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第1章 序論

2. 文献検討

2.6 文献検討まとめ

研究目的

本研究は,転倒リスク場面における看護師の臨床判断能力について明らかにし,臨床 判断能力や場面の違いによる眼球運動との関連を明らかにすることを目的とする .

1) 「看護師が視覚情報から転倒リスクをアセスメントし,ケアを決定するまでの臨床 判断能力のルーブリック」を作成する.【研究 1】

2) 「看護師が視覚情報から転倒リスクをアセスメントし,ケアを決定するまでの臨床 判断能力」の違いと眼球運動の関連を明らかにする.【研究2-1】

3) 場面の違いにおける臨床判断能力と眼球運動の関連を明らかにする.【研究 2-2】

研究の意義

本研究の意義として,次の点が挙げられる.

1) 「看護師が視覚情報から転倒リスクをアセスメントし,ケアを決定するまでの臨床 判断能力のルーブリック」を開発することで,看護場面という,複雑な課題に関す る知識やスキルの活用の表現を評価するために適した,パフォーマンス評価 の方法 を得ることができる.

2) 「看護師が視覚情報から転倒リスクをアセスメントし,ケアを決定するまでの臨床 判断能力」の違い(熟達レベルの高い群と低い群)と眼球運動の関連を明らかにするこ とで,客観的に臨床判断能力が高い看護師の,視覚による観察の特徴を明らかにす ることができ,患者の転倒を予防するための,看護師に対する教育の示唆を得るこ とが期待される.

用語の定義

1) 臨床判断とは,「理論的知識や実践的知識をベースにして,患者の持つ事象や問題

を分析的過程と直観的過程を通して判断し,そのクリニカルジャッジメントに基づ いて行為が決定されるということ」(Tanner,1989)の定義を本研究では用いることと する.

2) パフォーマンス評価とは,「ある特定の文脈のもとで,様々な知識や技能などを用 いて行われる人のふるまいや作品を,直接的に評価する方法」(松下,2007)であり,

本研究では,動画視聴時の眼球運動および,対象者の 語りの内容をルーブリックを 用いて評価することとする.

本論文の構成

本論文は,転倒リスク場面における看護師の臨床判断能力について明らかにし,臨床 判断能力や場面の違いによる眼球運動との関連を明らかにすることを目的 に 5章から構 成した.

第 1章は,序論として研究の動機・背景から文献検討を行い,本論文の目的・意義を 示している.第 2章は,視覚情報を基にどのように観察し(眼球運動測定),どのような 臨床判断を行ったのか(臨床判断力のパフォーマンス評価),その関連について混合研究 法によってデータ収集,分析を行うための研究方法を提示した.第 3章は,臨床判断力 のパフォーマンス評価(ルーブリック)の信頼性・妥当性に関する結果と,眼球運動とル ーブリックの関連について分析した結果を示した .第 4章は,結果を受けてルーブリッ クの信頼性・妥当性,眼球運動とルーブリックの関連,ルーブリックの使用の可能性,

看護教育への活用について考察を提示した.第 5章は,総括として本研究から導きださ れた看護師の臨床判断能力や臨床判断能力と観察場面の違いによる眼球運動との関連を 提示した.

なお,第1章の2.5「看護領域における眼球運動測定を用いた研究」 は,石川看護雑

誌 第14巻「看護場面における視線解析を用いた研究の動向と今後の課題 」(寺井梨恵子,

丸岡直子,林静子)に掲載されたものである.