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文化財庭園の管理運営を都立庭園ガイド ボランティ アと協働する意義

4 . 1 本章のねらい

都立庭園ガイド ボランティ アは、文化財庭園の歴史的、文化的価値や魅力を市民に伝える とともに、その活用を進める取り 組みを市民と協働して実施するという 、文化財庭園の新た な管理手法として創出されたものであるが、 庭園ガイド ツアーの参加者に対するアンケー ト 調査及び、 都立庭園ガイド ボランティ アとして活動する人々に対するアンケート 調査の 結果、都立庭園ガイド ボランティ アは文化財庭園の活用を進める上で有効な手段であり 、ボ ランティ アとして活動する市民の自己実現の場、 活躍の場とし ても有効な取組みであるこ とが明らかとなった。

そこで、本章では、文化財庭園を市民との協働により 管理運営する意義について明らかに するとともに、都立庭園ガイド ボランティ アの活動が、社会参加、自己実現の場としての意 義を明らかにする。

4 . 2 文化財庭園の管理を市民協働で行う 意義

文化財庭園を次世代に引き継いでいく ためには、 次世代に残すべき価値ある財産である との理解と支持を、 市民から得ることが必要である。 そのためには、 文化財庭園の歴史的、

文化的な価値や魅力を広く 市民に伝え、理解を深め活用を促す取り組みが必要である。そし て、 市民の貴重な財産である文化財庭園は市民の手により 守られていく ことが望ましいと の考え方から、文化財庭園の活用を市民との協働で進めるために生まれたのが「 都立庭園ガ イド ボランティ ア」 である。

文化財庭園の歴史的、文化的な価値や魅力を来園者に伝え、理解を得るためには、有料観 光ガイド のよう な、単に決められた内容の説明を画一的に説明するのではなく 、きめ細やか で、柔軟で、説得力のある説明が望まれる。都立庭園ガイド ボランティ アは、一般市民によ るボランティ アであるため、庭園ガイド ツアー参加者と同じ視点で、文化財庭園を見ること ができるため、都立庭園ガイド ボランティ アの人々が疑問に思う 点、知り たい内容、話した い内容と、庭園ガイド ツアー参加者の抱く 興味や関心事は近いものがあり、庭園ガイド ツア ー参加者が知りたかった内容を、ボランティ アが分かり 易く 説明をすることで、参加者の高 い満足感を得ていることがアンケート 調査により 明らかとなっている。

都立庭園ガイド ボランティ アによる分かり 易い説明によって、 庭園ガイド ツアー参加者 の満足度、理解度を高めることができ、文化財庭園に対する理解と支持を高め、文化財庭園 を次世代に引き継いでいく という 大きな目的を達成することができる。

当時の公園協会の諮問機関である「 都立庭園の管理に関する専門委員会」 の委員長であっ た進士五十八氏24)によると、文化財庭園のガイド を提言した理由として、「 絵のよう な京の 庭と は違って, 広大で絵になり づらく 一方で数百年の波乱万丈な庭園生活史を重ねた江戸 庭園物語は, 広汎かつ深い知識や都民が関心を持つ地誌や植物誌やエピソード を楽し く 話

せる語り 部の存在なく して,その魅力を十分に伝えることはできない」と、は述べているが、

その語り 部としての役割を都立庭園ガイド ボランティ アが果たしている。

文化財庭園は、文化財保護法に基づき文化財指定された庭園であり 、地域の歴史を継承す る地域文化の象徴でもある。文化財庭園を保全し次世代に引き継いでいく ことは、地域文化 を継承し、 尊重していく ことでもあり 、 文化財庭園の管理者にとって重要な使命である。

文化財庭園の管理を市民との協働によって行う ことによって、文化財庭園の歴史的、文化 的価値、魅力等を市民が直接肌で感じることができ、市民の理解と協力の輪が大きく 広がる ことによって、文化財庭園を次世代に引き継いでいく 上での大きな力となっていく 。そして、

さまざまな知識や経験を持つ多く の市民が語り 部となり 、 文化財庭園の魅力を十分に伝え ていく こと が、 更に多く の市民が文化財庭園に対する関心と興味を持つよう になっていく 上での契機となる。また、文化財庭園の管理を市民との協働により 行っていく ことは、地域 の資産である文化財庭園を歴史的文化的価値あるものとし て、 良好な状態で次世代に引き 継いでいく う えで、 重要な意義を持つと考える。

4 . 3 都立庭園ガイド ボランティ アの活動が自己実現の場であることの意義

我が国は、今や「 超高齢化社会」 を迎えつつあると いわれている。世界に冠たる長寿国に なったことは、 我が国経済社会の成功を示すものであり 、 多く の人が100歳まで生きるこ とが可能となった長寿社会において、高齢者を含むすべての人々が健康で、生きがいを持っ て暮らせる社会を実現していく ことが求められている。このこのため、2012年( 平成24年)

3月、文部科学省は「 長寿社会における生涯学習の在り 方について」4 )の報告書を作成した。

報告書では、 人生100 年時代の長寿社会が到来しつつある中で、 全ての人が自己実現を果 たし、生きがいを持って、より 自分らしい豊かな人生を選び取ることができるよう にするこ とが、 これからの生涯学習に求められている、 としている。2012年に内閣府によって行わ れた「 生涯学習に関する世論調査」5 )においても、生涯学習や社会活動に対する機運が高ま っていることが明らかにされている。

このよう に、生涯学習の拡充が求められているが、単に自分の興味のある学習を個人的に 行う のではなく 、 その学習を通し てその成果を社会に還元できて貢献できるものであるな らば、社会にとっても有意義なものとなる。そして、個人の自己満足に留まらず、社会への 還元が出来るならば、 それは十分社会貢献といえる。

本研究において、 都立庭園ガイド ボランティ アとして活動する人々に実施したアンケー ト の結果、都立庭園ガイド ボランティ アへの参加の動機は、男女とも「 庭園が好きだった」

といった理由だけではなく 「 生きがいを見つけたかった」「 自分の活躍の場が欲し かった」

といったことが上位となっていた。また、都立庭園ガイド ボランティ アの活動をすることに よって。日常生活にメ リ ハリ が生まれたことなど,都立庭園ガイド ボランティ アの活動は,

活き活きと充実した生活を送るう えで重要な要素となっているといえる。

都立庭園ガイド ボランティ アは、当初、文化財庭園の歴史的、文化的価値や魅力を市民に

伝えるといった、 文化財庭園の活用を進めること を目的と して設立さ れた取り 組みであっ た。しかし、時間が経過し、都立庭園ガイド ボランティ アの組織が自主的運営を継続してく る経過の中で、単に市民に文化財庭園の活用を図るだけの組織ではなく 、その作業にボラン ティ アとして活動する市民にとって、社会参加の場、生きがいの場としての役割を持つ組織 へと変化していった。

都立庭園ガイド ボランティ アは,文化財庭園という 公共施設をフィ ールド にして,自ら興 味ある文化財の知識を同好の仲間と共に深め,その知識をガイド ツアー参加者に説明し,喜 んでもらう ことで満足感を得ている。また、歴史的、文化的価値ある文化財庭園をガイド す ることに対して、社会的意義を感じ,都立庭園ガイド ボランティ アの活動に対して高い満足 感を得ていると の回答もあった。 高齢者も含め多く の市民がボランティ アとして活動する ことにより 、 生きがいを得る場所とし て都立庭園ガイド ボランティ アは有意義な存在であ ることが分かった。

文化財庭園は市民の資産であると共に地域の資産でもある。 地域の資産を市民の手によ り 次世代に伝えていく ことが、地域の誇るべき歴史、文化を守り 、育て、継承していく こと になる。文化財庭園という 、地域の歴史的、文化的資産を次世代に伝えていく 取り 組みを、

市民が自らの意志により 学習し、別の市民に伝えていく ことは、社会にとっても有意義なこ とであり 、自己実現の場として、市民が活躍するならば、市民にとっても社会にとっても価 値あることである。

都立庭園ガイド ボランティ アとして、文化財庭園の管理に参加することは、参加する市民 にとって、充実した毎日を送るう えで重要な生涯学習の場であり、生きがいを持って生き生 きと生活すること が地域社会を活性することであり 、 文化財庭園という 地域の貴重な歴史 的、文化的資産の価値を地域に伝え知らしめることでもあり 、それは地域社会にとって、重 要な取り 組みである。

都立庭園ガイド ボランティ アを自己実現の場と して活用することは、 活き活きと生活す る市民を形成すると共に、 地域の活性化にもつながるという 意義を持つものと考える。

4 . 4 本章のまとめ

東京都における文化財庭園は、江戸時代の大名庭園に由来するものや、明治、大正時代の 民間の財力ある企業家等の邸宅を含んだ庭園であり 、そこに足を運び、庭を回遊し、楽しむ ことが、 庭本来の活用の仕方であり 、 魅力を体感することができるものである。

文化財庭園に興味はあるが理解すること は難し いと考えている人たちに対して、 文化財 庭園の歴史的、文化的価値を分かり 易く 伝え、その魅力を伝えることは、文化財庭園の活用 を考える上で重要なことであり 、 より 分かり 易い説明は文化財庭園に対する興味や関心を さらに引き出すことができる。

文化財庭園が次世代に残すべき価値があるとの理解と支持を市民から得るためには、 文 化財庭園に訪れ、魅力を体感する必要があり 、都立庭園ガイド ボランティ アは、多く の市民

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