• 検索結果がありません。

500  600  00

強度増加率 (Cu/p')oc 

1  2 3 4  

下総麗群 上総層群

Z 1 :漫食最 (m)

図3.3‑5 実験値とCjp'の近似式との比較(袖ヶ浦地点)

強度増加率 (Cu/が)

♂ 

1 2 3 D C  4  5 

Z1=50~

100 

200 

l 十 /

上総層群

400 

500 

111  Z 1 .浸食量 (m)

700 

図3.3‑6 実験値とCjp'の近似式との比較(鹿畠地点)

q o  

qu

 

Fc' 

初 荻 ナ 地 盤 面

浸食面

(近似式)

σvr 

図3.3‑7 浸食面が地盤面と一致しない場合における

P J

の近似式の考え方

A

斗 ゐ U

一方,袖ヶ浦地点については2度の浸食作用を考える必要があるが,ここでは上総,下 総の両層群を lつの同じ近似式で表現することとし,最も上位層における浸食作用によっ て過圧密状態にある大深度地盤の庄密・強度特性の深度分布が決定されると仮定すれば,

先に鹿島地点の例で述べた式(3‑6)~(3- 8)は, Zlをよ総層群から下総層群へと置き換える ことで説明が可能となるO

以上のことから,両地点における最上位の不整合面以浅の堆積層の厚さ~と,試験結果 と近似式の対応関係が長好なのは,袖ヶ浦地点ではZl=500m,鹿島地点で、はZl=200m の場合であったことを考慮して このような力学的条件下から両地点における上総層群お

よび下総層群の浸食量を算出してみると 袖ヶ浦地点で、は下総層群で、約500m,一方の鹿 島地点では,上総層群で、約200mと推定されるO なお,袖ヶ浦地点における上総層群の浸 食量に関しては,近似式から推定される浸食量と現在の下総層群の浸層厚を考慮すれば約 500~800m と算出される O 堆積と浸食あるいは詮起と沈降に関する今後の地質学的な解 明が待たれるO

3.  5 力学的評価との関連性

以上のように,堆積・隆起・浸食を考慮することによってのみ圧密および強度特性を表 示すると,地質学的な地殻変動量(上下)が推定できるO 特に上総層群については,その層 厚が最大3千数百m に達していること3.2) また堆積速度,地殻の上下変動量等の既往の地 質学的データ 3.3)から判断すれば,両地点の浸食量が200~800m といったオーダーは地質 学的な常識からかけ離れた値ではないと思われるO 一方の下総層群については,その堆積 作用の特徴が世界的な氷河性海面変動と局地的な地殻変動にあり,またその形成時期の房 総半島は沈降地域であったと考えられていること3.2)から,抽ヶ浦地点において下総層群の 浸食量が約500mとする今関の結果と調和的ではない。いずれにせよ,地殻変動量および 堆積・浸食現象については,今後地質学的に更に解明していく必要があるO

なお,両地点、の地盤が過圧密状態にある理由を浸食によるものと考えずに,地下水位変 動によるものと仮定することもできるO 例えば,地表面に存在した地下水位がある深度ま で低下して,その後に再び地表面まで、地下水位が回復した場合を想定しようO 地盤中で地 下水位変動を生じた部分(層)では,有効土かぶり圧(地下水位変動開始前)→全土かぶり庄 (地下水位低下終了時)→有効土かぶり圧(地下水位田復終了時)といった応、力履歴を受けて 過在密状態となるO しかし,両地点の場合には,単位体積重量より有効土かぶり在が全土 かぶり庄の約半分と算出されることから,過庄密状態となった地盤部分(膚)のOCRi土地下 水位の変動幅に関係なく OCR 2となるO また,両地点のOCRの試験結果については,

特に深度200m以浅において 2よりもかなり大きい値が得られている(図2.3‑5,図2.3‑6 参照)。よって,地下水位変動によって両地点の地盤が過圧密地盤になったと仮定する方

h d 

qu

 

法では,深度200m以浅におけるOCRの深度分布を説明できないことが知られるO

一方,力学的には上記のような機械的な応力履歴による圧密だけでなく,セメンテーショ ンのような化学的な機構も考憲する必要があるが,ここで示した近似式は力学的物理最を 庄密というメカニズムのみによると仮定すると評価可能で、あることを示したのであって,

力学的物理量の中にセメンテーション等によるメカニズムの寄与を否定したものではない。

今後,この観点からの力学的評価が期待されるO

3.  6 本章の結論

大深度軟岩地盤の圧密・強度特性と圧密履歴に関する考察を行った。本章で得られた主 な知見をまとめると 以下の通りであるO

(1)大深度軟岩地盤における圧密と強度特性の深度分布を表現できる 2つの近似式につい て誘導した。再近似式は 地盤が過圧密状態にある理由を地盤の堆積作用と浸食作用の みによるものと仮定する方法であるO 両近似式によれば,上総層群の浸食厚さを数百m 程度と仮定すれば袖ヶ浦,鹿島の両地点の圧密,強度特性の深度分存を大略表示できる

ことがわかった。

(2)ここで示した近似式は 力学的物理量を圧密というメカニズムのみによると仮定する と評価可能であることを示したのであって,力学的物理量の中にセメンテーション等に よるメカニズムの寄与を否定したものではない。圧密だけでなく,セメンテーションの ような機構も考慮する必要があり この観点からの力学的評舗が今後の課題であるO

参考文献

3.1) Parry, R.H.G. and Wroth, C.P. : Shear Stress‑Strain Properties of Soft Clay,  Soft Clay Engineering, Elsevier Sci.  Pub., pp.311 ~366 , 1981. 

3.2)三 梨 昂 , 奈 須 紀 幸 , 検 井 久ほか:東京湾とその周辺地域の地質,特殊地域図 (20), 10万分の1,地質説明書,地質調査所, pp.1 ~91 , 1979. 

3.3)例えば,第四紀地殻変動研究グループ:第四紀地殻変動図,国立妨災科学技術セン ター, 1973.