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特別講演

末梢神経損傷の臨床的評価とピットホール

 手の外科疾患における末梢神経損傷といえば、圧倒的 に多いのが手根管症候群(CTS)であり、国際的にも保 存療法・手術療法ともに多数の論文が報告されている。

演者の関連病院においても、過去約3年を末梢神経損傷 で調べてみると、A 病院で 582 例中 342 例、B 病院で 257 例中 198 例が CTS であり、殆どが手根管開放術実 施例であった。次に多いのがやはり同じ絞扼性神経障害 である肘部管症候群であり、こちらも殆どが神経前方移 行術などの絞扼部に対する除圧術が施行されていた。こ れらより現在の手の末梢神経損傷では、絞扼性神経障害 の手術例が多く、労災などの外傷による末梢神経損傷は 少ないことがわかる(A 病院で 50 例弱、B 病院で 10 例 ほど)。これらの状況より手の末梢神経損傷におけるハ ンドセラピストの役割としては、術前術後の評価と治療 であり、特に絞扼性神経障害に対する理解が重要である と考える。講演では絞扼性神経障害の評価におけるピッ トホールを含めて臨床で押さえておいて欲しい評価につ いて述べる。

演者プロフィール

 岡野 昭夫(おかの あきお)

 〈所属〉

  中部大学 生命健康科学部 作業療法学科  〈略歴〉

 1987 年 名古屋大学

      医療技術短期大学部作業療法学科卒業  1987 年 社会福祉法人京都博愛会病院

      リハビリテーション部

特別講演

 1990 年 特定医療法人鈴鹿回生病院       リハビリテーションセンター  2000 年 同 室長

 2003 年 大阪リハビリテーション専門学校       作業療法学科 専任教員

 2006 年 星城大学

      リハビリテーション学部作業療法学専攻 助教授  2010 年 中部大学 生命健康科学部作業療法学科 教授  2012 年 中部大学 生命健康科学部作業療法学科 主任

〈主な教育活動〉

 名古屋大学 医学部保健学科 非常勤講師

 新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部作業療法学科   非常勤講師 ユマニテク医療福祉大学校 非常勤講師

〈主な所属団体〉

 日本作業療法士協会 専門作業療法士審査等委員会 委員  日本作業療法士協会 認定作業療法士

 日本作業療法士協会 専門作業療法士(手外科)

 日本ハンドセラピィ学会 副理事長、認定資格審査委員会  委員長

 認定ハンドセラピスト(JCHT)

 NPO 法人ハンドフロンティア 理事

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シンポジウム:各外傷・疾患に対するセラピィの工夫と留意点

シンポジウム1

手指骨折における成績向上のためのセラピィの 留意点

服部整形外科 皮フ科 リハビリテーション科  ○桂 理

服部整形外科 皮フ科   服部達哉

名古屋掖済会病院 リハビリテーション部   稲垣慶之、加藤晃一

名古屋掖済会病院 リハビリテーション科   服部順和

名古屋掖済会病院 整形外科 リウマチ科   渡邉健太郎

 固有指部では周囲の腱が骨と密着して走行しているこ とから、骨折部周囲での腱癒着が必発し、関節可動域の 獲得にはハンドセラピィが必要となる。

 特に固有指部での伸展機構はその複雑な解剖学的特徴 から伸筋腱癒着をきたしやすく、一度自動伸展不足をき たすと改善に難渋する症例も少なくない。これは、伸筋 腱が膜様構造になっているため癒着が広範囲に及びやす いこと、屈曲力に比べ伸展力が弱いこと、腱滑走のバラ ンスが崩れやすいこと、内固定材料が伸筋腱に干渉しや すいことなどがあげられる。そのため、指骨骨折は強い 拘縮を残し、容易に機能障害の要因となる。一方で , セ ラピィ開始時期やセラピィ内容によっては拘縮を予防す ることも可能である。以上のことから、ハンドセラピィ の進め方は、いかに早期から伸展可動域を獲得し、伸展 力を落とさずに屈曲可動域を改善させるかが重要であ り、骨接合術後であれば内固定材の評価や抜釘のタイミ ングをも考慮したセラピィが必要となる。

 そこで今回、指骨骨折後症例に対して伸展可動域の獲 得に重点をおいた、治療成績を向上するためのセラピィ の留意点および工夫点について報告する。

シンポジウム:各外傷・疾患に対するセラピィの工夫と留意点

シンポジウム2

橈骨遠位端骨折に対する治療介入の工夫について 愛媛十全医療学院 

 ○福田 靖

【緒言】近年、橈骨遠位端骨折に対するハンドセラピィは手術手 技の進歩により、早期から治療介入が可能となってきた。

その中でも、高エネルギー損傷や関節内多骨片損傷では、

治療に難渋するケースが散見される。今回,これらの症 例に対して我々が行っている治療介入の工夫について、

若干の考察を加え報告する。

【アプローチ方法】

①手根骨に対する stretchmobilization 

前腕長軸方向への stretch を加えながら、手根骨の可 動性獲得を図る。この際、手根骨を舟状骨エリア・豆 状骨エリアに分け、アプローチしてゆく。

② CKC 原理を用いた可動により、手根筋の力を抜く 前腕回内位にて肘頭と机上に固定し、セラピストが手 指を把持して手根筋の力を抜いてもらい、手関節部を 軽く背屈可動してもらう。

③ CKC 原理による可動を、各方向実施する

CKC 原理による可動を、ダーツスロー面、掌背屈、

橈尺屈の各方向にて実施する。

④リストモビライザー

 リストモビライザーにて、手根骨によるオーバルな可 動性の向上を図る。

【考察】治療に難渋するケースに対して、まず手根骨に対して stretchmobilization を実施することにより、muscle guard の軸圧により狭くなった手根骨周囲のスペースの 確保を行っている。その後、CKC 原理を用いたアプロー チにより手根骨に軸圧のかからない可動を行い、痛みの 少ない手関節の可動性を獲得する。術後出来るだけ早期 から、手根筋の muscleguard を取り除き適切な手根骨 の可動性を獲得することは、手関節の可動域改善につな がると思われる。

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