第 3 章 3D 映像サービスに対するヘッドエンド品質監視法 26
4.2 提案フレームワーク
4.2.1 コンセプト
パケットヘッダ(例:IP、UDP、RTP、TS、PESヘッダ)を用い品質を推定するパケッ トレイヤモデルはユーザ端末(PT4)でのインサービス品質監視に適している。IPTVの 映像品質を監視する提案モデルを図4.2に示す。
IPTVサービスでは多くのプロトコルスタック(例:TCP/IP、UDP/IP、RTP/UDP/IP、 TS/UDP/IP、TS/RTP/UDP/IP)を用いることができるが、放送、再送信、VoDにおけ るIPTVサービスではTS/UDP/IPもしくはTS/RTP/UDP/IPが主に用いられている。そ こで、提案モデルの入力はTS/UDP/IPもしくはTS/RTP/UDP/IPのヘッダとする。
提案モデルは映像コンテンツごとの映像品質評価値を出力するのではなく、想定された 映像コンテンツに対し平均された平均映像品質 (V q) を出力する。品質を精度良く推定す るためには、利用できる情報をすべて用いることが理想的である。しかしながら、コーデッ
Coefficient database
Quality estimation modules IP packet
-Bitstream -PES-TS -RTP-UDP -IP
Parameter calculation modules
Assumed service conditions Video codec
- Codec type - Implementation Encoding parameter - Frame rate - Group of picture - Video format Video content - Video content type
Packet-loss event frequency calculation module
Bit rate calculation
module Quality estimation
module (coding)
Quality estimation
module (packet loss) Vq
Estimation
assumption Equation coefficients Set 1 a1 b1 … f1
… … … … …
Set n an bn … fn
a1, b1, c1
d1, e1, f1
BR PLF
Vqc
Set 1 IP
UDP RTP TS
図 4.2 HD映像のIPTVサービスの品質を監視するパケットレイヤモデル
ク種別(例:MPEG-2、MPEG-4、H.264)、コーデックの実装(例:動き検索、レートディ ストーションアルゴリズム)、符号化パラメータ(例:解像度、GoP12、フレームレート)、
映像コンテンツの情報はパケットヘッダに含まれないため、これらの情報をパケットヘッ ダから直接得ることはできない。そのため、提案モデルはこれらの条件に対し事前情報を 持つ必要がある。
IPTVサービスプロバイダは事前情報(例:コーデック種別、実装、符号化パラメータ、
映像コンテンツ)を把握しているため、事前情報は、例えば、IPTVサービスプロバイダ によって提供される。
映像コンテンツセットの選定は、IPTVサービスプロバイダの品質監視方針に基づく。例 えば、軽微な品質低下を検知したい場合、符号化効率の低い映像コンテンツセットを選択 する。
提案モデルはビットレートおよびパケット損失に影響される映像品質を推定する。提案 モデルをユーザ端末に組み込む場合、ジッタバッファにより廃棄されるパケットや、FEC13 により回復されるパケットを加味し、提案モデルはパケット損失を計算できる。 ただし、
本検討において、ARQ14を検討対象外としており、提案モデルはリバッファリングにより 影響される映像品質低下を考慮することができない。
一般に、映像コンテンツのビットレート(BR15)やパケット損失率(P LR16)が 同じ
12Group of Picture
13Forward Error Correction
14Automatic ReQuest
15Bit Rate
16Packet-Loss Rate
場合(例:BR 、P LR . )でも、映像品質低下は想定されるサービス条 件に依存する[85]。しかしながら、品質パラメータ(例:ビットレート、パケット損失率)
に対する映像品質低下の傾向は想定されるサービス条件に依存しない。例えば、映像品質 はビットレートの増加とともに増加する。また、映像品質はパケット損失率の増加ととも に低下する。このように、提案モデルの数式の形状は統一的に扱うことができるが、各想 定されるサービス条件ごとにモデル係数を最適化する必要がある。
4.2.2 機能
符号化およびパケット損失による品質低下はビットレートやパケット損失に主に依存す るため、パラメータ計算モジュールはビットレート(BR)およびパケット損失(P L)を 計算する。まず、映像パケットはTSヘッダ内のPID(ITU-T勧告H.222参照)により検 出される。次に、ビットレート(BR)は検出された映像TSパケット数に基づき計算され る。最後に、パケット損失(P L)はRTPヘッダ内のRTPシーケンス番号もしくは、TS ヘッダ内の連続カウンタ(ITU-T勧告H.222参照)に基づき計算される。
ビットレート(BR)およびパケット損失(P L)を用い、品質推定モジュールは映像品 質を推定する。前述のように、提案モデルの数式の形状(例:ロジスティック関数、指数関 数)は想定されるサービス条件に対し同一とした。
提案モデルの数式の係数は想定されたサービス条件の下、実施された主観品質評価デー タを用い最適化される。これらの係数は係数データベースに保存される。係数データベー スを構築するために、サービスプロバイダは保有するサービスシステムに対し主観品質評 価実験を実施し、非線形回帰により係数を導出する必要がある。例えば、異なるGoPに対 する映像品質は異なるため、各想定された符号化パラメータに対し、係数を選択する必要 がある。加えて、パケットレイヤモデルは定義により映像コンテンツが与える品質への影 響を加味することができないため、映像コンテンツ種別に対し仮定を置く必要がある。つ まり、時空間情報の観点で、学習データセットに対する映像コンテンツの特性と、監視す る映像コンテンツが異なる場合、モデル係数を変更する必要がある。
4.2.3 モデルの動作
提案モデルは以下のように動作する。まず、IPTVサービスプロバイダは想定されるサー ビス条件(例:図4.2のSet i (コーデック:H.264、フレームレート:30 fps、GoP: M
= 3、N = 15、解像度:HD、映像コンテンツ:映像品質に対し厳しいコンテンツ))を設
定し、パケットヘッダ(例:IP、UDP、RTP、TSヘッダ)を提案モデルに入力する。次 に、パケットヘッダに基づきパラメータ(BR、P L)を計算し、想定されたサービス条件 に基づいて係数データベースからモデル係数(ai, bi, ..., fi)を選定する。次に、パラメー タおよび提案モデルの係数が品質推定モジュールに入力される。符号化に対する品質推定 モジュールはビットレート(BR)を用い、符号化に対する平均映像品質(V qc)を推定す る。最後に、パケット損失品質推定モジュールは符号化に対する平均映像品質(V qc)およ びパケット損失(P L)を用い、想定された映像セットに対する平均映像品質(V q)を出
表 4.1 各映像グループの映像コンテンツ
(a)映像グループA
No. Title Criticality [bit/pixel]
1 European market 0.3
2 Harbour scene 0.4
3 Whale show 0.7
4 Soccer action 0.8
5 Green leaves 1.1
6 Japanese room 0.2
7 Ice hockey 0.2
8 Weather report 0.1
(b)映像グループB
No. Title Criticality [bit/pixel]
1 Streetcar 0.2
2 Opening ceremony 1.0
3 Crowded crosswalk 0.3
4 Boy and toys 0.2
5 Buildings along the canal 0.3
6 Baseball 0.3
7 Summertime tanning 0.3
8 Flamingos 0.4
力する。