• 検索結果がありません。

第4章 開発パートナーの協力実績と援助協調

4.2 援助協調の状況

45

各国連機関は、国連開発援助枠組み(UNDAF)2015-2019 を基本方針とし、523.4 百万 ドル(2014 年の UNDAF 作成時点では半額を今後資金動員する見込みと記載)を支援額 として算定。1) 基礎的社会サービスへのアクセス改善、2) 雇用・収入創出を通じた極 度の貧困削減、3) 持続可能でインクルーシブな開発のための男女平等の推進を目標と し、FAO、IFAD、ILO、IOM、UNAIDS、UNDP、UNEP、UNESCO、UNFPA、UN-HABITAT、UNHCR、

UNICEF、UNIDO、WFP 他が支援を展開している。

4.1.2 二国間援助

開発援助委員会(DAC)加盟国による協力(Net ODA Disbursement)は、2017 年には 779 百万ドルに達し、政治危機から脱却した 2013 年以降、年々増加傾向にある。

【米】

支援重点分野は 1)保健、2)農業・食料安全保障、3)水・衛生、4)環境保護、5)ガバ ナンス(特に人権保護や表現の自由)で、米国国際開発庁(USAID)等を通じた協力を 展開している。財政支援は実施していないものの、アフリカ成長機会法(AGOA)による 貿易自由化(2009 年~2015 年までは資格停止)、Power Africa による電力分野での民 間参入を併せて推進している。

【フランス】

協力の柱として、1)教育および職業訓練、2)農村開発、3)インフラ整備・都市開発、

4)生物多様性(COP21 含む)を推進しており、主たる援助はフランス開発庁(AFD)が 実施。財政支援ドナー。フランス政府の資金のみならず、EU からのファイナンスを活 用している。

【独】

協力の柱として、1)環境・自然資源保護、2)再生可能エネルギーの推進、3)南部支援、

4)地方分権化推進(中核都市における都市開発)、5)官民連携を実施。独政府の資金の みならず、EU からのファイナンスを活用。

【中】

ドナー調整会議に参加していないため、正確な支援概要は不明であるものの、官民を 通じた援助額はドナーの中でもトップクラスと推測される。RCD2014 によれば、保健、

教育、インフラ整備、ガバナンス分野において協力を展開。また、2018 年 9 月に北京 で開催された「中国・アフリカ協力フォーラム」において、トアマシナ空港の拡張事業 やフィアナランツァ-東側沿岸間の鉄道改修事業等がコミットされている。

46 4.2.1 政治的枠組み

2009 年、政治危機からの脱却を目的として、AU と SADC を中心とした「マダガスカル・

国際コンタクトグループ(Groupe International de Contact sur Madagascar:GIC-M)」

が設置された。主宰は暫定政権下大統領および AUC 委員長が務め、国連常任理事国およ び一部の非常任理事国、日本(在マダガスカル日本大使館)、独、ノルウェー、スイス、

EU、インド洋委員会等が参加した。

その後 GIC-M は、2013 年 12 月の大統領選挙および国民議会選挙が平和裏に行われ、

2014 年 4 月にクール・ロジェ内閣が組閣されたことにより、当初掲げていた「政治危 機からの脱却」という GIC-M のマンデートを完了した。そこで、参加国を維持する形で、

政治危機後の支援(政治的安定、民主主義国家の建設、平和の実現、和解プロセスの実 施等)を新たなマンデートとして、「マダガスカルに関する国際支援グループ(Groupe International de Soutien pour Madagascar:GIS-M)」が発足した。2015 年 6 月のラジ ャオナリマンピアニナ大統領に対する国民議会からの罷免要求決議、同年 9 月の地方選 挙結果発表、同年 12 月の上院議員選挙実施の際に政治的な安定を呼び掛ける等、限定 的に活動している。

4.2.2 戦略的対話グループ(GDS)

2015 年 2 月に国家開発計画(PND)が策定されたことを受け、国連(特に UNDP)が主 導 し 、 援 助 協 調 枠 組 み と し て 「 戦 略 的 対 話 グ ル ー プ ( Groupe de Dialogue Strategique:GDS)」が設置された(図21)。主宰はマダガスカル政府首相および国連 当地代表。

図23 援助協調枠組(出典:マダガスカル政府へのヒアリングに基づき JICA 作成)

GDS という全体枠組みの下に、国家開発計画(PND)の 5 重点分野に沿って 19 のセク ター別ワーキンググループが設置されている。運営状況は各セクターで異なり、政治危 機中のドナー協調の進展に依るところが大きい。ドナーとマダガスカル政府の双方より 関係機関における更なる調整と協調の必要性が度々示唆されており、各セクターで定期 的な対話を通じた一層のドナー協調が求められている。JICA は 2016 年~2017 年までの 1 年間、農業セクターのリードドナーを務めた(任期当初はアフリカ開発銀行と共同)。

47

表19 セクター別援助協調ワーキンググループ一覧

(出典:PND を基に JICA 作成)

48