対話 (d3.2)
(u3.2.1) 質問者:田中先生を会議にお招きするということだそうですが.
(u3.2.2) 事務局:はい.
(u3.2.3) 事務局:基調講演でお話しになります.
図 3.3: 情報のなわばりについての対話例
ばりに入らないという語用論的条件が課せられる.また,発話 (u3.2.3)では,直 接形「お話しになります」が使用されているので,言語使用規則 5より,「基調講 演でお話しになります」という事態は話し手のなわばりに入るという語用論的条 件が抽出される.
Attrib,∗x,∗x; 1. (3.16)
Speaker,∗sp; 1∧ (3.17)
Hearer,∗hr; 1∧ P erson,∗less ; 1∧ P erson,∗more ; 1∧ N eq,∗less,∗more ; 1∧ Attrib,∗less,∗sp ; 1∧ Atrrib,∗more,∗hr ; 1
⇒ Respect,∗sp,∗more,∗less ; 1.
Speaker,∗sp; 1∧ (3.18)
P erson,∗less ; 1∧ P erson,∗more ; 1∧ N eq,∗less,∗more ; 1∧ Social rel,∗more,∗less ; 1
⇒ Respect,∗sp,∗more,∗less ; 1.
図3.4: 社会関係についての制約
し手は聞き手に帰属する人物を話し手に帰属する人物より上位に待遇することを 示す.制約(3.18)は,人物∗moreが人物∗lessより上位に待遇されるなら,話し 手∗spは∗moreを∗lessより上位に待遇することを示している.
図3.5は話し手の視点と情報のなわばりについての制約を示している.まず,制
約(3.19)は,話し手は聞き手に帰属する人物よりも話し手に帰属する人物寄りの
視点をとることを示している[48].次に,制約(3.20),(3.21),(3.22)は,情報の なわばりに関する制約であり,3.3.3節で示した神尾の提案(a)〜(d)をこの対話ド メインに適合するように近似したものである.制約(3.20)は,(a)の近似であり,
事態∗soaの行為者が人物∗agentなら,その事態は,その人物の行動予定を示す ものであり,その人物の情報のなわばりに入ると考えている.制約(3.21)は,聞 き手が行為者であるような事態は,話し手のなわばりには入らないことを示して いる.これは神尾が与えている条件(a)をさらに強めたものになっている.制約
(3.22)は(c)に対応しており,ある人物∗agent2のなわばりは,その人物に帰属す
る人物∗agent1のなわばり内の情報を含むことを示している.なお,条件(b) や
(d)に対応する制約は与えない.そういった制約を与えるためには,ドメインの行 為やイベントに関する知識が必要とされると考えられるからである.
また,各発話ごとに,話し手と聞き手が誰であるかという事態が文脈に含まれて いるとする.すなわち,次に示す事態のうち,(3.23)と(3.24)か,(3.25)と(3.26) かのいずれか2つの事態が文脈に含まれる.
Speaker,事務局 ; 1 (3.23)
Hearer,質問者 ; 1 (3.24)
Speaker,質問者 ; 1 (3.25)
Hearer,事務局 ; 1 (3.26)
さらに,次の事実が文脈に含まれているとする.
Attrib,事務局,質問者 ; 0 (3.27)
Attrib,質問者,事務局 ; 0 (3.28)
Speaker,∗sp; 1∧ (3.19) Hearer,∗hr; 1∧
P erson,∗less ; 1∧ P erson,∗more ; 1∧ N eq,∗less,∗more ; 1∧ Attrib,∗more,∗sp; 1∧ Attrib,∗less,∗hr ; 1
⇒ Empathy,∗sp,∗more,∗less ; 1.
Agent,∗agent,∗soa; 1 (3.20)
⇒ T erritory,∗agent,∗soa ; 1.
Speaker,∗sp; 1∧ (3.21)
Hearer,∗hr; 1∧ Agent,∗hr,∗inf on ; 1
⇒ T erritory,∗sp,∗inf on ; 0.
Attrib,∗agent1,∗agent2 ; 1∧ (3.22)
N eq,∗agent1,∗agent2 ; 1∧ T erritory,∗agent1,∗soa ; 1
⇒ T erritory,∗agent2,∗soa ; 1.
図3.5: 話し手の視点と情報のなわばりについての制約
P erson,質問者 ; 1 (3.29)
P erson,事務局 ; 1 (3.30)
すなわち,このドメインでは,事務局と質問者が互いに他に帰属することはな いことを仮定する.また,事務局を人物として扱うことも仮定する.