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実験室での経験は,多くの科学分野において必須であり,化学のような実験科学分野にお いては特に重要である.障害を持つ多くの学生は,授業と同じような支援を行うことで,安全か つ効率的に作業することができる.長い間,全盲など重度の障害を持つ科学者が,教育や大 学や企業の研究室で活躍してきた.しかし,研究活動を制限する障害もある.研究活動への 参加の程度は,個別に判断されるべきである.制約の多い実験室環境は,プロダクティブな科 学分野のキャリアを排除するものではないことを心に留めておくことが大事である.自動化や 新しい技術は,今後も物理的な操作の必要性を少なくしていくであろう.学生は,実験室にお ける経験から,多くの科学・医学分野のキャリアに重要な恩恵を受けることができる.また同様 に,実験を伴わない新しいタイプの化学のキャリアにとっても重要である.障害のあるなしに関 わらず,化学やその他の分野において科学者の多くは,自身では手を動かすことなく,実験の 指示をしている.アカデミアや企業におけるシニアの科学者は,自信では装置を組み立てず,

ベンチでの作業もしない.他の障害を持つ科学者は,支援が無くても研究を行っている.その 他の情報は2 章を参照のこと.

実験室についての一般的な考察

教員はコースの開始前に,学生・インストラクター・その他の関係者と会い,実験室の物理的 なアクセシビリティについて議論する.開講期間中に,すべての関係者が定期的にコミュニケ

―ションするしくみをつくるべきである.

二人,あるいは班での作業を要求するコースがある.この場合,インストラクターは学生が,

気心の知れたパートナーやグループで作業できるように助け,時おり,組み合わせが上手く いっているかどうかを確認する.余分な仕事をする時間があり,すでに自身の実験を終えてい る,成績が平均以上の学生が理想的なパートナーである.支援される学生が視覚障害,コミ ュニケーション障害をもつ場合,パートナーは強い会話のスキルを持っていると,教材その他 の重要なクラスの情報を伝えることができる.こうしたアレンジメントはすべての学生に公平に

おこなわれるべきである.もし学生が必要とする支援が多い場合は,フルタイムの支援者を雇 用した方がよい.支援者は,すでにコースを履修した上級生が望ましい.

学生はコースの課題を遂行するために余分に時間を必要とすることがあり,その場合,教員に はいくつかの選択肢がある.例えば,学生は通常の時間よりも早く始めて遅く終了する,ある いは別のスケジュールを組む. DSS の推薦に基づき,学生と教員は時間の延長について,互 いに了解しておく.

シンプルな手続きにより,障害学生の実験室における研究活動への安全な参加を保障する ことができる.教員は,例えば学期が始まる前に障害学生を招き,非常口・緊急シャワー・消火 器その他の安全装置の場所を確認することが推奨される.これにより,安全ガイダンスに効果 的に参加することができる.教員は,実験室に固有のニーズについても議論すべきである.整 理された避難経路はつねに推奨され,この点は,車椅子や視覚障害の学生が通るために欠 かせない.学生が試薬瓶や装置のラベルを読むことができるかどうか確認する.学習障害や ADHD をもつ学生は,視覚障害の学生と同様にこの点に困難がある.拡大プリント,点字,隆 起文字はこうした学生の支援となる.支援なしに実施した場合に危険をともなうような手技につ いては,個別に学生と確認をする.すべての視覚障害,上肢障害の学生について,化学物質 を扱う際の防護手袋を利用を強く推奨する.ものをつかんだり,装置を操作しやすいために,

軽量で使い捨ての手袋を好む障害学生もいる.手袋の選択については,アメリカ化学会の冊 子「Safety in Academic Chemistry Laboratories」を参照のこと.

設備の改修

実験室の物理的な改修など他の支援も必要になることがある.これらは障害の種類によって以 下のように分類される.実験室のリソース,技術,アクセシブルな化学実験についてのさらなる 情報は,WEB サイト「Barrier Free Education」を参照(79).小さな学校や予算の少ない学科で 改修を行うためには,創意工夫が求められる(80).実験室では,物理的ないしは安全上の制 約から,学生が実施することができない作業が存在する.このような状況はおそらくまれ..

であ り,このことによって学生の実験への参加が妨げられるべきではない.学生と教員は,実験の

全体を扱うよりも,ひとつの実験の特定の性質に注目して,共に解決策を探るべきである.学 生は,実験室におけるニーズを保証すべく,主体的な役割りを果たすべきである.もしインスト ラクターが,実験コースが始まる前に打ち合わせを行わなければ,学生は前にも述べたように リクエストを出すべきである.学生は,場所がアクセッシブルであることを確認するため,実験室 を訪問し,事前に実験室での作業を学び,教員が必要な支援を見つけて完全参加の方法を 定める手助けをすべきである.

実験室支援者

実験室支援者(Directed laboratory assistant,以下支援者)は,学生の指示にもとづき,実 験の身体的な操作を行う.支援者は実験の課題を遂行するための身体的補助を行う.これ はヒントを与えたり,学生の学習の経験に干渉するものであってはならない.学生は,実験を 支持し,データを取得し,解釈を行う.支援者は機器,設備や材料を扱う必要がある.例え ば,障害によって両手を使うことができない学生は,支援者に次のような指示をすることがで きる:指定した試薬のボトルを開けもらい,決められた量をメスシリンダーに注ぐよう伝え,いつ メニスカスの目標の位置に達するか判断する.学生は支援者にどの容器に液体を注ぐかを 指示する.さらに,いつどのくらいの試薬を加熱するか,撹拌するかどうか,何を加えるか等を 指示する.支援者は,学生の指示に基づき,装置の組み立て,分解を行い,その他学生が 実施することができない作業を行う.学生の障害によらず,このアプローチが行われる.

コースの最初に,教員は支援者の役割および学生との関係性を明確にする.学生は,可能 な限り独立して考え,支援者への指示を行う.支援者は安全が確保される限りにおいて,学 生の指示に忠実に従う.教員は,支援者がこの役割を果たしているかどうかを確認する.質 問がある場合は,学生は支援者を介さず,教員に直接相談する.

現在履修している学生よりも,既に履修した学生に対して,実験室支援者の役割を依頼す べきである.さらに実験器具や専門用語の知識を有しているべきである.視覚障害をもつ学生 が,前もってあるいは実験時間中に,実験器具がどのように感じられるか体験する機会を設け るべきである.アレルギーやその他の過敏症を持つ学生は,遠隔での指示を実施する.テレビ

電話や Web カメラ,パソコンなど,異なる部屋から実験室を見て,支援者とコミュニ―ションす る環境によって実施できる.

実験室支援者の利用は,学生の成績評価に影響を与えてはならない

移動に制限がある学生

建築のアクセシビリティは,モビリティに障害のある学生にとって効果的に実験室での作業を 行うために重要な課題である.それは建物の外から始まる.例えば車椅子利用者は,建物の 中に入り,そのあとエレベーターを使って研究室に向かう.実験室のドアを通り,通路を通り抜 け,作業台を使い,ドラフトその他の機器を使用する.非常口,緊急用シャワーその他の緊急 用設備,トイレや電話などの一般的な設備もアクセシブルでなければならない.最終的には,

モビリティに障害をもつ学生が移動するのに十分なスペースが必要である.車椅子利用者は,

広く整頓された通路,旋回に十分なスペース,実験道具や機器への容易なアクセスが必要で ある.

幸いなことにほとんどの研究機関は障害者にとっての物理的な障害を除く,という法律に従 っている.現在では,モビリティに障害がある人間は,どの建物のどの研究室でも使うことがで きる.ユニバーサルデザインの原理に基づいて作られた比較的新しい研究室は,完全にアク セシブルである.古い実験室においても,最小限の改修のみで障害学生の支援を行ってき た.

一般的に実験室は少しの修正を行うことで,アクセシビリティを高めることができる.すべての 教育機関は車椅子で利用しやすいワークベンチを少なくとも一台を手配すべきである.車椅 子を作業台やドラフトと並行して配置するのは避けるべきである.このオプションは制約が多 く,一般的なタスクをこなすのが難しくなる(このスタイルを好む学生もいる).作業台は,車椅 子を使う学生が,作業スペースに近づけるように,下部にスペースを配置すべきである.車椅 子は多様なスタイルがあることを認識すべきである.

学生は手動や電動など,さまざまなタイプの車椅子を利用している.電動スクーターを利用 する例もある.WheelchairNet など,インターネット上でさまざまなリソースが利用可能である(文 献 81).さまざまな車椅子に対応するため,作業台の高さは調整できるようにする(図 2).ADA

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