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提案法の妥当性の考察

第 5 章 標準マイクロフォンの広帯域高精 度校正法の提案

5.4 提案法の妥当性の考察

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91 (前ページから続く)

(b)

(c)

Fig. 5-4. Simulated interference signals of each photo detector with the displacement of Fig. 5-3:

(a) 20 Hz, (b) 250 Hz and (c) 6300 Hz

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Time/T 250 Hz

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

-1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Time/T

6300 Hz

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Fig.5-5 に,Fig.5-4で得られた信号を利用し,式 (5.3)を用いて計算した変位と,第 3 章で得られた変位を比較した結果を示す. 横軸は周波数を,縦軸は変位を表している.

また,実線は第 3 章で測定した変位値であり,点線は第5章で提案する方法を用い た 上記の計算機シミュレーションにて得られた結果である.図から,二つの値がほぼ一致 していることが分かる. したがって,本章で提案した方法が,高精度かつ広帯域な校正 方法として用いるに適用できる可能性が考え られる.

Fig. 5-5. Comparison of the measured and recalculated displacement by the sine approximation process with the simulated interference signals in Fig. 5-4

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5.5 まとめ

標準マイクロフォンの校正に広く使用されている既存の可逆校正法は,第 2 章で示し た通り,測定に多大な時間を必要とするだけでなく,低周波数帯域では測定における 信 号対雑音比が低下するなど,測定する周波数帯域を拡張する面で制限が多い.そのため,

測定帯域を超低周波数から可聴周波数までの広い範囲にわたり高精度校正が可能なシス テムが必要となる.

本章では,社会的関心の高まっている超低周波音のように,可聴周波数 帯域の下限以 下の周波数から上限周波数付近までの広範囲にわたり,マイクロフォンの高精度校正が 可能なシステムの実現を目指した. そのために,第 4 章で提案した方法を第 3 章の校正 手法の過程に適用する手法を提案した.即ち,第 4 章で提案したレーザ干渉計システム は,第 3 章の表面振動測定へ適用することが可能であり,このシステム を適用すること で,他に校正された振動測定機器を使わずともマイクロフォンの感度を 高精度かつ広帯 域に測定することができるというものである.また,本章では,提案法の有効性を検証 するために,第 3 章で求めたダイヤフラム振動振幅の測定結果を援用し,計算機シミュ レーションにより提案法の妥当性を検討した. その結果,シミュレーション結果値は第 3章で測定した変位値とほぼ一致していること が示され,提案法が妥当性を持つことを 明らかにした.

以上のことから,本章の提案方法は,広帯域にわたって高い精度で校正可能な新しい 方法となり得ると言える.しかしながら,本章の計算機シミュレーションの結果は,提 案システムの妥当性と可能性を示したものであり,今後実システム上でその有効性を検 討する必要があると考える.

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