第 2 章 力学の基本法則 15
2.3 万有引力
2.3.5 放物運動
地上で物を投げると重力により地上に落ちてくる。重力下での物体のこのような 運動を放物運動という。
O y
mg y
0[
例題2.5]
図のように,鉛直上向きにy
軸をとり,原点y = 0 m
を地表の高さとする。y
0の高さから質量m
の小 石を初速度v
0で鉛直方向に投げた。小石を落とした瞬間をt = 0,
重力加速度の大きさをg
とする。(1)
落下中の小石の運動方程式を書きなさい。(2)
運動方程式を時間で積分することによって,小石の 速度および位置の時間変化を表す式を導きなさい。(3) y
0= 20 m
で小石の初速度がv
0= 0 m/s
のとき,小石が地表に落ちる までの時間を求めなさい。(g ≃ 10 m/s
2 として概算してよい。) (4) y
0= 20 m
で,小石が地表に落ちるまでの時間が1 s
だった場合について初速度
v
0の値を求めなさい。また,その符号からt = 0
における 小石の運動の向きが上下どちら向きであったかを述べなさい。[
解説] (1)
小石の運動方程式は以下の通り[∗]。[∗]運動方程式をy¨=−gと書かないこと。
m¨ y = − mg (2.40)
重力の向きが座標軸と逆向きなので,重力項に
’ − ’
がついていることに注意せよ。(2)
運動方程式(2.40)
の両辺をm
で割り,さらに積分をすることにより,順次速 度と位置を得ることができる。∫
¨ ydt =
∫ ( − g)dt
˙
y = − gt + C
1(2.41)
∫
˙ ydt =
∫
( − gt) + C
1dt y = − g
2 t
2+ C
1t + C
2(2.42)
式(2.41)(2.42)
より,時刻t = 0
での小石の速度と位置は˙
y(0) = C
1, y(0) = C
2(2.43)
一方,題意よりy ˙
0(0) = v
0, y(0) = y
0を上式と比べるとC
1= v
0, C
2= y
0である ことがわかる。この結果を式(2.42)
に代入するとy = − 1
2 gt
2+ v
0t + y
0· · · (
答) (2.44)
2.3
万有引力33
(3) y
0= 20 m, v
0= 0 m/s
を式(2.44)
に代入し,y(t) = 0 m
となる時刻t
を求 める。0 = − 1
2 gt
2+ 20 m t
2= 2 × 20 m
g
= 2 × 20 m 9.8 m/s
2≃ 4 s (2.45)
以上より
t ≃ 2 s
を得る。· · · (
答) (4)
式(2.44)
をv
0について解くと,v
0= y − y
0+
12gt
2t (2.46)
上式に
y
0= 20 m, t = 1 s
をy(1) = 0 m
となる初速度v
0を求める。v
0= 0 m − 20 m +
12× 9.8 m/s
2× (1 s)
21 s
≃ − 15 m/s · · · (
答) (2.47)
v
0< 0
なので,t = 0
での小石の運動の向きは座標軸の負の方向すなわち下向きで あったことがわかる。· · · (
答)
[
例題2.6]
質量m
のボールを,水平面に対して角度θ
上方に向けて,初速度v
0で投げた。空気抵抗は無視して以下の問に答えよ。座標軸は,水平方向にx
軸をとり,その正の方向はボールを投げ出した方向とする。また,鉛直上向 きにy
軸をとり,ボールを投げ出した位置を原点,重力加速度の大きさをg
と する。(1)
ボールの運動方程式をたてよ。(2)
運動方程式より,ボールの位置(
高さおよび水平方向に飛んだ距離)
を 時間t
の関数として表しなさい。(3)
ボールが地面に落ちる(y = 0)
時刻を求めなさい。(4)
ボールが地面に落ちるまでに飛ぶ距離を求めなさい(5)
ボールを水平方向に一番遠くまで投げるには,どのような角度で投げ るのがよいか?
また,このときのボールの飛距離はどれだけか?
(6)
時速100km
の初速度でボールを投げることのできる人が遠投に挑戦した。最長で何
m
投げられるだろうか?
[
解説]
θ
x y
mg v
0v
0cos θ v
0sin θ
図
2.13 (1)
ボ ー ル に は 重 力 の み が 働 く の で(
図2.13)
,運動方程式は次式で与えられる。{
m¨ x = 0
m¨ y = − mg · · · (
答) (2.48)
(2)
運動方程式の各式の両辺をm
で割り,時間で積分すると次式が得られる。
{
˙ x = C
x˙
y = − gt + C
y(
積分定数C
x, C
y) (2.49)
さらに積分すると{ x = C
xt + C
x2y = − g
2 t
2+ C
yt + C
y2(
積分定数C
x2, C
y2) (2.50)
式(2.49)(2.50)
より時刻t = 0
のときの速度と位置は{
˙
x(0) = C
x˙
y(0) = C
y{
x(0) = C
x2y(0) = C
y2(2.51)
で与えられる。一方題意より{
˙
x(0) = v
0cos θ
˙
y(0) = v
0sin θ {
x(0) = 0
y(0) = 0 (2.52)
式
(2.51)(2.52)
を比べると積分定数は以下のようになることがわかる。{
C
x= v
0cos θ C
y= v
0sin θ
{
C
x2= 0
C
y2= 0 (2.53)
上式を式
(2.49)(2.50)
に代入して{
˙
x = v
0cos θ
˙
y = − gt + sin θ (2.54)
x = v
0cos θ · t y = − 1
2 gt
2+ v
0sin θ · t · · · (
答) (2.55)
式
(2.54)
よりボールの水平方向の運動は等速度運動であることがわかる。また,g = 0
ならば式(2.54)
および(2.55)
の第2
式第1
項はいずれも0
になり,重力が 働かなければ鉛直方向も等速度運動であることがわかる。言いかえると鉛直方向の運動
=
初速度で決まる等速度運動+
重力による落下運動 である(
図2.14)
。x
y 1
2 gt
2図
2.14
重力が働かなければボールは直線 上を等速度運動をするが,重力の影響によ り時間tの間に 12gt2だけ落ちる。落ちる 距離は,初速度の向きやボールの質量とは 無関係に時間だけで決まる。式
(2.55)
から時間t
を消去すると二 次曲線(y = ax
2+ bx + c
の形)
になる。このため二次曲線はしばしば放物線とも 呼ばれる。
(3)
式(2.55)
の第2
式でy = 0
となる 時刻t
を求める。0 = − g
2 t
2+ v
0sin θ · t (2.56)
これを解くとt = 0, 2v
0g sin θ (2.57)
ドキュメント内
2
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