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施策の展開

ドキュメント内 医療費適正化計画 (ページ 44-55)

1 県民の健康の保持の推進のための取組み

(1) 保険者による特定健康診査・特定保健指導の推進及びその支援

【現状と課題】

○ これまでは40歳以上の住民を対象に市町村が健康診査や保健指導を実施していましたが、

平成20年度からは保険者に40〜74歳の被保険者・被扶養者を対象とした特定健康診査・特 定保健指導の実施が義務付けられ、保険者は実施方法の検討など円滑な実施に向けた準備が 必要です。(図4−1)

○ 全国一律の基準で特定健康診査や特定保健指導を行うために、厚生労働省は「標準的な健 診・保健指導プログラム」を策定し、特定健康診査・特定保健指導の方向性や進め方、体 制・基盤整備などを示しており、基準に合致した質の高い健康診査・保健指導を実施できる 従事者を確保することが必要となっています。

○ 保険者は、特定健康診査・特定保健指導の結果のデータ分析や特定健康診査・特定保健指 導の結果のデータとレセプトデータとの突き合わせにより、健康診査・保健指導の医療費へ の影響の調査などを行うことが可能になりますが、現状では電子化されたレセプトは限られ ていることから本格的な実施は難しくなっています。

○ 各保険者に所属する医師・保健師等の数はそれほど多くはないことから、外部の健診機関 や保健指導機関に委託して特定健康診査・特定保健指導が実施されることも予想されますが、

特定健康診査・特定保健指導の効果について適切に評価して、委託していくことが保険者に 求められています。

○ 組合管掌健康保険(*)や共済組合(*)などの被用者保険(*)では、全国各地に受診対象者がいる ため、事業者等による健康診断(*)が受けられない被扶養者が身近な場所で特定健康診査・特 定保健指導を受診できるようなしくみづくりが求められています。

○ 都道府県単位に保険者が医療費の調査・分析や保健事業の推進について協議・調整等をす るために保険者協議会(*)が設置されておりますが、平成20年10月から政府管掌健康保険(*)が 公法人化され都道府県単位の財政運営が行われることからも、保険者協議会の役割の重要性 が増しています。

○ 特定健康診査の結果等の個人情報については、事業者(雇用主)へのデータ流出による就業 上の不利益な取り扱いの発生などがないよう、漏洩防止に細心の注意が必要です。

【施策】

① 特定健康診査・特定保健指導に関する情報の収集・提供(県・市町村・保険者・保険者 協議会等)

・ 特定健康診査及び特定保健指導に関する情報を関係者がそれぞれ収集し、集めた情報 を保険者協議会や市町村との各種会議等において提供することにより、情報・知識の共 有化を図ります。

・ 保険者は、特定健康診査・特定保健指導を行うに当たり、実施方法や目標値などを記 載した特定健康診査等実施計画を5年ごとに定める必要がありますが、保険者が計画を 策定・改定する際に、県・保険者協議会から必要な情報を提供するなどの支援を行いま す。

② 特定健康診査・特定保健指導の従事者に対する人材育成(県・保険者・保険者協議会・

関係団体等)

・ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健康診査・特定保健指導 は新しい事業であることから、医師、保健師、管理栄養士(*)等をはじめとした特定健康 診査等従事者が適切な知識、技術を習得できるように、県・保険者協議会・関係団体等 において研修を行います。

・ 県・保険者・関係団体等が行う特定健康診査・特定保健指導に関する研修の情報を保 険者協議会に集め、市町村や保険者に所属する保健師等が参加できるしくみを充実しま す。

③ 特定健康診査・特定保健指導データ及び医療費分析の実施(県・市町村・保険者・保険 者協議会)

・ 保険者は、特定健康診査や特定保健指導の効果を測定するために、データの経年変化 の把握などにより特定健康診査・特定保健指導データの分析に取り組みます。

・ 保険者は、特定健康診査・特定保健指導の結果のデータとレセプトデータとの突き合 わせに努めることにより、医療費の増減、患者の増減などを把握し特定健康診査・特定 保健指導の効果を検討するとともに、医療機関への受診が必要な方への受診勧奨を行い ます。

・ 平成23年度までにすべてのレセプトが電子データ化される予定であることから、特定 健康診査・特定保健指導データとレセプトデータを電子的に突き合わせて、特定健康診 査・特定保健指導の効果を評価していく方法について検討します。

④ 保険者協議会における保険者間の協議・調整(県・市町村・保険者・保険者協議会)

・ 保険者協議会の場を活用して特定健康診査・特定保健指導の委託先の健診機関・保健 指導機関に関する情報を交換し、保険者が適切な委託先を選択できるようにするための 客観的な評価について協議、検討します。

・ 被用者保険の被扶養者が、身近な地域で特定健康診査・特定保健指導を受診できるこ とを目指しながらも、保険者の特定健康診査・特定保健指導の委託契約が複雑にならな いような方法を保険者協議会の場において、協議、検討し、保険者間の調整を行います。

⑤ 特定健康診査等に関する個人情報の保護(市町村・保険者・健診機関等)

・ 保険者は、特定健康診査等に関する個人情報の取扱いに関して、個人情報保護法に基 づくガイドライン(*)を遵守し、職員等の義務の周知徹底、委託の際の個人情報の厳重な 管理等を契約書に定めるなど適切な対応を行います。

図4−1 保険者による特定健康診査・特定保健指導の実施

出典:厚生労働省 特定健康診査等実施計画作成の手引き

年次 計画 の 設定

特定健康診査 特定保健指導

評価

階層化

(保健指導対象者の選定)

情報提供 支援計画

・年間実施  予定(実  施量・内  容・委託  先等)の  設定  

特定健康  診査等実  施計画  (5年計  画)の毎  年度の点  検・補正

40〜 74歳 の 全加 入者

(被 扶養 者含 む)

健診結果

(内臓脂肪  症候群に  係るリス  クの数)

 

質問票

(治療歴、

 喫煙その  他生活習  慣など)

 

生活習慣  上の課題  の有無と  その内容  等

リス クが 重な りだ した 段階

リ スク が 出 現し 始め た段 階

リ スク が 未 出現 の段 階

生活習慣  病の特性  や生活習  慣の改善  に関する  基本的な  理解を支  援  

健診結果  の提供に  合わせて、

 全員に個  別のニー  ズ、生活  習慣に即  した情報  を提供

対 象 者毎 での 作成

健 診 結果 と詳 細な 質問 票で  行 動変 容の 準備 状態 を把 握

治療(保健指導の枠外)

積極的支援 積極的支援

動機付け支援 動機付け支援 積極的支援

準備段階にあわ せて個別の目標 を設定し、具体 的で実現可能な 行動の継続を支 援

動機付け支援

生活習慣の改善 に対する個別の 目標を設定し、

自助努力による 行動変容が可能 となるような動 機づけを支援

対象 者毎 の評 価( 6か 月後 の終 了時 評価

●アウトプ ット(事業 実施量)評 価→実施回 数や参加人 数等  

●アウトカ ム(結果)

評価→糖尿 病等の有病 者・予備群 の減少率、

保健指導効 果

 

●プロセス

(過程)評 価

 

●健康度の 改善効果と 医療費適正 化効果 等

(2) 生活習慣病予防のための健康づくり

【現状と課題】

○ 特定健康診査の対象外である40歳未満及び75歳以上等(※1)の県民や、特定健康診査にお いてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予備群や該当者と判定されなかった県民 も含めて、食生活の改善や運動の実施による生活習慣病予防の知識をひろめ、県民自らが 健康づくりに取り組む体制づくりが必要です。

○ 企業等は、従業員に対して健康診断を実施するなど、従業員の健康管理という観点から、

特に壮年期・中年期の健康づくりに重要な役割を担っていますが、効果的な健康づくりの ために企業等で行われる保健事業と地域住民に対して行われる保健サービスとの連携が必 要です。

○ 平成18年5月診療分の神奈川県国民健康保険団体連合会レセプト(市町村国民健康保 険分)によれば、歯肉炎及び歯周疾患(*)は119分類中2番目に件数、医療費の高い疾患で あり、歯の健康づくりは、歯みがきなどの生活習慣の改善により予防効果が期待できるた め、さらなる歯の健康づくりに向けた取組みが必要です。

【施策】

① 生活習慣病予防の重要性の普及啓発(県・市町村・企業・保険者・関係団体等)

・ メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した生活習慣病予防対策を進め るため、県、市町村、企業、保険者、関係団体等が連携・協力し、食と運動を組み合わ せた生活習慣改善についての普及啓発を積極的に行います。

・ 生活習慣病予防や健康づくりのための食生活の普及や、食生活・栄養に関する教育・

指導を実施します。

② 地域保健と職域保健の連携(県・市町村・企業・保険者・関係団体等)

・ かながわ健康プラン21推進会議の部会である地域・職域連携推進部会において、地 域住民を対象に生涯を通じた健康的な生活を目指した健康管理・保健サービスを提供す る地域保健(*)と、就業者等の安全と健康の確保のために企業等において行われる職域保 健(*)の連携と推進のための総合調整を行います。また、二次保健医療圏(*)ごとの地域保 健と職域保健の連携と推進のための地域・職域連携推進協議会を設置します。

③ 歯の健康づくり(県・市町村・関係団体等)

・ 「8020運動(*)」を推進するため、先駆的・モデル的な事業の検討や、フッ化物(*) の応用の普及を通じて、県民の歯の健康づくりを支援します。

・ 歯の健康づくりを実施するために必要な情報提供、研修事業を実施するとともに、歯 科疾患予防のための知識・技術の普及や歯周疾患検診などを行います。

※1 年齢による区分のほか、生活保護受給者や短期滞在の外国人などが特定健康診査の対象外となります。

ドキュメント内 医療費適正化計画 (ページ 44-55)

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