−母指 CM 関節固定術後の可動域の検討−
小郡第一総合病院 整形外科 ○服部泰典、土井一輝、坂本相哲
【目的】母指 CM 関節固定術(以下、固定術)術後の可 動域を、動的 X 線を用いて検討した。
【方法】術後2年以上経過し、動的 X 線で可動域を評 価した 55 手を対象とした。男性5例、女性 40 例、手 術時年齢は平均 63 ±9歳、Eaton-Glickel 分類は全て stage3 であった。動的 X 線は、母指の最大橈側内〜外 転および掌側内〜外転での X-P をそれぞれ撮影し、第1・
第2中手骨の角度(以下、M1M 2)を計測した。母指 MP 関節での代償運動を検討するために、母指基節骨と 第2中手骨の角度(以下、P1M 2)も同様の方法で計 測した。
【結果】橈側内〜外転の M1M 2と P1M 2は、それぞれ 30 〜 41°(アーク:11°)と9〜 52°(アーク:43°)であっ た。掌側内〜外転の M1M 2と P1M 2は、26 〜 33°(アー ク:8°)と 11 〜 42°(アーク:31°)であった。
【考察】固定術後の母指の運動は、STT 関節の可動域が 増えることと、MP 関節での代償運動による。STT 関節 の運動は M1M 2で示され、橈側と掌側とも約 10°の可 動域が得られていた。MP 関節での運動は、M1M 2と P1M 2の差であり、橈側では 32°、掌側では 23°の動き があった。本研究により、関節固定術後の真の可動域が 確認され、術後リハビリにおける STT 関節の可動域の 向上の重要性が示唆された。また、固定術の至適固定角 度の決定にも参考になると考えられた。
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主題4:マレットフィンガー • 腱機能再建
T 4 - 1
陳旧性腱性槌指に対する新しい手術方法 藤田保健衛生大学 整形外科
○鈴木 拓、鈴木克侍、志津香苗、黒岩 宇、
長谷川正樹 愛光整形外科 早川克彦
藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 整形外科 寺田信樹
【背景】陳旧性腱性槌指に対して,これまでに多くの手 術方法が報告されている. われわれは陳旧性腱性槌指 に対して新しい腱移植術を施行したので,その臨床成績 を報告する.
【対象と方法】陳旧性腱性マレットに対して本法を施行 した4例を対象とした.症例は男性2例,女性2例,年 齢は平均 56歳,受傷から手術までの期間は平均5ヵ月,
術後平均経過観察期間は 14ヵ月であった.全例,術前 に伸展位装具の保存加療が行われていた.手術は採取し た長掌筋腱を末節骨に縫着した後に,長掌筋腱を二つ折 りにし,横支靱帯の下を通した後に基節部レベルにて両 側の側索に縫合した.DIP 関節の仮固定を4週行った後 に DIP 関節の可動域訓練を開始し,夜間伸展装具も併用 した.DIP 関節の平均自動運動可動域は術前が伸展-55°,
屈曲 75°であったが,最終観察時においては伸展- 5°,
屈曲 70°と改善した.蟹江の評価基準では優3例,良1 例であった.
【考察】本法では解剖学的に側索および終末腱を再建し,
力源を近位の側索に求める術式であり,比較的良好な成 績が得られた.
T 4 - 2
骨性マレット指に対する石黒変法の治療成績 JA 愛知厚生連 海南病院 整形外科
○勝田康裕、関谷勇人、藤浪慎吾 名古屋市立大学病院 整形外科 岡本秀貴
【目的】石黒変法にて治療した骨性マレット指における 治療成績について検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、受傷後6週以内に石黒変法にて 手術施行した、骨片の背側骨皮質の長さが3mm 以上の 骨性マレット指 16 指とした。術式は全例、坪川らの方 法に準じて施行した。受傷時年齢は平均 29 歳、罹患指 は母指1指、中指6指、環指7指、小指2指であった。
受傷から手術までの期間は平均 10 日で、術後経過観察 期間は平均 98 日であった。評価は X 線所見による骨癒 合、整復状態、遺残変形ならびに関節可動域について行っ た。術後成績は蟹江の評価基準に従った。
【結果】骨折型は小西池分類で、Type21指、Type37指、
Type48指であり、69%の症例で DIP 関節の 50%を越 える大骨片を伴っていた。骨片の背側骨皮質の長さは平 均 3.5mm であった。術後 X 線写真にて骨片の背屈転位 等の整復不良例は認めず、全例骨癒合を得た。最終観察 時の遺残変形は全例認めず、伸展不足角は0°から9°(平 均 1.4°)、DIP 関節可動域は 35°から 80°(平均 63.9°)
であった。蟹江の評価基準では、優 13 指、良3指であり、
可、不可の症例は認めなかった。
【結論】我々は第 57 回日本手外科学会にて、大骨片を 有する骨性マレット指のうち骨片の背側骨皮質の長さが 3mm 以上の症例に対する坪川らの方法の有用性を報告 したが、その後の追試においても良好な成績を得ること が出来た。
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主題4:マレットフィンガー • 腱機能再建
T 4 - 3
新たな腱縫合法による屈筋腱手術治療の成績
− 渡邉法による腱縫合と早期自動屈曲運動療法 − 名古屋掖済会病院 整形外科・リウマチ科
○太田英之、渡邉健太郎
【緒言】当院では従来、4及び6strandsuture による手 指屈筋腱縫合を行い、平成 26 年からは術後後療法に早 期自動運動療法を導入してきた。多くの症例は良好な経 過をたどったものの若干数の成績不良例が存在した。そ こで平成 28 年より8strandsuture による新たな屈筋 腱縫合法(渡邉法)を導入したうえで、修正した早期自 動運動療法を導入した。今回本法の臨床成績と工夫につ いて報告する。
【対象と方法】対象は渡邉法にて腱縫合を行った Zone 1ないし2の手指屈筋腱断裂5例5指で、平均年齢 37 歳、男性4例、女性1例で損傷指は示指3例、中指1例、
環指1例であった。固定肢位は手関節中間位、MP 関節 70°屈曲位、PIP、DIP 関節伸展位を基本とし、術翌日よ り早期自動運動療法を開始した。最終成績は Strickland 評価にて判定した。
【結果】平均 TAM は 156°、対健側比 91% で全例 excellent であった。再断裂例はなかった。
【考察】渡邉法は早期自動屈曲運動に耐えうる強度であ りながら腱滑走を妨げない利点がある。このことから術 後各時期での可動域の目標値を設定したうえで訓練強度 の調整を行い、再現性の高い早期自動屈曲運動療法を継 続できることで短期的ではあるが良好な結果を得た。今 後症例を蓄積することで後療法の計画もさらに再現性の 高いものにすることが可能なものと考える。
T 4 - 4
手指狭窄性屈筋腱腱鞘炎における PIP 関節屈曲 拘縮の治療経験
西宮市立中央病院 整形外科 ○渡邊牧代
市立豊中病院 整形外科
難波二郎、岡本道雄、山本浩司
【はじめに】一般的に手指狭窄性腱鞘炎に伴う PIP 関節 屈曲拘縮は A1pulley の切開で解消される。しかし、と きに通過傷害が A1pulley 以外にも存在し、PIP 関節屈 曲拘縮が残存する。今回、難治性 PIP 関節屈曲拘縮に対 する手術成績を報告する。
【対象と方法】対象は 2012 年以降に治療抵抗性手指狭 窄性腱鞘炎に対して浅指屈筋腱(FDS)腱切除術を施行 した 12 症例である。男5、女7例、年令は 62 から 91 才で平均 76 才であった。再手術例は3例であり、糖尿 病は4例に合併した。罹患指は示指1、中指 11 例であっ た。手術は FDS 尺側の半切または全切除術を行なった。
手術所見、臨床成績を検討した。
【結果】術前 Extensionlack は平均 28 度であった。全 例に A2pulley 近位での FDS 腱の肥大、粗雑化を認めた。
腱の肉眼所見と A2pulley の通過性を考慮して FDS 尺 側の半切を4例、FDS 全切を8例に施行した。術中 PIP 関節完全伸展は 11 例に得られた。切除 FDS 腱の病理検 査2例において線維軟骨化生と石灰化を認めた。経過観 察期間 18 ヶ月時点にて完全伸展は7例に可能となり、
平均 PIP 屈曲拘縮角度は7度、totalarc は 241 度(190
〜 264)であった。FDS 半切例の平均 totalarc は 219 度で全切に比べ拘縮角度改善は不良であった。
【考察】PIP 関節屈曲拘縮に対して A2pulley と屈筋腱 間のサイズのミスマッチに対して腱自体のボリュームを 減らす FDS 切除を施行した。術後拘縮角度の改善度を 考慮すると牽引力自体も消失させる FDS 全切除が有効 であると考える。
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一般演題:神経、その他
O - 1
肘部管症候群に対する Osborne2 法による術後成績 ハンズ高知フレッククリニック
○中島紀綱、貞廣哲郎 しばた整形外科
柴田敏博
【目的】肘部管症候群に対する術式は多数あるが,1970 年の報告で Osborne は単純除圧法では Osborne 靱帯の 再生により再発を認めた症例が存在したため,切離した Osborne 靱帯とそれに続く aponeurosis を尺骨神経の 深層で縫合する術式(以下 Osborne2 法)を報告してい る.我々はこの術式を採用しており今回は本術式による 術後成績を報告する.
【対象・方法】対象は 2011 年4月以降に Osborne2 法 を行い術後1年以上経過観察可能であった 45 例 50 肘.
男性 31 例,女性 19 例,平均年齢 62.3 歳(25 〜 82 歳).
術後経過観察期間は平均 21 ヵ月(12 〜 58 ヵ月).全 例に術前 X 線および MRI 撮影を行い,原因は変形性肘 関節症が 30 肘,特発性が 19 肘,外反肘が1肘であっ た.術前重症度は McGowan 分類では grade1 が 19 肘,
grade2 が 15 肘,grade3 が 16 肘であり,赤堀の病期分 類では第1期が6肘,第2期が 16 肘,第3期が 15 肘,
第4期が8肘,第5期が5肘であった.
【結果】最終調査時の術後成績は赤堀の予後評価基準 で 優 21 肘, 良 19 肘, 可 10 肘, 不 可 0 肘 で あ っ た.
Hand20 は術前 20.5 から術後1年で 9.1 と改善して いた.神経伝導速度は術前 42.9m/s から術後1年で 51.3m/s と改善していた.
【考察】本法では尺骨神経を神経溝の前外側へ移動させ ることになるため,単純除圧法で危惧される肘屈曲時の 尺骨神経の緊張を軽減できる.さらに本法は皮下前方移 動術と比較して侵襲が少なく,バランスのとれた術式で あると思われる.