2.
1はじめに
V L S 1の製造において、 重大な関心事は、 歩留まりである。 そのためには、 理論的歩留まりを導 かなければならない。 その理論歩留まり式の導出にあたっては、 まず欠陥がどのように分布するかを 考えることから始まる。 そして、 歩留まりの多くの研究では、 いくつかの欠陥分布関数における欠陥 の平均値と分散、 そして欠陥の平均値を用いての理論歩留まり式の導出がなされている[2ム4J。 し かし、 研究成果として発表されているものは、 あくまでも歩留まりの平均値である。 そのため、 製造 現場では、 拡散プロセス終了後のロット単位、 あるいは一定期間の歩留まり平均値を算出して、 理論 式より歩留まり平均値が何%低下している、 または何%上回っているということで、 工程管理を行っ ている。 もっときめ細かな工程管理を行うためには、 歩留まりの分散、 そして歩留まり自身の分布関 数の導出が待たれる。 だが、 実際のVL S 1製造現場のデータを用いた理論歩留まり式の比較論や歩 留まり分布関数の導出は、 まだまだ少ないのが現状であり、 それらの研究が待たれている。
次に、 VL S 1製造で重要なことは、 歩留まりとともに、 VL S 1製品の品質である。 その品質の 尺度として、 欠陥レベルが用いられる。 これは、 不良VL S 1をどのくらいの割合で見逃して、 出荷 するかという指標である。 この欠陥レベル式で有名なものは、 故障個数が2項分布しているとして導 出されたもので、 歩留まりと故障検出率の関数で表わされる。 しかし、 理論歩留まり式を導出すると きには、 欠陥自身がある関数分布で表わされる分布をしていると仮定した。 同じように、 故障自身も 分布関数を持つのではなかろうか。 それで、 欠陥分布関数と特性を同じくする故障分布関数を用いて、
欠陥レベル式を導出する必要がある。 そうすれば、 歩留まり式と欠陥レベル式が同じ思想、で導出され るであろう。
さらに、 精度の高い品質管理を行うために、 欠陥レベルの分散、 そして欠陥レベル自身の分布関数 を導出する必要がある。 しかし、 歩留まり式と同様に欠陥レベルの実践的式、 あるいは品質基準は半 導体メーカーの企業秘密事項が多いため、 実際のVLSI製造現場のデータが発表されることは少な い。
そして、 VL S 1製造で得られる歩留まりを検査歩留まりと定義するならば、 それは、 真の歩留ま りと不良品を良品と売なす確率の和である。 この検査歩留まりが論理的に算出できるならば、 VLS Iの製造工程は、 さらにきめ細かな管理ができる。 この実践的分野に対する研究は、 VLSIの製造 現場では重要な指標であるわりには、 従来ほとんどなされていない。 著者は、 この検査歩留まりの算 出法を明らかにし、 この理論値が実際のVL S 1の製造現場で得られるデータとよく一致することを 実証する。
35
2. 2歩留まり分布
歩留まりの理論式は、 VLSIがX個の欠陥を持つ確率p(X=x)を
入
p (X=x) =
一一
x!e ー入
(2-1 ) とし、 欠陥入の分布密度関数をf (入)とすれば、
P(X=x)= f -- J
f (À) d À(2-2) で、 p (X=O) =yとすれば、 求められる。 これは、 最初からp (X=O)としても、 同じ結果 を得る。 すなわち、
Y = E
(e一入)
=J
...0� e一入f (入) d入
(2-3) と、 期待値を求めることと等しい。 ここで、 f (入)として
f (入)=
hu
A /
、八e
LK 】八LK 11f hu A門/t‘、
、、,,,k ,,目、、「1
(2-4 )
平均値: E [入J = E [A 0 J =入。=ADo=Abk 分散 : V [入J =v [ADJ = (Ab) 2k
のガンマ関数分布を考えれば、 k=1のときは、 平均欠陥入の分布密度関数が指数関数であるとき と同じであり、 k=∞のときは、 単純なホアソン分布となるので、 歩留まり分布を考えるに当たって は、 このガンマ関数分布で議論する。 そうすると、
('
1\
ke一入f (入) d入 =( 1
\1+入 。/k )
Y = E
(e一入)
=s。
(2-5 ) であり、
E [
(e一入) 2
J =S∞e-2入F (入) d入
し 3 ∞(入)k - 1 i ( 2 +1/A b ) 入 d入= (
1l
k[""" (k) (Ab)" 0
�1+2入。/k )
(2-6 ) であるから、 歩留まりの分散σ2は、 次式(2-7)となる。
o2=E
[(e一λ)
2J _y2七 ;
入o/J � (
1+;
/k)
2k(2・7)
ここで、 次図2-1に平均欠陥入。と平均歩留まりYの関係を示す。 同時に実際の歩留まり平均値 を示す。
100
80
平 均60 歩
日3田
ま り40
% 20
。
。
• •
、
e • •.
- •.
þ -
.wη
・ .災 込g ~
• • - .
. ・ . . . .
• •
0.2
園 田 園 k= 1
一一一-
k=2--
・ k=4 実際値0.4
平均欠陥
0.6 0.8
図2-1 平均欠陥と理論平均歩留まり、 そして、 実際の歩留まりの平均値
Fig. 2-1 Average defect and theoretical average yields and actuaI average yields
この図から明らかなように、 kの値が小さいほど、 理論歩留まり値は高くなる。 これは、 平均欠陥 のばらつきが小さいほど歩留まりが高く、 平均欠陥のばらつきが大きいほど歩留まりが低くことを表 している。 しかし 、 実際の平均歩留まりは、 かなりばらつきがあり、 理論歩留まり値とかけ離れてい るものが多い。 このことは、 V L S Iの製造工程で平均歩留まりのみで工程管理をすることが非常に 難しいことを意味している。
37
�
次に、 平均歩留まりと歩留まり分散を示す。 同じように、 実際に1J 000スライス以上測定した 結果より求めた分散値を示す。 歩留まり分散は、 kが小さいほど分散は大きく、 kが大きければ大き いほど分散は小さくなる。 また、 平均歩留まりが100%に近く高いときと、 0%に近い低いときほ ど歩留まり分散は小さくなり、 歩留まりのばらつきが小さくなることを示している。 逆に、 歩留まり が中くらい、 40%近辺で最も分散は大きくなり、 拡散フロセスが終了して上がってくるスライスを 測定する度に大きく歩留まりが変動することを示している。 また、 VL S 1デバイスの実際の分散値 も平均歩留まりが100%より小さく(40%弱まで)なればなるほど、 分散が大きくなることを示 しており、 理論的歩留まりの分散式が妥当であることを示している。 また、 前記の平均歩留まり値と 分散値を使用すれば、 さらに精度の高いVLSI製造の工程管理ができることを示唆している。
10
... ・・・ 園町ー -.
, 、 1- - - k=1
, 、
8 〆 、 k=2
t矢, , 、
五回刀 , 、
, 、 k=4
ま , 、 • 実際値
り6 , 、
の ,
_/ r /"" ""
一 一
�
、分 ,
\
散4
/ �
、、,
�
、
% , / / 4F 『司・・・・・ーーー 、
、
2 I , / ./ •
血 、 、 ‘ -�
、、l〆
•。
。 20 40 60 80 100
平均歩留まり(%)
図2・2 平均歩留まりと歩留まり分散、 そして、 実際の分散
Fig. 2-2 Average yield and variance and actual varianc
;欠に、 O. 2 5μmプロセスで49. 5mm2のデバイスの5J 0 1 4スライスの実際の歩留まり 分布を示したのが次図 2-3である。 この歩留まり分布は、 平均値86. 1 %、 分散が1. 1 %となっ た。 そして、 この平均歩留まり86. 1 %を使用したときの理論分散は、 k=1のとき1. 3 %、 k
=2のとき1. 0 %となり、 実際の値と良く合致していることが分かる。
800
600
400
200
スライス数
ー'回・ー
。
100 95
90 80 85
75 70
歩留まり(%) 実際の歩留まり分布
Fig. 2-3 Actual yicld 図 2・3
以上の研究により、 次のことが分かる。
a)欠陥分布関数として、 ガンマ分布を仮定して、 歩留まりの理論分散式を導出した。
ガンマ分布は、 その特性を示すばらつき係数kを変えることによって、 他の分布関数の特性を もカバーすることができるので、 この導出した歩留まりの理論分散式も、 ほぼすべてのVLS Iの製造現場の歩留まりの分散を表わすことができる。
b)実際のVLSI製造現場のデータでは、 平均歩留まりが50%より高いとき、 平均歩留まりが 高くなればなるほど、 歩留まりの分散が小さくなる。 この特性を歩留まりの理論分散式も表わ しており、 実際の特性と一致している。
c)実際のVLSI製造現場での歩留まりの分散値と理論分散値がよく一致している。
d)この歩留まりの分散の特性と値が実際値と理論値がよく一致することから、 本理論の有効性が 証明された。
e)このことによって、 従来、 歩留まり管理が平均値のみで管理されていたが、 歩留まりの分散を VLSI製造のきめ細かな管理手法としての応用が可能となった。
用いた工程管理ができ
費支Eヨ
しかし、 実際の歩留まり分布状況は、 平均歩留まり値に対して対称ではないこと、 そして f )
大発生歩留まり値が平均値より大きな値をとることが分かる。 このことから、 歩留まり分布が 今後の研究 ベータ分布に近い分布をしていると考えられる。 歩留まり分布の曲線については
今後は、 歩留まり自身の分布関数の導出が研究されるであろう。
39 課題としたい。 このように
また、 それが期待される。
�
ー
2. 3 一般的欠陥レベル式とその分布
いま、 VL S 1デバイス上に、 N個の故障が発生する可能性箇所があり、 M個 (M壬N)の故障は、
製造工程上発生したら、 すべてテストで検出されるものとする。 そして、 故障の起こる確率(P 1 P2、 ・ , P N)は、 他の故障の発生する確率とは独立で、 また、 その確率は等しいとし、 その値 をPとする。 そうすると、 故障のあるV L S 1製品が良品として見逃され、 出荷される確率(欠陥レ ベル)0 L は、 式(1-31)から、 次式(2-8)で表わされる。
M N
PA (1-P) 一 (1 -P)
OL= 一
(1_p)N +PA (1_p)M
=1一(1 -P ) N -M = 1一(1 -P ) N ( 1 -M/N) (2-8 ) そこで、 NP=入=AO (A: VLSIのチップ面積、 0:故障密度)を一定として、 N→∞、 し たがって、 P→0となる1一 (1 -P) N (1 -M/N)の怪限分布を考える。 ここでは、 計算を簡単にす
るために、 y= (1 -P) N (1-M/N)の極限分布を考える。
y = (1一入/N) N (1 -M/N) = (1一入/N)N (1-F) の対数をとって、
log y = N (1 -F ) log ( 1一入/N) ここで、 S<1のとき
log ( 1 -S) = -S -S 2 / 2ー であることを利用すれば、
log y = N (1 -F) (一入/N一入2/2N 2ー ここで、 Nが充分大きいとすると、 次式(2-13)となる。
(2-9 ) (2・10) (2-11 )
(2・12)
y=e一(1-F)λ (2-13 )
そこで、 平均故障入の分布密度関数をf (入)として、 yの期待値y。を求める。 すなわち、
Yo=E (e- (1-F)入)=
J
∞ e- (1-F)入f (入) d入o (2-14)
そして、 平均故障入の密度関数f (入)、 あるいは、 故障密度の密度関数f (0)をいろいろな関 数分布で仮定すれば、 欠陥レベルを求まる。 ここでは、 計算を簡単にするために、
ocコ
Y = E (e一入)=
S"
e一入f (入) d入(2-15 ) を利用して、(2-15)式の平均故障入を求め、 それを (2-14)式に (1 -F )入の形で代入すること によって、 y 。とYの関係を求める。
( 1 )デルタ関数分布
一(1 -F)λ-V (1-F)
yo=e " "=y (2-16 )
�
DL=1-y(1-F) (2-17 )
これは、 論文[6]で表される式と同じである。
( 2 )三角形関数分布
y =
( γ )
(2-18 )この式より、 e λ=1- (.,ry p) 入となるから、
1一入+入2/2_-・・=1-(.,ryp)入
となり、 入が充分小さいとすると、 入=2 (1 -.,ry p)である。 よって、
(2-19 )
I -2 (1 -,ry) (1 -F ) \ 2
I 1 -e \
y 0= \ J
\2 (1-.,ry) (1-F) ノ (2-20 )
D L =
1-(2・21)
( 3 )指数関数分布
Y
y 0=
Y+(1-F) (1-Y) (2-22 )
nυ lL 一一 Y
Y+(1-F) (1-Y) (2-23 )
( 4 )長方形関数分布
この場合も三角形関数分布のときの導出と同じように歩留まりYより入を求めることによって、
-2 (1-F) (1-Y ) 1-e
YO-2 (1-F) (1-Y) (2-24 )
-2 (1-F) (1-Y ) 1-e
D L =
1-2 (1-F) (1-Y) (2-25 )
( 5 )ガンマ関数分布
(2・26)
41
__..ー
DL=1-
( 日
+(1-F)1(1-このように、 欠陥レベルは、 Nが充分大きくN Pが入に収束するとするならば -F)λとなり、 その平均値Dしは、 求めることができた。
(2ぞ7)
DL=1-e一(1
欠陥レベルの分散CD L2は、 DL=1-e一(1-F p)λ=1-y 。の第2項の分散をとれば よい。 こ こで、 f (入)として、 式(2-4)のガンマ関数分布を考えれば、 k=1のときは、 故障入の故障密 度関数が指数関数であるときと同じであり、 k=∞のときは、 単純なポアソン分布となるので、 欠陥 レベル分布を考えるに当たっては、 このガンマ関数分布で議論する。 そうすると、 y 。は、 式(2-14) と式(2-26)で表わされるから、 欠陥レベルの分散σD L2は、 次式(2-29)となる。
C D L2二E [ ( e一(1-F)λ) 2 ]一[E (e-(1ーF)λ)] 2 (2-28 )
この第1項は、 歩留まり式(2-5)の入。の代わりに2 C1-F)入。を代入すれば、 y 。と歩留まり 平均値Yとの関係が求まる。 これによって、 次式(2-29)が求まる。
σ L 2 = ( � 山 (1 J F)(1-F) ) Ky - ( Y 1 /K+(1 J F)(1 - Y 1 /K )γ
(2-29 )