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文化の回復、自己の回復

ドキュメント内 Copyright UNFPA 2008 (ページ 78-82)

リプロダクティブ・ヘルス

D. 文化の回復、自己の回復

文化的アイデンティティを表現する能力があると、戦争 の精神的痛手から立ち直る助けになるということを開発機 関はわかってきた。「避難民に残された個々の人間性のす べてを取り戻すよう支援することは、彼らの将来、健康、

コミュニティの団結のために、また追放によるトラウマの 後の尊厳を維持・回復するために不可欠であろう」38。人々 に文化を表現するよう促すだけでなく、人々が認識し理解 する文化的表現を活用すれば、サービスが一層効果的にな ると開発援助の実践者は説明する。例えば、国連児童基金

(UNICEF/ユニセフ)は美術、演劇、音楽、ダンスを活用し、

コソボ、コロンビア、スリランカ、アルジェリア、クロア チア、ルワンダなど多くの場所で、避難民の子どもたちの 回復を支援してきた39。スーダン人の女性難民を助ける最 も効果的な戦略は、コミュニティを強化し、社会・文化的 文化的アイデンティティを表現する自由は、コミュニテ

ィの精神的・身体的健康を維持する強力な手段となり得 る。表現の自由もまた一つの権利である。われわれが援 助で使う言語がニーズに基づくもの(needs-based)から権 利に基づくもの(rights-based)へと変化するとともに、力 が強化されるような文化表現を尊重することは、われわ れの思考や計画に必ずや影響を及ぼすはずである32

女性の社会的ネットワークと経済的機会を改善するための文化を取り入れた心理的・社会的介入は、心の平穏と安定に貢 献する。このような精神状態があって初めて、女性たちが紛争で体験した恐怖に対して真正面から取り組んで解決するこ とが可能になり、平和な未来に向けて進む女性とそのコミュニティを支援することができる34

戦争で荒廃したコミュニティに残る女性、家を追われた 後にコミュニティに戻った人、逃避を余儀なくされた人 など、すべての住民にとって最も効果的な心理的・社会 的プログラムは、その文化の中で、または複数の文化に またがって活動し、戦争と強制退去によって崩壊したコ ミュニティの絆を再び確立し強化するサービスを提供す るものである35

第 6 章   文 化 と の 対 話 : 紛 争 下 に お け る ジ ェ ン ダ ー と リ プ ロ ダ ク テ ィ ブ ・ ヘ ル ス

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ネットワークを構築することである。アフガニスタンでは、

紛争で女性が受けた心の傷を緩和するのに西洋流の診断・

治療を使わないよう支援提供者が助言している。その代わ りに示唆しているのは、文化に精通すること(cultural fluency)が、女性が経験してきたことを理解し、回復のた めに女性が求めていることを把握する上で重要だというこ とである40。インドネシアのアチェ州で避難女性が求める のは、イスラム教の信条を取り入れ、深い悲しみに対する 文化的アプローチを受け入れる支援である。アチェの女性 たちは、長々と悲しみ続けることは愛する人たちの魂が神 に届くのを妨げると信じている。彼女たちは、心の傷や悲 しみについて長々と議論するよりも、将来を築くための教 育訓練など実用的な支援を求めている。文化に配慮したア プローチがあって初めて、このような特異なニーズが明ら

かになり、それに対応することが可能になる。

開発機関内での文化との対話

文化に対する意識と取り組みは、国や地方での活動現場 だけでなく、開発機関自体の中でも同じように重要である。

スタッフ自身の文化的意識は、活動に対するアプローチに 影響を及ぼす可能性がある。紛争防止、人道支援、平和維 持、平和構築のための介入が、ジェンダーの関係と文化に どのように影響するかを注視することが、文化に配慮した アプローチでは求められる。

例えばUNFPAは、紛争下での人権侵害に対応し、ジェ ンダーの平等を推進できる態勢をそなえた組織文化の構築 に努めている。この活動を通して、UNFPAは最も効果的 な介入が、対話を重ね、変革に取り組む人々と戦略的パー 3月中旬、何百人ものコンゴ人女性、

男性、少女が横断幕を掲げた。そこに は「コンゴ人の尊厳のために、沈黙に 対して一緒にノーと言おう」、「もう性 的暴力はたくさん!」と書かれていた。

決意のみなぎる顔で、女性、男性、少 女たちは頭上高くこのスローガンを振 りかざした。こうして1000人を超え るコンゴ人当局者と一般市民、国連指 導者、NGO、市民団体がキンシャサ郊 外のキンコレ(Kinkole)に集まり、性的 暴力の蔓延を根絶する国民意識向上全 国キャンペーンが開始された。UNFPA によると、毎月平均1100件のレイプ が報告されている。「性的暴力がコンゴ 民主共和国では一種の疫病になってい る」とUNFPAコンゴ代表のマーガレッ ト・アガマは語った。「当初レイプは、

近年のコンゴの紛争に関わるあらゆる 戦闘勢力によって戦争の手段として使 われていたが、残念ながら現在は武装 勢力だけでなく、権力者、隣人、友人、

家族のメンバーなど、一般の人々が性 的暴力を行っている」。

1月には和平協定が正式に締結され、

コンゴ民主共和国で10年間荒れ狂った 紛争が終結した。このように、UNFPA が女性・家庭・児童省(Ministry  of Women,  Family  and  Children)と共 に組織したこのキャンペーンは、まさ にコミュニティがインフラを再建し、

紛争で土地を追われた100万人以上の 人々を社会に再統合させようと努力し 始めた重要な時期に始まったのである。

このキャンペーンは、国内と国際社会 全体で性的暴力に対する意識を向上さ せ、暴力廃絶のために当局者、近隣の 人々、被害者、友人、家族のメンバー を結束させた。…加害者に対する刑罰 の免罪を終わらせる必要があるという のが、このUNFPA主導のキャンペーン の主要メッセージで、国の指導者たち にとっても主要な課題になっている。2 月にコンゴの女性・家庭・児童省のフ

ィ ロ メ ー ヌ ・ オ マ ツ ク( P h i l o m ̲ n e Omatuku)大臣は国民に向けて、「今か ら私たちコンゴ民主共和国の女性は、

性的暴力、刑罰免罪にノーといいます。

コンゴ人女性は平和を求めます」と宣 言した。

あらゆるレベルにおける主な活動の 担い手を対象に意識向上を図る多面的 なこの集中キャンペーンは、1カ月にわ たりコンゴ民主共和国の11の州で実施 された。キャンペーンは報道各社、劇 場、公開の電話回線、映画、ビデオに よるフォーラムと討論などの幅広いコ ミュニケーション手段を活用し、政府 や 外 交 関 係 者 に い た る ま で あ ら ゆ る 人々に訴えた。キャンペーンはまた、

世論に影響を及ぼすため、広く知られ た道徳上の指導者の権威にも頼った。

Source: http://www.unfpa.org/news/news.cfm?

ID=1113, accessed June 2008.

コンゴ民主共和国、キンシャサ、2008年4月4日

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トナーシップを構築し、現地の自発的活動を基盤とするこ とによって生まれることを知った。自分の社会で活動する 開発従事者は、一般に様々な時点で実行可能なものは何か を熟知している。彼らは変革に必要な過程と、一番効果が ありそうな手段と方法を知っている。しかし、戦略的パー トナーシップには確たる取り組み姿勢が求められ時間がか かる。パートナーシップは、そこに関与する全員が人の考 え方はそれぞれ異なり、人は互に認め合い尊重するに値す ると認識する時に最も発展する。開発機関は異なる文化圏 でメッセージを伝える際に、最も効果的なコミュニケーシ ョンのシンボルと形態を見出して、ますますそれらを活用 するようになっている。開発機関は、行動の変容について 彼らが概念化したメッセージを伝えるのではなく、歌、ダ

ンス、演劇などコミュニケーションの様々な文化形態を活 用して住民との関わりを図っている。そうすることで対話 のきっかけをつくり、人々を参加させながら、彼らの状況 に適した形で権利の侵害に取り組み、ジェンダーの平等を 推進する戦略を構築している。

「 私 の 名 前 は カ ヤ ン ベ ・ チ バ ン グ

(Kayembe  Tshibangu)といい、ブ カブ市ムシュムネ(Mushumune)の 長です。5人の子どもがいて、普通に家 族と暮らしていました。過去には他の 男性と同じように行動していました。

妻は私にとって奴隷で、何の権利もも たず、私を無条件に尊敬しなければな りませんでした。妻はいつも家にいて、

ほかの女性に会いに出かけることはで きませんでした。妻は私の付属物でし た。結婚する時に私が婚資であるダウ リーを払ったからで、そのため妻を好 きなように扱う権限が私にはあったの です。妻は性行為についても、いつで もどこでも私の言いなりでした。拒否 すれば罰を受けました。私は家では完 全な暴君でした。私が家に帰ると、「ラ イオン」が帰ってきたと言って子ども たちもほかの皆も逃げました。それは 完全で絶対的な独裁体制でした。私は ほかにどんな暮らし方があるかを知ら なかったからです。

2005年8月18日以降、「女性のため の女性インターナショナル(Women for Women International)」の男性の リーダーシップ・プログラムと出会っ た日から状況が一変しました。私は改 心し、新しい生活を始めました。子ど もと家族さえ、何があったのかとたず ねてきました。家族は信じられなかっ たのです。あまりにすばらしすぎて、

本当のようではありませんでした。家 族は夢だと思い、蜃気楼のようにしば らくしたらどこかになくなってしまう と考えたのです。でももう決して昔の 自分には戻りません。今は家族と私は 友達であり仲間です。一緒に話して笑 い、家には平和があります。涙や悲し みはもはやありません。妻も私の友達 になりました。今は彼女の話を聞き、

助言を受けます。本当の改心者として、

友人にも私の学んだことを知ってもら いたいと願っています。そこで妻と子 どもたちと一緒に家から家へと回って ほかの家庭と対話しています。ほかの

家族がわれわれを見ると、ショックを 受け、何が新しい姿、変化をもたらし たのか聞きたがります。彼らも必ず感 動して、変化のプロセスがどんどん続 いています。はじめに会った時には変 化のメッセージを受け入れようとしな い人たちもいます。フォローアップの 戦略として、われわれは自分たちを分 ける方法を使います。つまり夫対夫、

妻対妻、子ども対子どもに分けるとい う戦略です。われわれは一対一のアプ ローチを採用しています。家庭レベル では継続的な交流があります。これま でに58家族の人生に触れましたが、活 動はまだまだ続きます」。

Source: Women for Women International. 2007.

“Ending Violence Against Women in Eastern Congo:

Preparing Men to Advocate for Women’s Rights,”

p. 22. Washington, D.C.: Women for Women International. http://www.womenforwomen.org/

news-women-for-women/files/MensLeadership FullReport_002.pdf

男性がリーダーシップをとるプログラム

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私たちはコミュニティ、地域の指導者、社会的・政治的・

文化的・宗教的指導者との協力関係を強化するために様々 なことを学んできました。それは彼らと対話し、彼らの話 に耳を傾け、知識と見識を共有し、共に今後の計画を立て 前進するということです。UNFPAは大きな進展を遂げ人 権を擁護するため、活動を計画する際には文化的要素を体 系的に主流化するという道を歩み出しています。

−トラヤ・オベイド、UNFPA事務局長

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