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結論

ドキュメント内 修 士 論 文 (ページ 76-80)

た、障害を持った同居の家族がいる場合、配偶者の就労時間はさらに低下することか ら、障害者の同居は配偶者に対して負の影響を及ぼしていることがわかる。さらに、

障害者が同居している家計では家計の等価所得は中央よりも低くなることがわかっ た。以上の障害者とその家族の状況の整理から、障害は障害者本人に加えて、その家 族にも大きく影響を及ぼしているという実態が窺える。

以上の『JHPS/KHPS(2018)』に含まれる障害者の状況を踏まえ、計量分析を行っ た。まず、障害者が同居していることによってその家計の世帯主と配偶者の就労時間 にどのような影響があるかを分析したところ、配偶者の就労時間に対する負の影響が 認められた。また、配偶者は小さな子供がいることによっても大きく就労時間を低下 させていることもわかった。世帯主においては障害者や子供が同居していることの就 労時間への影響は確認されなかった。このことから、障害者や子供が同居しているこ との影響は家計内での立場で大きく異なり、主に配偶者が障害者や子供へのケアを担 いその代わりに就労時間が低下しているということが示唆された。また、等価所得が 低い家計ほど世帯主も配偶者も就労時間が減少しているということも明らかになっ た。

次に、家族に障害が発生した以前と以後で、世帯主と配偶者に対してどのような影響 があるか分析したが、有意な結果は得られなかった。これはデータの制約により十分 な分析ができていないことが要因である。

本研究全体を通して、障害は障害者本人だけではなく同居する家族へも影響している ということが確認された。この結果から、障害を医療モデルではなく社会モデルとし て捉えることが重要であるということがわかる。障害者に対する支援は障害者本人だ けではなくその家族に対しても行われなければならない。また、等価所得が低くなる ほど就労時間が低下することから、等価所得が低い家計では就労時間を増やすことが できない要因があると予測され、障害者の同居等により就労が制約されていることが 考えられる。そのため、家計に障害者の同居等の就労制約があることが、その家計が 低所得層に入る要因となっている可能性が示唆された。

日本において家計調査を用いた障害者の分析を行った研究が駒村康平(2018)のみであ ることや、配偶者への同居の障害の影響を分析した研究は海外においてもParodi &

Sciulli (2008)の他に見当たらず、Parodi & Sciulli (2008)においては障害者の影響は有 意に推定されなかったことから、本研究で配偶者に対する同居する障害者の影響が確 認されたことは大きな貢献である。また、『JHPS/KHPS(2018)』のデータは利用す る上で様々な整理を行い『JHPS/KHPS(2018)』が持つ障害者の情報の引き出し方 と、その限界を示したことも一つの貢献である。

また、本研究は『JHPS/KHPS(2018)』のデータに障害者の質問項目が加わったこ とによって可能となった。そのため、日本において障害者の分析が深まるためには、

『JHPS/KHPS(2018)』のように家計データとしての調査が行われ、公開されていく

ことが不可欠である。

今後の研究の発展としては、『JHPS/KHPS(2018)』において障害者のデータが蓄積 されることを待ちより詳細な分析を行う。また、propensity-score-matchingなどの手 法を用いて分析を行う。

《参考文献》

Allison, P. D. (2009). Fixed effects regression models. Thousand Oaks, Sage Publications, Inc Cain Polidano & Ha Vu (2015) Differencial Labour Market Impacts from Disability Onset, Health Economics, 24:302-317

Giuliana Parodi & Dario Sciulli (2008) Disability in Italian households:income, poverty and labour market participation, Applied Economics, 40:20, 2615-2630,

DOI:10.1080/00036840600970211

Gourieroux, C., A. Monfort and A. Trognon (1984). "Pseudo maximum likelihood methods:

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江尻桂子(2013)「障害児の母親における就労の現状と課題:国内外の研究動向と展望」『特

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