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て位置づけ責任及び権限を委譲し、効率的で生産性の高い組織とする。

建設プロジェクトの規模や契約形態により組織形態を変化させることにより、専門 家集 団でマネジメントし組織力により効率的に運営する。海外でも通用する仕組み・素地を作 ることとなる。

ここでは、人事管理を守備攻撃の切り替えを随時行いながら各人がポジションを考 えな がら動く「 サッカー型」とすると、決められたポジションと役割を専門家集団が組織的に 果たす「アメリカンフットボール型」への変化をイメージしている。

もちろん各 企業のコア となる人材 については 、各企業の 独自性(金 太郎飴では ない)を 出して育成していく必要があることは言うまでもなく、個人のみならず会社に帰属する技 術・ノウハウ・ナレッジや資金力・情報力なども総合的に引き出せる社内におけるヒュー マンリソースマネジメントを実施して差別化していく必要がある。

5-2.提案2「マネジメント技術の体系化による人材活用」

時代に即応した新しいマネジメント技術を体系化し、人材を育成・活用する。

海外展開や技術伝承、IT 社会などの将来を見据えて、もう一度建設技術者として必要と なるスキルを見直し体系化する。品質・コスト・工期・安全・環境のみだけでなく契約知 識、リスクマネジメントや工程管理手法なども積極的に取り込む必要がある。表 5-1 にマ ネジメント技術を体系化した教育プログラムを示す。

表 5-1 教育プログラム

項目 技術分野 ツール

全体 マネジメント コストと時間の連動 現場力 基礎技術

技術知識 計画力 安全 原価 品質 工程 環境

測量・鉄筋・型枠・コンクリート・杭・重機 構力・土質・水理・補強・補修

考え方(フロー)、要点

工事実績管理・記録

WBS,CPM,PERT の正しい理解

OJT+OFFJT,動画ビデオ OJT+e-ラーニング+OFFJT 計画チェックリスト リスクマネジメント 標準積算、社内積算ツール ISO9000

MS-プロジェクト ISO14000

国際力 契約 コミュニケーション リスクマネジメント 調達

保険 為替 歴史

公共工事請負約款、FIDIC 英会話、文書力、日本語

各国の歴史を会社でまとめておく

OJT+e-ラーニング+OFFJT e-ラーニング+OFFJT PMBOK

社会力 合意形成

人間力 交渉力 コミュニケーション能力 発表会や討論会 日本力 歴史

文化 技術

日本・建設産業 勤勉、約束を守る

優位性がある技術、環境分野

5-3.提案3「施工技術に関わる人材育成の方策」

育成・管理に関わる方策としては、基礎技術力を持った人材を育成することを目的 とし て、入札時の評価項目として小規 模工事での自社施工比率に一定の制約を設ける制度を導 入する。

地域に根ざしている建設企業や海外の建設工事でも必要とされる基礎技術力の取得には 、 実際に現場で可能な範囲を直轄施工する。職員自らも、鉄筋や型枠を一部組立て、実際の 作業や測量を行う、もちろん現場での簡易な設計検討もしながら体得することにより基礎 技術力や知識・資格を習得する。

「カタログエンジニア」では済まされない、まさに「実体験するOJT」である。

原則的には 、現場での ベテランか らの技術伝 承をメイン とし、経験 により個人 に集積さ れていた技術を体感する。これらの情報を上手くまとめナレッジマネジメントも強化する。

誰にでも見える化をする「実践の マザー現場」となる。ここでの作業はビデオなどで記録 しておき、今後の同種工事の着手前にこのビデオを参考として速やかな技術伝承を実施す る。途中での失敗事例や段取りについても記録に残して利用していく。また、これらは社 外にも販売し、必要とする人材が購入することで内容や説明がグレードアップしていくと 考えられる。

これには、 他産業で利 用されてい る「ビデオ 」や「パソ コン」によ る見える化 教育が効 果的であり、パソコンの画面に触れることで次の手順へ進み、そのデータを進捗管理する 育成確認方法(ビジュアルマニュアル)などが効率的である。これらのツールは、日本国 内で作業手順教育・安全教育だけではなく、外国語や文化性をアレンジすることで、海外 でも利用することができ、ある一定水準までの教育は、非常に効率よく技術伝承できるこ とが知られている。

最新の電子機器である「タブレット型」の情報端末や「WEBカメラ」などの情報 技術 を利用することにより、現場で正しい情報を瞬時に得られる時代となっているので、これ らの「見える化」ツールを積極的・体系的に有効に利用することで生産性が向上すると考 えられる。

小規模ではあるが、契約やリスクマネジメントについても身につけた人材を育成できる。

図 5-1 に建設プロジェクトにおける管理技術図を示す。

このように建設産業の制度と役割・技術分野を見直すことにより厳しい環境下でも 打ち 勝つ人材・組織をつくるためには、プロジェクトマネジメント技術の導入と専門家の育成 が鍵である。

プロジェクト成功の3要因は、

① プロジェクトマネジメントの知識

② プロジェクトマネージャーの能力・力量

③ 組織のプロジェクトマネジメント成熟度

によると言われ、マネジメント力の時代であると同時に、

図 5-1 建設プロジェクトにおける管理技術図(高知工科大学社会人コース講義資料)

建設技術者は、

『どこに所属しているかではなく、何ができるか』

という個人の能力も問われる時代となる。

建設企業は、

プロジェクトマネジメントについての人材育成・人材活用と合わせて、国内外での 人材 採用・雇用契約や育成、M&Aなどコーポレートマネジメントとを連動しながら発展させ ていく必要があることから、今後の環境変化をも想定した

『ビジョンと実行力』

がなければ、市場から撤退することになり、会社の存亡も危ぶまれる時代となる。

プ プ ロ ロ ジ ジ ェ ェ ク ク ト ト 企 企 画 画 ・計 ・ 計 画 画 ・ ・ 検 検 証 証

情 情 報 報 管 管 理 理 フ フ ゚ ゚ レ レ セ セ ゙ ゙ ン ン テ テ ー ー シ シ ョ ョ ン ン 情 情 報 報 収 収 集 集 交 交 渉 渉 技 技 術 術

技 技 術 術 移 移 転 転

設 設 計 計 技 技 術 術 調 調 達 達 関 関 連 連 建 建 設 設 技 技 術 術

積 積 算 算 技 技 術 術 機 機 材 材 管 管 理 理

ス ス ケ ケ ジ シ ゙ ュ ュ ー ー ル管 ル 管 理 理

施 施 工 工 計 計 画 画

コ コ ス ス ト ト 管 管 理 理 品 品 質 質 管 管 理 理 生 生 産 産 性 性 管 管 理 理

労 労 務 務 管 管 理 理

契 契 約 約 管 管 理 理

基礎技術力

(測量・鉄筋・型枠・コンクリート・杭・重機)

建設プロジェクト

第6章. おわりに

これまで,日本の建設産業は世界の最先端を行く施工技術を有していると自負してきた。

海外からもその高い施工技術や民生部門の技術力の蓄積によって経済発展したことについ ての賞賛の声も多かった。しかし,他の先進諸国の例に見るように,国内のみを見た官主 導のプロジェクト執行形態だけでは国際競争に敵う技術発展を望むことは難しい状況にな っている。WTO政府調達総括協定発効(1996 年)以来,我が国の建設産業は長く基本理 念としてきた“協調の原理”から“競争の原理”への変化が求められてきた。これらの現 実を我々は真摯に受け止めなければならない。

日本の大手ゼネコンは、国内の低成長下に伴って海外市場に目を向けることを求めたが、

その実力を全て発揮できていないのが現状である。さらなる成長するためには、国際競争 力の強化及びそれに伴うマザーマーケット形成に向けた国内での体制造りが必要であると 考える。今年度から、国土交通省が試行する「国際的な入札方式の導入」、「第三者技術 者の導入」「海外で普及している FIDIC 土木工事標準約款に準拠した契約の試行」なども その一環として効果が期待されている。

近年の社会 情勢や国際 化という時 代の大きな 変化の中で ,旧来から の日本国内 での建設 プロジェクト運営にのみ重点をおいた建設技術者の人事管理から、変化に対応でき世界に も通用するプロジェクトマネジメント力を習得したヒューマンリソースマネジメントへと 構造改革する必要があることが必要であると考えます。

これには、 建設プロジ ェクトにお いて役割分 担を明確化 することに より、各専 門の技術 者がプロジェクト組織内でやるべき仕事が明確となり能力向上が図られ、効率的な運営形 態となり生産性・収益性の向上に寄与すると考えられます。

これは諸外 国や他産業 などの例か らも個人の スキルアッ プや役割分 担はもちろ んである が、世界を見た国内の制度改革と組織(経営者)としての判断力・実行力が重要である。

これらのノウハウ・知識集積の為の企業買収や外国企業との提携、外部からの専門家招聘 なども十分検討していく必要があると考えられます。

第5章で述べたヒューマンリソースマネジメントの構造改革に関する提案により、世界 にも通用する優秀な技術者が育成され、本質を追究した構造改革により日本国内での建設 産業としてもレベルアップを図り、ムダを排除することにより生産性が向上することとな ると考え、技術の空洞化にも一定の歯止めが掛かることを期待します。

日本におい ても海外に おいても建 設産業は土 着性が高い ので、知ら ないはじめ ての土地 で何の情報も技術もないままでは仕事は立ち行かない。長期的に戦略的に人を育て、人と 知り合い、信頼を得ることが重要である。

日本建設企業には『 グロ ーカル化』の考え方が必要である。日本の建設システムをそ の まま海外に持っていくのではなく、その国々の歴史や文化を尊重しながら、日本の優位性

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