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施工過程を考慮したインバート施工による影響

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第 6 章

三次元解析による検討

複合構造インバートは路盤下部を掘削することで施工される.この際に,既設覆工の足 元を払う形となるため覆工が不安定な状況になる.また,一度に掘削する範囲に限りがあ るため,掘削区間を分割しなければならず,トンネル軸方向にも影響が発生する.このよ うな施工の影響による三次元挙動を明確にするため,本章では三次元解析を実施し,トン ネル構造物に生じる影響を検討した.また,地盤掘削による除荷作用が中詰コンクリート 鋼管に与える影響も検討した.

第6章 三次元解析による検討

- 52 - 6.1.2 物性値と構成則

1) 物性値

本解析に用いた地山物性を表 6.1.1に示す.地山物性は盃山トンネルの物性を使用する.

これは過去の路盤変状の中で,2008 年に盃山トンネルで生じた変状が最大のものと考えら れること,本構造が対策工として可能であるかを検証するための解析であることから,過 去最大の事例に対して照査を行うためである.盃山トンネルの物性は参考文献1)を基にして いる.これは,天端沈下や内空変位から逆解析を行うことで推定した値である.

構成則は Mohr-Coulomb の降伏基準による弾完全塑性とした.構成則については 2)に記 す.

表 6.1.1 地山物性値1) 変形係数

E(N/mm2)

ポアソン比 ν

単位体積重量 γ(N/mm3)

粘着力 c (N/mm2)

内部摩擦角 φ(deg)

36 0.4 2.00E-05 0.319 25

吹付けコンクリート・覆工・インバート構成部材の物性値を表 6.1.2 に示す.吹付けコン クリートの物性値も地山と同様に,天端沈下や内空変位から逆解析を行うことで推定した 値である.

表 6.1.2 構造物性値1) 変形係数

E(N/mm2)

ポアソン比 ν

単位体積重量

γ(N/mm3) 備考 吹付け

コンクリート 360 0.2 2.30E-05

覆工 22,000 0.2 2.30E-05

インバート

コンクリート 22,000 0.2 2.30E-05 中詰

コンクリート 28,000 0.2 2.30E-05 別途 表 6.1.4

鋼管 200,000 0.3 7.70E-05

- 53 - 2) 構成則2)

本解析で用いたMohr-Coulombモデルの降伏関数について以下に示す.

Mohr(1900)の基準によると破壊は次のように表示される.

|𝜏| = 𝑐 − 𝜎𝑛tan 𝜑 (6.1.1)

c:粘着力 φ:内部摩擦角

なお,σnは引張を正としている.

ここで,任意平面での限界せん断応力τは同一平面上の垂直応力𝜎𝑛だけを変数とする.式

(6.1.1)では材料の破壊が最も大きい Mohr 円がクーロン摩擦の降伏面(yield envelope)に接す

る応力状態になると発生すること,また,中間主応力𝜎2(𝜎1≥ 𝜎2≥ 𝜎3)が破壊条件に影響を 及ぼさないことを意味する.

従って,Mohr-Coulomb降伏面の降伏関数は次のようになる.

𝑓 = |𝜏| + 𝜎𝑛tan 𝜑 − 𝑐 = 0 (6.1.2)

式(6.1.2)の破壊基準をMohr-Coulomb基準とし,簡単で正確な長所のため,現在まで地盤材 料に対して最も広く使用されている.

Mohr-Coulomb式を主応力の項に示すと(𝜎1≥ 𝜎2≥ 𝜎3),式(6.1.2)から次のように整理できる.

σ1− 𝜎3

2 =σ1+ 𝜎3

2 sin 𝜑 + 𝑐 cos 𝜑 σ11 + sin 𝜑

2𝑐 cos 𝜑 − σ11 − sin 𝜑 2𝑐 cos 𝜑 = 1 σ1

𝑓1𝑡 −σ3 𝑓𝑐= 1

(6.1.3)

𝑓𝑐= 2𝑐 cos 𝜑

1 − sin 𝜑 :最大主応力が0のとき,一軸圧縮強度 𝑓𝑡= 2𝑐 cos 𝜑

1 + sin 𝜑 :最小主応力が0のとき,一軸引張強度

式(6.1.3)は一軸圧縮強度と一軸引張強度を使用して,物性を定義する便利性を提供する.

第6章 三次元解析による検討

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図 6.1.2 主応力の幾何学的関係図2)

式(6.1.2)を数値解析に多く使われる𝐼1. 𝐽2および𝜃の項に示すと次のようである.

𝑓(𝐼1, 𝐽2, 𝜃) = −1

3𝐼1𝑠𝑖𝑛 𝜑 + √𝐽2(𝑐𝑜𝑠 𝜃 + 1

√3𝑠𝑖𝑛 𝜃 𝑠𝑖𝑛 𝜑) − 𝑐 𝑐𝑜𝑠 𝜑 = 0 (6.1.4)

塑性ポテンシャル関数は式(6.1.4)の形式を用いると以下のように示すことができる.

𝑔(𝐼1, 𝐽2, 𝜃) = −1

3𝐼1𝑠𝑖𝑛 𝜓 + √𝐽2(𝑐𝑜𝑠 𝜃 + 1

√3𝑠𝑖𝑛 𝜃 𝑠𝑖𝑛 𝜓) − 𝑐 𝑐𝑜𝑠 𝜓 = 0 (6.1.5)

Mohr-Coulomb基準は図 6.1.3からわかるように主応力空間で不規則6角形ピラミッド形状

で子午線は直線であり,π 平面(σ1+ 𝜎2+ 𝜎3= 0)上の軸差図形は不規則 6 角形である.図 6.1.4に示すように,不規則 6 角形を書くためには𝑟𝑡0と𝑟𝑐0の長さが必要であり,この長さ は次のように示すことができる.

- 55 - 𝑟𝑡0=2√6𝑐 cos 𝜑

3 + sin 𝜑 (6.1.6)

rc0 =2√6c cos φ

3 − sin φ (6.1.7)

式(6.1.6)と式(6.1.7)から𝑟𝑡0/𝑟𝑐0は次のようである.

𝑟𝑡0

𝑟𝑐0=3 − sin 𝜑

3 + sin 𝜑 (6.1.8)

Mohr-Coulomb破壊面の軸差断面はすべて幾何学的な形と似ているので任意の軸差断面に対

する𝑟𝑡/𝑟𝑐は常に一定である.

𝑟𝑡 𝑟𝑐=𝑟𝑡0

𝑟𝑐0=3 − sin 𝜑

3 + sin 𝜑 (6.1.9)

そして,引張強度を入力するとMohr-Coulombモデルの引張側の主応力が入力された引張強 度を超えなくなる.本解析コードではMohr-Coulombの破壊関数と引張側にRankineの破壊 関数を複合的に適用し,引張強度が考慮されたMohr-Coulomb破壊が考慮できる.

図 6.1.3 主応力空間での Mohr-Coulomb 降伏面形状2)

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図 6.1.4 π平面とメリディアン平面での Mohr-Coulomb 降伏面形状2)

図 6.1.4(b)から分かるように Mohr-Coulomb 破壊基準は破壊面が直線として傾きに該当す るtan 𝜑が拘束圧(または静水圧)によって変わらないことである.従って,この基準は拘束圧 が制限された範囲内では正確であるが圧縮破壊が起きる程度に拘束圧が大きくなると実際 の物理現象と合わなくなる.しかし,この基準は現場での拘束圧範囲でかなり正確な結果 が得られ,使用が簡単であるため多く使われる破壊モデルである.

(a) π平面の降伏面形状 (b) 𝜃 = −𝜋6でのメリディアン平面上の降伏面形状

- 57 - 6.1.3 解析ケース

本解析で実施した解析ケースは全4ケースである.ケース1~ケース3は足付けコンクリ ートの打設の優位性を照査するために解析ステップのみ異なるケースである.ケース 4 は 中詰コンクリートの圧縮強度と引張強度を考慮し,中詰コンクリートをMohr-Coulombの破 壊基準に従う非線形モデルとした.全解析ケースのまとめを表 6.1.3に示す.

表 6.1.3 解析ケース

ケース1 ケース2 ケース3 ケース4

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