第 5 章 シミュレーションによる動作確認
5.3 提案手法の動作確認
5.3.1 定常状態での比較
提案した速度制御系の有効性を確認する。確認方法は,提案したスミス補償器を付加
した Fig5.2 で示す速度制御系とスミス補償器を付加しない速度制御系を比較すること
で,提案手法の有効性を確認する。
ここで,シミュレーションの指令値について説明する。d軸電流指令値を2 [A]一定と する。速度指令値は,初期値を10[Hz]として,シミュレーション開始1.0[s]後にステッ プ状に速度を変化させる。変化させる速度は,20,30,40そして 50[Hz]と10[Hz]ごと に変化させる。さらに,外乱トルク TLは0 とする。また,スミス補償器を付加しない 場合の速度制御系の電流制御器および速度制御器は,スミス補償器を付加した場合と同 じ設計仕様のもとゲイン設計を行った制御器を使用する。
Fig5.2~Fig5.5 はスミス補償器を付加した場合のスロット高調波を利用した速度制御
である。Fig5.6~Fig5.8 はスミス補償器を付加していない場合のスロット高調波を利用 した速度制御である。
シミュレーションの結果より,スミス補償器を付加しない場合の手法は,定常状態に おいても振動が持続した応答を示しており良好な結果とは言えない結果となった。この 結果に対して,提案法は,わずかではあるが定常誤差の残った応答を示した。ここで,
定常誤差を定量的に評価する。評価方法は,誤差を標準偏差 / 平均として考える。ま た,シミュレーション結果の標準状態を3.0[s]~5.0[s]として考える。各速度での誤差は
Table5.3にまとめる。
以上の結果より定常状態では,スミス補償器を付加しない場合の速度センサレス制御 系の誤差は5%以下であることが分かった。しかし,提案法は補償器を付加しない場合 に比べ十分に良好な応答を示していることがTable5.3からでも読み取ることができる。
Table 5.3 シミュレーションの誤差の比較
補償器あり 補償器なし
20Hz 6.22×10-6 % 20Hz 4.26 %
30Hz 2.31×10-5 % 30Hz 2.78 %
40Hz 4.41×10-5 % 40Hz 2.04 %
50Hz 6.32×10-5 % 50Hz 1.59 %
第5章 シミュレーションによる動作確認
38 Fig 5.2 補償器あり
(定常状態:10[Hz]から20[Hz])
Fig 5.3 補償器あり
(定常状態: 10[Hz]から30[Hz])
Fig 5.4 補償器あり
(定常状態: 10[Hz]から40[Hz])
Fig 5.5 補償器あり
(定常状態: 10[Hz]から50[Hz])
Fig 5.6 補償器なし
(定常状態: 10[Hz]から20[Hz])
Fig 5.7 補償器なし
(定常状態: 10[Hz]から30[Hz])
Fig 5.8 補償器なし
(定常状態: 10[Hz]から40[Hz])
Fig 5.9補償器なし
(定常状態: 10[Hz]から50[Hz])
3 3.5 4 4.5 5
19.99 19.995 20 20.005 20.01 20.015
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.5 4 4.5 5
29.99 29.995 30 30.005 30.01 30.015 30.02
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.5 4 4.5 5
39.99 40 40.01 40.02 40.03 40.04
Time[s]
FrequencyHz]
指令値 出力
3 3.5 4 4.5 5
49.99 50 50.01 50.02 50.03 50.04
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5
18.5 19 19.5 20 20.5 21 21.5
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5
28.5 29 29.5 30 30.5 31 31.5
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5
38.5 39 39.5 40 40.5 41 41.5
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
3 3.1 3.2 3.3 3.4 3.5
48.5 49 49.5 50 50.5 51 51.5
Time[s]
Frequency[Hz]
指令値 出力
第5章 シミュレーションによる動作確認
39
5.3.2 過渡状態での比較
今節では,前節と同じ条件のもと過渡状態での動作を比較する。Fig5.10~Fig5.13 は,
スミス補償器を付加した場合の速度制御系の過渡応答である。そして,Fig5.14~Fig5.17 は,スミス補償器を付加しない場合の速度制御系の過渡応答である。
過渡応答の評価として,以下の項目を比較する。
(1). 立ち上り時間:出力値が指令値の10%~90%の値になるまでかかる時間
(2). 遅れ時間:出力値が指令値の50%の値になるまでかかる時間
(3). 行き過ぎ時間:オーバーシュートのピーク値になるまでの時間
以上の項目は,それぞれTable5.4~Table5.7にまとめる。以上より,Table5.5.4~Table5.7 より,応答時間は提案した制御系のほうが補償器を付加しない場合に対して速い立ち上 がりであることを確認できた。さらに,指令値に収束するまでの時間は,Fig5.15~Fig5.18 をみればわかるように補償器を付加しない場合の制御器系は振動的な挙動を示し続け る。それに対し,提案法は,指令値に収束していくことが Fig5.10~Fig5.15 より読み取 ることができる。
以上の結果より,提案法が信号の応答性および収束性に関して補償器を付加しない場 合に対して良好な応答を示していることを確認することができた。
第5章 シミュレーションによる動作確認
40 Fig 5.10 補償器あり
(過渡応答: 10[Hz]から20Hz)
Fig 5.11 補償器あり
(過渡応答: 10[Hz]から30Hz)
Fig 5.12 補償器あり
(過渡応答: 10[Hz]から40Hz)
Fig 5.13 補償器あり
(過渡応答: 10[Hz]から50Hz)
Fig 5.14 補償器なし
(過渡応答: 10[Hz]から20Hz)
Fig 5.15 補償器なし
(過渡応答: 10[Hz]から30Hz)
Fig 5.16 補償器なし
(過渡応答: 10[Hz]から40Hz)
Fig 5.17 補償器なし
(過渡応答: 10[Hz]から50Hz)
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
10 12 14 16 18 20
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
10 15 20 25 30 35
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
10 20 30 40 50
Time[s]
FrequencyHz]
指令値 出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
10 20 30 40 50 60
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
5 10 15 20 25
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
5 10 15 20 25 30 35
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
0 10 20 30 40 50
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
1 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5
0 10 20 30 40 50 60
Time[s]
Frequency[Hz] 指令値
出力
第5章 シミュレーションによる動作確認
41 Table 5.4 立ち上がり時間の比較
補償器あり 補償器なし
20Hz 0.029 20Hz 0.032
30Hz 0.057 30Hz 0.060
40Hz 0.083 40Hz 0.087
50Hz 0.111 50Hz 0.115
Table 5.5 遅れ時間の比較
補償器あり 補償器なし
20Hz 0.018 20Hz 0.026
30Hz 0.036 30Hz 0.045
40Hz 0.054 40Hz 0.063
50Hz 0.071 50Hz 0.081
Table 5.6 行き過ぎ時間の比較
補償器あり 補償器なし
20Hz 0.041 20Hz 0.051
30Hz 0.912 30Hz 0.086
40Hz 0.808 40Hz 0.120
50Hz 0.759 50Hz 0.157
第5章 シミュレーションによる動作確認
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