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発展した新しい支援技術は,障害をもつひとのアクセシビリティを著しく改善した.さまざまな 障害を持つ人々へコンピュータの使用を促すハードウェア・ソフトウェアが広く利用できるように なった.これらの新技術は,さまざまな用途に利用することができる.

例えば,運動障害をもつ学生は,音声入力や,単語予測,キーボード代替装置,キーボード 補助装置,マウス代替装置,快適で人間工学的にデザインされた補助装置,光学的文字認 識装置(OCR)を利用することができる.視覚障害をもつ学生は,OCR,スクリーンリーダー,点 字出力装置,映像拡大装置,プリント印字拡大機能,点字のノートテイカー,「Inspiration」のよ うな点字出力装置を利用することができる.学習障害をもつ学生は,騒音を小さくするイヤー プロテクター,視覚的な手がかりを提示する道具などを利用することができる.コンピューター メーカー,ソフトウェア会社,サードパーティ・ベンダーからさまざまな製品を選ぶことができる.

Apple, Glosing Gap, the Trace Center, Kurzweil, IBM, International Braille and Technology Center (48) など多くの企業は,障害者のための技術支援・サポートセンターを設立している (49).ワシントン大学のプログラム(Disabilities, Opportunities, Internetworking, and

Technology, DO-IT)は,障害種別の支援技術について,さまざまな情報を提供している(50).

コンピュータの利点

コンピュータテクノロジーは,障害学生による様々なリソースへのアクセスを可能にし,情報へ のバリアを減らし,大学や他の学生との効率的なコミュニケーションの機会をひろげ,キャンパ ス内での不要な移動を減らしている(51).障害を持つ学生は,K-12(初等教育)のできるだけ 早い時期にコンピュータに習熟すべきである.幸いなことに,大学初年時の学生は,コンピュ ータやインターネットによく習熟していることが多い.これらのスキルは,学生,教員・研究者に とって日々の活動の中心的なものである.分子構造の描画やモデリングのためのコンピュータ の利用は,情報を報告,管理,連絡するための標準的なツールとなっている.コンピュータは,

一般的な実験装置を制御・操作したり,装置を作製する上で欠かすことができない.こうした機 器によって取得される情報は,通常デジタル形式であり,他のネットワークからもアクセスでき,

音声や点字へ変換する支援機器へ入力される.コンピュータはマイクロソフトのWord, Excel,

PowerPoint, ChemDraw(分子構造描画プログラム)(52),SciFinder Scholar(分子構造モデリン グソフトウェア)などの利用にも用いられる(53).

ハードウェア・ソフトウェアについて,簡単な工夫をするだけで,多くの障害学生がコンピュー タを使うことができる.多くの場合,作業スペースを改良するだけで,様々な障害を持つ学生に とっての十分な支援となる.モニター,キーボード,テーブル,作業台,入力装置や文書の配 置が変更可能になることで,多くのユーザが恩恵を受ける.よくトレーニングされたスタッフや,

機器の情報を含む適切な技術文書の利用は,すべての学生にとって有用である.大学および DSSオフィスは可能な限り,学生が学習に必要な支援技術を探す手助けをしなければならな い.そうでなければ,学生は通常の学習を行いながら,同時に支援技術の学習も行わなくては ならず,負担となってしまう.教員は支援技術のエキスパートであることを期待されていない.と はいえ教員は,学生とDSSオフィスに対して,特定の課題に対する適切な支援方法の選択に ついてアドバイスを行うことができるであろう.例えば滴定実験について学ぶ前に,学生はその 実験にどのような支援デバイスが必要かを選ぶことはできない.事前知識がない場合,実験室 や教室での複雑な作業は,深刻なダメージに繋がることがある.最適なソリューションをみつけ るまでに,さまざまなハードウェア・ソフトウェアの組み合わせを試す必要があるだろう.大学 は,製品の互換性,直観的なデザイン,柔軟性,使いやすさ,コスト,保障,保守契約,サポー ト体制などを検討することで,製品の適切な評価・購入を支援することができる.

移動に障害のある学生と支援技術

一般的なマウスとキーボードは,腕や手に障害を持つ学生にとっての最大のバリアとなる.幸 いなことに,障害があっても利用できる多くのハードウエア・ソフトウェアがある.

シンプルかつ速やかに利用できる方法もある.例えば,マウス・キーボード・モニターの位置 を調整するだけで,アクセシビリティーを改善することができる.調整可能なモニタースタンド,

キーボードの置台,マウスパッド,安価なキーボードのリストサポート,電源ユニット・コードの配 置変更などである.CRTモニタの設置には大きいスペースが必要になる.CRTモニタの代わり に,パネルディスプレイではスペースを省略できる.スペースができると,腕や手の支えとなり,

また書籍などを置く広いスペースを確保することができる.

コントロールパネル

多くのコンピュータの基本的な機能は,ソフトウェアの設定を通じて使いやすくすることができ る.Windows OSでは,マウスのクリックレートその他の機能はコントロールパネルで変更するこ とができる.Windows OSのコンピュータでは,マウスのクリックレートなどの機能を変更すること ができる.Windowsスタートボタン>セッティングを選択>コントールパネル>マウス,のように選択 するとよい.障害学生は,さまざまな新しい設定を試し,最もよく動作するマウスの特性を探す べきである.コントロールパネルは,キーボードを調整するためのガイドでもある.この変更を行 うためには,コントロールパネルを開き,キーボードを選択する.他の設定としては,キーが十 分に押されたことを確認する音を鳴らしたり,キーストローク(キーを押してすぐに離すこと)で マウスのクリックを代用するといった変更ができる.

コンピュータのOSには障害者が,単一のインターフェースでアクセスできるパッケージが備わ っている.Windows OSでは,コントロールパネルのうち,アクセシビリティオプションを選択す る.このオプションは,ディスプレイに表示されるメッセージを音声で代替したり,音の代わりに 字幕を表示したり,繰り返しのキーストロークに対するキーボードの感度を変更したり,マウスの 代わりにテンキーを利用することができる.健常者もアクセシビリティ・オプションによって恩恵 を受け,処理を効率的にすることができる.WEBブラウザ,文書編集プログラムその他のソフト ウェアのシンプルな特性によって,一般的な処理に必要なキーストロークの数を減らすことが できる.

ブラウザ・電子メール・文書編集ソフト

インターネットエクスプローラーのオートコンプリート機能は,過去に入力されたWEBアドレス や,入力フォーム,パスワードを保存することができる.最初の文字が入力されたら,オートコン プリート機能が,リストの中で一致する候補を提案してくれる.もし提案された言葉が目的のも のであれば,クリックを一回押すことで挿入できる.オートコンプリート機能がオフになっている ときは,ツールバーの「ツール」で,インターネットオプションを選択し,“Advanced Tab”をクリッ クし,オートコンプリートを使う.マッキントッシュのネットスケープ(WEBブラウザ)は,キャッシュ にあるWEBアドレスのオートコンプリートを行う.この機能を使うためには,履歴をできるだけ長 く残しておくように設定する.

文書編集プログラムでは,オートコンプリート機能,自動修正機能やマクロによって,多くの キーストロークを保存することができる.長い単語や,難しい単語はこれらのリストに加えること ができる.

マクロとは,コンピュータへの指示をまとめたものであり,一つのコマンドでタスクを自動的に 行うことができる.マクロは,時間がかかる繰り返しの操作を減らすことができる.これには,ル ーチンの編集,フォーマッティング,特定の寸法・行列のサイズなどを指定した表の挿入など が含まれる.マクロによって,タスクはコマンド一つで実行することできる.文書編集プログラム でマクロの記録と実行の説明を確認すること.

多くの電子メールソフトは,署名を挿入する機能をもち,これにより,名前と連絡先をメールの 最後に追加する際に,必要なキーストロークとマウスクリックを省略できる.登録した短い文章 を文中に挿入するボイラープレートテキストもほとんどの場合使用できる.メールソフトの OutlookやOutlook Expressでは,署名の設定は,ツールバーの「ツール」をクリックし,オプショ ンで「署名」タブを選択する.ネットスケープでは,編集メニューのプレファレンスで似た機能が 設定できる.大学のネットワークのヘルプデスク(ネットワーク管理を担当する部署)やネットワ ーク管理者がこれらや他の手段について支援する.

どうすればいいの?

いくつかのハードウェア・ソフトウェア企業は,点字,拡大プリントやASCII(欧米で広く用いられ ているラテン文字ベースの文字コード)などで製品の使用法や,視覚障害をもつ顧客を支援 する文書を提供している.しかし,最近の製品には,こうした文書を最小化,あるいは全くなくし てしまう傾向がある.多くの企業は,ヘルプ・FAQや他のテクニカルサポートのページをWEB サイトに掲載している.製品の使いやすさはもちろんのこと,関連するWEBサイトのアクセシビリ ティー,目的の情報へたどり着くまでに必要なステップの数や,その他の要因に依存する.大 学の情報担当部署は視覚障害の学生への電子フォーマット,拡大プリント,隆起印刷,点字 教材の提供を支援する.ヘルプデスク,ネットワーク管理者は,障害学生オフィスと協力し,こ れらの教材のニーズにこたえる.実験室では,機器の表示やラベルとともに,機器の操作をま とめたシートは,視覚障害をもつ学生に対して晴眼の学生と同じようにアクセシブルであるべき である.

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