセプション主催 者の双方のニーズに対応可能
カ ー ペ ッ ト の 着 脱 に は そ の 都 度 一 定程度の費用が発生し、主催者負担 の増加に繋がる
<方針>
様々な主催者へのニーズを満たすことを重視するならばコンクリート床に着脱式のカ ーペットの敷設が有望である。一方で、カーペットの着脱には一定の費用が発生し、
主催者負担増加に繋がり、結果的に施設の誘致競争力を低下させる恐れもある。
また、アンカーボルトの打設が必要な重量物の展示は全国的にも開催数が限定されて いる他、本 MICE施設構想においては、展示場も別途整備を行うことから、多目的ホ ールをコンクリート床面として利用する機会は少ないと考えられる。
上記より多目的ホールは常設カーペットとすることが望ましいと考えられる。
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4.3.3. 展示場の各種設備
展示場は主な利用方法としては展示会に加えて、コンサートやスポーツイベントが考 えられるが、展示会利用を主に考えた場合と、コンサートやスポーツイベント利用を 主に考えた場合では、必要とされる設備が異なる。
展示会利用を主とする場合は、昨年検討された床面荷重や天井高やピット等、展示場 としての一定水準を備えていればよいと思われる。
一方、コンサートやスポーツイベントを開催する場合には、吊り点の確保、参加者の 滞留スペースの確保、引き出し式の可動席といった設備が求められる。開催頻度が高 い場合には、これらをはじめから備えた施設とすることも案として考えられる。
図表 展示場でコンサートを開催するに求められる性能・設備例
対応・設備例 概要
音響性能 一般的なコンサート会場では残響音への配慮から施設形状の壁や天井 の素材が選定されている。
一方、通常の展示場では、そういった配慮がなされていないために、
壁面にカーテンを設置することにより音響反射を抑制するといった対 応が必要となる。
施設の形状 展示場の形状があまりに横長の場合、ステージの設置場所や客席の配 置が制限される。(コンサート会場としての理想的な縦横比は3:4、た だし、展示会等の利用では複数に会場を区切れるような横長の形状が 望ましい)
吊り点の確保 コンサートやスポーツイベント開催のためには垂れ幕や照明器具、ス ピーカーを吊るための吊物装置が必要となる。
引き出し式の 可動席
大規模コンサートやスポーツイベント開催時の大量の客席を全て仮設 席で対応する場合、準備や撤収に非常に手間がかかるため、スライド 式の可動席の設置が望ましい。
基 礎 ス テ ー ジ 用 の機材
ステージの基礎部分の設営材料は、どのようなコンサートでも利用さ れるため、施設側で持っておくケースが多い。
滞留スペース コンサートやスポーツイベントでは展示会と比較して参加者の入退場 がある時間に集中するために、ホワイエを幅広く確保するなど、入退 場前の滞留スペースに配慮する必要がある。
また、コンサートやスポーツイベントでは、チケット収入の他に物販 による収入が運営上重要であり、物販スペースの確保が重要である。
ホワイエ等のスペースを広くとることでこのニーズに対応することが 必要である。
トイレ数の確保 滞留スペースの場合と同様に、参加者の入退場が集中するため、それ に対応できるようなトイレの数が必要となる。また、この際、参加者 の男女比に併せて可動式の壁で男女のトイレ数を変更できる設備(リ バーストイレ)の導入が望ましい。
<方針>
需要推計においては、新規 MICE施設の需要のうちコンサートの占める割合は高いと 予想されることから、当初よりコンサート利用を想定した、性能、設備を備えた展示
39 場とすることが望ましいと考えられる。
ただし、前述の性能・設備例のうち、音響性能についてはコンサート対応とすること により生じるコストとメリットの関係について引き続き検証が必要である。
また、施設形状については、建設地の用地形状にも左右されるが、展示会等の利用に おいて複数に会場を区切れることを重視し、横長の形状とする。
4.3.4. 多目的ホール、展示場の天井高
平成24年度調査において、多目的ホールおよび展示場の床面耐荷重、および天井高は、
多目的ホールが10m、展示場が10mと設定されている。
ただし、今年度調査においてより詳細な検討をしたところ、多目的ホール(7,500㎡)、
展示場(20,000 ㎡)のような大空間では、利用者が圧迫感を感じる可能性が高いこと
が指摘された。
また、コンサートを開催する場合は、音響の観点より、より高い天井高が必要という ことであった。
<方針>
上記の理由より、多目的ホールの天井高は15~20m程度、展示場の天井高は20m程度 とする。
また、天井高を高くするほど、必要な照度を確保するためにより高性能な照明設備が 必要となる点に留意する。