5.3.1 実効線減弱係数μeffの決定
5.3.1.1 実効線減弱係数μeffの測定
リニアック(Clinac iX(Varian Medical Systems))の6 MVおよび10 MV X線を用いて、
照射野10 cm × 10 cmおよび5 cm × 5 cmのTissue-phantom raio(TPR)を水、PMMAおよ びPWDT中で測定により求めた。PMMAおよびPWDTのTPR測定には、Delta4キャリブ レーションスラブファントムをそれぞれ、複数セット用意して、電離箱線量計(TM30013
(PTW, Freiburg, Germany))をSCD = 100 cmの位置に設置して測定を行った。その外観を 図5.1に示す。深さは、PMMAでは4.25、7.05、9.25、および12.05 cm、PWDTでは、4.95、
8.45、11.95、および15.45 cmであり、水中のTPRは、それぞれの深さの組み合わせで測定
を行った。それらのTPRの基準深は最も浅い深さとした。TPRカーブを指数回帰曲線で近 似した指数関数の傾きを各条件におけるμeffと決定した。
(a)PMMA (b)PWDT
図5.1 複数セットのDelta4キャリブレーションファントムを用いた
(a) PMMAおよび(b)PWDTにおけるTPR測定の外観
61 5.3.1.2 実効線減弱係数μeff の計算
TPRの計算に使用した線量計算アルゴリズムを表5.1にまとめて示す。
表5.1 TPRの計算に使用した線量計算アルゴリズム、および計算コード・治療計画装置 線量計算アルゴリズム 計算コード・治療計画装置
Monte Carlo Code the EGSnrc egs-chamber user code56,57) BEAMnrc code system58)
Adaptive Convolve (AdC) Pinnacle3 ver. 9.10
(Philips Radiation Oncology Systems, Fitchburg, WI)
Collapsed Cone Convolution (CCC) RayStation ver. 4.5
(RaySearch Laboratories, Stockholm, Sweden)
AcurosXB (AXB) Eclipse ver. 11
(Varian Medical Systems, Palo Alto, CA)
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TPRの計算におけるファントムの幾何学的条件は測定と同条件にモデル化した。そのフ ァントム材質は全て水として、PMMA用の計算には、物理密度を1.12、1.13、1.14、1.159、
および1.19 g/cm3、PWDT用の計算には、0.96、0.97、0.98、1.00、および1.039 g/cm3に変 更して、計算を行った。
Monte Carloシミュレーションでは、それらのファントム材質は、PEGS(Preprocessor for
EGS59))で作成した。ベンダーからの設計図を元にリニアックヘッド内をモデル化したリ ニアックをシミュレーション上で作成した。そのリニアックモデルを用いて、粒子のPhase space データを線源から 79.9 cmの面で収集し、水中での TPR20,10および OCR(Off-center
ratio)が測定とシミュレーションで一致していることを確認した。それらのPhase space data
を全てのシミュレーションにおいて使用した。シミュレーションは統計的不確かさが0.1 % 以下になるまで繰り返し計算した。
治療計画装置での線量計算における1辺の計算グリッドは、AXBでは2 mm、他の線量 計算アルゴリズムでは1 mmとして線量計算を行った。これはAXBではコンピュータのメ モリ不足のため60)、いくつかの計算条件において、計算グリッド1 mmでは線量計算が出 来なかったためである。これらの計算により得たTPRの基準深は測定と同様に、最も浅い 深さとした。それらのTPRカーブを指数回帰曲線で近似した指数関数の傾きを各条件にお けるμeffと決定した。
63 5.3.1.3 密度スケーリング係数DSFの決定
本研究における密度スケーリング係数(DSF)は、各TPRを代表する値である μeffを測 定と計算の間で比較することにより決定した。各条件それぞれで、測定 μeffを、本比較の ための基準値とした。計算 μeffは、複数の密度スケーリング係数に対する関数として得ら れた。
また、本研究において使用したリニアックおよび治療計画装置は、全てコミッショニン グされており、TPR20,10の比較により、個体差および施設間差が十分に小さいことは確認し ている。しかし、μeffは非常に感度の高いパラメータであるため、僅かなリニアックの個体 差および治療計画装置のモデリングの確かさによって、密度スケーリング係数が 1.0 の点 で、それぞれ僅かに異なる。本研究では、それらの僅かな影響を除くために、測定および 計算においてファントム中で得た実効線減弱係数((μeff)pl)を水中もしくは密度スケーリン グ係数1.0において得た(μeff)waterによって除すことで、水中に対するファントム中のμeffの
比(μeff)pl,waterを各条件において比較した。
各線量計算アルゴリズムにより得た計算(μeff)pl,waterは、各密度スケーリング係数において 中央値を取り、その中央値に対して回帰直線を引いた。その回帰直線が、測定(μeff)pl,waterと 一致した時の密度スケーリング係数を、そのX線エネルギー、照射野サイズおよびファン トム材質のDSFregressionとした。最終的にファントム材質ごとに、DSFregressionの平均値を求 め、その値をそのファントム材質のDSFと決定した。
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