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第2章 基本計画の視点及び実施基準

第3節 他の施策との連携の視点

アセットマネジメント(公共施設マネジメント)も、市の最上位計画である総合振興計画の下にある 施策の1つですが、総合振興計画が掲げる他の諸施策との連携の視点も不可欠です。ここでは、そのよ うな施策のうち、重要なものをいくつか挙げて検討します。

まず、地域公共交通の再編・充実は、学校を含む施設の統廃合の推進にとって、必須・不可欠の施策 です。

また、アセットマネジメントの推進に人口減少対策の視点を取り込むことで、長期的には、人口の減 少緩和・維持(・増加)へと転じていく過程が財政面に好影響を及ぼし、それがアセットマネジメント 自体に返ってくる好循環の発生が期待されます。

さらに、統廃合、更新後の施設を誰にとっても使いやすいものとするため、福祉施策や健康増進施策 との連携の視点も欠かせません。

1 地域公共交通再編の視点 ~ 施設統廃合に必須の地域公共交通の充実

施設を統廃合した場合、本章第2節「1 アセットマネジメントの推進による財源捻出の視点及び 実施基準」でも検討したとおり、統廃合前後で施設単体として比較を行うと、統廃合後の施設の方が、

機能的にはもちろん場合によっては規模的にも優れたものとなる可能性があります(図表 2-2-1の

③部分の再掲を参照)。

しかしながら、施設自体はリニューアルされたとしても、統廃合によって施設が廃止された地区の 住民にとっては、新しい施設は遠くて使いづらいという問題が生じる可能性があります(次頁の図表 2-3-1 A 及び B 参照)。

このような利便性の低下を防ぎ、又は緩和するためには、バスなどの地域公共交通を充実させるこ とで距離の問題に対処する方法が考えられます(図表 2-3-1 C 参照)。

国(文部科学省)においても、小学校児童の通学距離・通学時間に関する基準について、従来はお おむね4km以内という距離の要件のみであったものが、現在ではおおむね1時間以内という所要時 間による要件も追加されていますが、これなども統廃合によって学校から遠くなる児童の事情を考慮 し、スクールバスによる登下校を想定したものとされています。

また、今後一層の進行が見込まれる社会の高齢化を考えれば、高齢者の日常の足となるべき地域公 共交通の充実策の一環として、施設(拠点)相互を連結するバス路線の整備が必要であると思われま すが、施設統廃合に伴って運行されるバスについても、単独での運行とするのではなく、地域公共交 通網の再編と足並みをそろえて整備を図ることで、全体として利便性が高く、効率的でしかも分かり やすい地域公共交通の形成・充実につなげていくことができます。

そのような地域公共交通網の整備・再編と二人三脚で推進することができた場合に、アセットマネ ジメントの成果に対しても、より多くを期待することができるものと考えます。

2 人口減少対策の視点 ~ アセットマネジメントの前提に対する取組

全国的にアセットマネジメントの必要性が指摘されるようになった理由の1つは、財政規模の縮小 が不可避と予想される現在そして今後の人口減少社会・少子高齢社会においては、人口も経済も右肩 上がりであった高度経済成長期を中心に大量整備された施設・インフラの更新費用を工面することが できないのではないか、という危機意識であるといえます。この危機を乗り越えるには、老朽化等に より危険な状態の施設やインフラが増えていくことを未然に防止するために、更新すべき施設等を取 捨選択し、コスト縮減を進め、限られた予算・財源を最大限効率的に使わなければなりません。

よって、人口減少とそれによって招来される財政規模の縮小はアセットマネジメントのいわば前提 であり、基本方針においてもそのような考え方に基づいて、施設の(延床)面積 43%削減などの方 針を定めました。しかしながら、人口減少をただ受け入れていては状況は悪くなるのみで、将来への 夢や希望が抱けません。アセットマネジメントにおいても、現在進行しつつある人口減少傾向に対す る対策を、その(アセットマネジメントの)方策に盛り込むことが期待されていると考えます。限ら れた財源で更新・整備される施設等が真に子育てに役立つものとなるように設計・配慮し、十数年か ら数十年後には、次の時代を支える子供たちの笑顔で一杯のまちになるように、その基礎となる施 設・インフラの更新・整備を図っていきたいと考えます。

2016年3月に策定した「熊谷市人口ビジョン・総合戦略」(以下、「総合戦略」といいます。) の基礎資料となった「結婚・子育て・定住に関する意識調査」においても、理想とする子供の人数に ついて、「2 人」とする人が46.4%と最も多く、次いで「3 人」が30.5%となっており、子 供を持とうと考える人の多くは、2~3 人を育てたいと思っていることが分かります(※1)。一方で、

実際の子供の人数は希望数に届いていませんので、この差=理想と現実のギャップを埋める政策を今 後も推進していく必要があります。引き続き、仕事と子育てが両立できる環境の整備、共働き世帯に 経済的支援と時間的余裕を与える施策の充実が必要となりますが、アセットマネジメントは施設の整 備・拡充の面からそのような施策を推進できます。

児童クラブの対象年齢の拡大(小学校6年生まで)や保育時間の延長(午後7時まで)は既に実 施しているところですが、アセットマネジメントの視点からは、そのほかにも、既に多くの学校に併 設・複合化されている児童クラブと近接した場所に保育所を配置することなどにより、就学児と未就 学児の両方を養育する保護者の送迎の利便を図ったり、病児保育に対応した施設を誘致したりするこ との検討も必要となります。

3 福祉施策・健康増進施策との連携の視点 ~ 誰にとっても使いやすい施設へ

現在ある施設の中には、古い時代に整備されたため、2階建て以上でありながらエレベーターが設 置されておらず、足が不自由な高齢の方や障害のある方、また、ベビーカーを押している親子連れの 方などにとって、使いづらい施設もあるのが現状です。既存施設のバリアフリー化やユニバーサルデ ザインへの適合(スロープや手すりの設置、誰にも使いやすい多目的トイレへの改修等)などについ ては、施設の改修等の機会をとらえて順次実施しつつありますが、2階建て以上の全ての施設にエレ ベーターを設置するまでには至っていません。

しかし、施設の更新、統廃合等に伴い、建物自体を建て替える場合には、エレベーターの設置を含 むバリアフリー化やユニバーサルデザインへの適合が図られるため、全ての方にとって使いやすい施 設とすることができます。

また、本節1で示したような地域公共交通の充実・再編により、自動車運転免許を持たない方や既 に返納された方などを含むいわゆる交通弱者とされる方々にとっても、使いやすい公共施設、住みや すい地域・まちづくりを目指すことが重要です。仮に施設が統合、移転等した場合であっても、充実・

再編された地域公共交通により、多くの方の利便性・快適性の確保・向上を図ることが可能となりま す。

また、地域拠点施設(後述)が整備され、そこにバス停や駐車場、駐輪場が設置・整備されること で地域公共交通の結節点として機能するようになれば、高齢であっても健康な方であれば、そこまで 徒歩でアクセスしていただくことが想定できます。一般に 1日に 8千~1万歩以上歩くと健康に良 いとされていますが、習慣的なウォーキングの励行は、手軽な方法で市民の健康維持・増進を図れる 上、医療費削減という財政上の利点もあります。もちろん、歩行が困難な高齢者や障害者の方に対し ては、タクシー券の交付等の従来施策によるサービス提供のほか、将来的には地域拠点施設の送迎車 両による対応(デマンド交通)等についても検討対象となります。

施設の統廃合・再配置の検討に当たっては、福祉施策・健康増進施策との連携についても検討が必 要です。

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