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力の作用・分解・合力

ドキュメント内 2 (ページ 43-46)

第 2 章 力学の基本法則 15

2.4 力の作用・分解・合力

θ

θ mg mg sin θ

(a)

F θ F cos θ (b)

2.16

ある力が物体の運動方向に及ぼす作用の大きさは,運動方向への力の射影の長さに 等しい。

(a)

斜面にある物体に働く重力の斜面方向への作用。

(b)

水平面にある物体が角度 θだけ上方にはたらく力F の水平方向への作用。

ある力の向きと大きさを矢印の向きと長さで表したとき,その矢印を与えられた方 向に投影した長さが,その方向への力の作用の大きさになる

(

2.16)

M

m

30 60

[

例題

2.7]

図のように断面が直角三 角形の台があり,その頂点にある滑 車を介してひもでつながった質量

M

m

の2つのおもりがある。台は地 面に固定されており,台とおもりの

接触面に摩擦は無い。ひもは十分に軽く,重力加速度の大きさは

g

とする。

(1)

質量

M

m

のおもりがうける重力の斜面方向の成分をそれぞれ図示 して,その大きさを求めなさい。

(2) 2

つのおもりが斜面上に静止している場合には,

(1)

で求めた

2

つの

力の大きさが等しいと考えられる。この時

M

m

の比がそれぞれの 乗っている斜面の長さの比と等しいことを示しなさい。

[

解説

]

M

m

30 60

mg F

M

F

m

2.17

各おもりがうける重力

(

赤線

)

とそ の斜面方向成分

(

青線

)

(1)

質量

M

および

m

のおもりに働 く重力の斜面方向の成分はそれぞれ図 の青線に示す通りであり,その大きさ

F

M

, F

mは次式で与えられる。

 

 

F

M

= M g sin 30

= 1 2 M g F

m

= mg sin 60

=

3 2 mg

· · · (

)

(2)

題意より

F

M

= F

mのときは,上 式より以下が成り立つ。

3

2 M g = 1 2 mg M

m =

3 (2.62)

一方で,おもり

M

m

のある斜面の長さの比は

3/1

なので上式で求めた重り の質量比と一致する。以上より,ステヴィンが述べたように2つのおもりがちょう どつりあって静止するときの質量比は,各おもりが置いてある斜面の長さの比に等 しいことがわかる。

2.4

力の作用・分解・合力

37

A

B C

2.18

ステヴィンによる力のつ りあいの実験。

[

2.6]

2.16

のように,ある力が物体の運動 方向に及ぼす作用の大きさは,運動方向への力 の射影の長さに等しいと仮定すると,ステヴィ ンの実験結果を説明できることを示しなさい。

すなわち,図

2.18

のように,斜面

AB

CA

の長さの比に比例した個数の球が各斜面にある とすると,このとき斜面

AB

上の球にはたらく 重力の斜面方向の作用の総和が斜面

CA

上の球 への重力の作用の総和と等しいことを示しなさ

い。

(

この問は先の例題のより一般的な場合の証明である

)

2.4.2 力の分解・合成と運動方程式

F

1

F

2

F

1

+ F

2

F

3

2.19

力のつりあい。複数の力の和 はベクトル和で与えられる。図示した 3つの力についてF1

+

F2

+F

3

=

0 が成り立つ。

フランスの物理学者ヴァリニヨン[] は,

[]Pierre Varignon, 1654-1722, ちょうどニュートンがプリンキピアを発表

した

1687

年に,複数の力がどのような条 件の元でつりあうかを示す実験を発表した。

その実験によると,

2つの力

F

1

F

2の合力は,各力と同 じ向きで大きさに比例した長さの矢 印を二辺とする平行四辺形の対角線 で表される力と等価

になる

(

2.19)

。この時,力

F

1と

F

2の

F

3方向に及ぼす作用の和がちょうど合 力の大きさになっており,ここでもステヴィンがヴァリニヨンに

100

年先駆けて 発表した力の分解について確認することができる。

以上より物体に複数の力が働くとき,その作用は各力ベクトルのベクトル和(合 力)となると考えれば良い。よって物体

m

の物体が複数の力

F

i

(i = 1, ..., N)

を 受ける時の運動方程式は以下のようになる。

ma =

N i=1

F

i

(2.63)

[

2.7]

F

1と

F

2の合力

F

3の大きさは,

F

1と

F

2が

F

3の方向に及ぼす作用 の和と等しいことを証明しなさい。

2.4.3 合力の幾何学的意味

*

前節で,2つの力

F

1

F

2の合力の大きさは,ちょうど

F

1

F

2が両者を2辺と する平行四辺形の対角線方向への作用の和(ちょうど対角線の長さ)になる。

F

1

,

F

2の作用の大きさの和を長さとするベクトルはあらゆる方向に作ることができ る。そのようなベクトルの例

F ˜

3を図

2.20

に示す。このようなベクトルの中から,

自然は合力の向きを2つの力のベクトル和の向きに選んだ

(

2.19)

。この合力の 向きにはどのような意味があるのだろうか。その幾何学的な意味をもう少し考えて みよう。

F

1

F

2

F

2

F

3

F ˜

3

F

1の作用

F

2の作用

2.20

F1

,

F2の合力の向き の意味は?F1

,

F2の作用の大き さの和を長さとするベクトルはあ らゆる方向に作ることができる。

F

1および

F

2の,力

F

3と直交する方向へ の作用をそれぞれ

F

1

F

2 とおくと図

2.21(a)

のようになり,その大きさは互いに等しく逆向 きである

(F

1

= F

2

)

ことがわかる。つま り,2つの力の合力の向きというのは,その向 きに直交する成分が違いに等しくなる向きで ある。

さらに別の視点で合力の向きを考えること もできる。

F

1と角度

ϕ

をなす向きへの

F

1と

F

2 の作用の和を考えてみよう

(

2.21(b))

。 その作用の和を

F ˜

3とおくと

F ˜

3

= F

1

cos ϕ + F

2

cos(θ ϕ) (2.64)

となる。ここで,

θ

F

1と

F

2がなす角であり,

F

1

= | F

1

| , F

2

= | F

2

| , ˜ F

3

= | F ˜

3

|

である。

F ˜

3が最大になるような角度

ϕ

を求めてみよう。このような角度は次式を 満たす角度である。

d F ˜

3

= F

1

sin ϕ + F

2

sin(θ ϕ) = 0 (2.65)

さて,特に

ϕ

F

1

F

2 の合力

F

3 の向きを表す角度であれば前述の通り

| F

1

| = | F

2

|

なので,

F

1

sin ϕ = F

2

sin(θ ϕ) (2.66)

である

(

2.21(a))

。この式は式

(2.65)

をちょうど満たすことがわかる。すなわち 2つの力の合力の向きとは,2つの力の作用の和が最大になる向きであることがわ かる。

F

1

F

2

F

3

F

1

F

2

θ ϕ

(a)

θ ϕ F

1

F

2

F

3

F ˜

3

(b)

2.21

合力の向きの意味。

(a)

2つの力F1

,F

2の,合力と直交する方向への作用F1F2 は逆向きで大きさは等しい。

(2)

2つの力F1

,F

2の作用の和が最大になる方向が,合 力の方向である。

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