実験イ 水と洗剤だけで汚れはおちるのか
実験アで、水と力だけでも汚れがある程度とれること が分かった子供たちは、洗剤液に墨で汚れた布を浸す実 験を行った。水でも汚れが落ちたのだから、洗剤液なら もっと汚れが落ちるはずだと考える。
しかし、結果は、水と洗剤だけでは汚れが浮いてくる のにとどまり、「水と力」のとき程の洗浄力はないことが 分かった。つまり、洗濯には、洗濯の3要素(水・洗剤・
力)が必要であり、この洗濯の3要素(水・洗剤・力)
を使ってくつ下をきれいにしようという洗濯実習への願 いをもち、くつ下の洗濯実習の計画を立てた。
④ 「すすぎ」に焦点を当てた洗濯実習
子供たちは、最初の洗濯実習で身近な衣服の手 洗いによって、普段の洗濯機での洗濯では見るこ とのできない洗濯の手順を知る。そして、洗濯に よって衣服に付いた汚れが移った水を目の当たり にして、それだけ衣服が汚れていたということに 気付く。また、子供たちは、洗剤の使用量やすす ぎ方によって、使用する水量に差が出てくること を実際の水量を目にし、比較することで実感する。
ぞうきんを絞った経験から脱水は早く乾燥させ
るためのコツだということを知っていても、洗剤液で洗った後やすすぎとすすぎの間 の脱水(中間脱水)が洗濯を効率的に進める方法だとは気付いていない。そこで、洗 濯したはずの衣服に洗剤成分が残っていることを確かめる実験を行い、すすぎが十分 ではないと、汚れや洗剤成分が残り、黄ばみや臭いのもとになることに気付く。
ツについて紹介し合う場を設けた。その中で、子供たちに、運動会後の汚れたくつ下に ついて観察した感想を尋ねてみると、「臭いが気になる」「そのまま履いていると足が汚 れる」「汚れたままだと格好悪い」という「見える汚れ」をすぐに洗濯したくなる理由に ついて話していた。そんな目に「見える汚れ」に目を向けている子供たちに、一見汚れ ていない汗の付いたTシャツがニンヒドリン反応で紫色に染まる様子や昨年洗濯してか らしまっておいて黄ばんでしまったシャツを見せた。子供たちは、目に「見える汚れ」
だけではなく、「見えにくい」汚れもすぐに洗わないといけないことを実感し、家族が洗 濯をこまめに行っている理由や衣服を気持ちよく着るための洗濯の必要性に気付き、「気 持ちよく着るためには、どのような洗濯が必要なのか」という課題をもつことができた。
第2次 くつ下を洗濯する実習計画を立てる
第2時 くつ下の汚れに合った洗濯の実習計画を立てる子供たちに、「運動会後やいつもは洗濯してもらっているくつ下を自分たちの力での手 洗いしてみよう」と投げかけた。すると、自分で洗濯したことのある子供がほとんどお らず、不安そうな子供と初めての体験にうれしそうにしている子供の反応が見られた。
そこで、洗濯の3要素(水・洗剤・力)についての2つの実験を行い、洗濯の原理を明 確にした。そして、洗濯には、洗濯の3要素(水・洗剤・力)が必要であり、この洗 濯の3要素(水・洗剤・力)を使ってくつ下をきれいにしようという洗濯実習への願 いをもち、くつ下の洗濯実習の計画を立てることができた。また、これによって、題材 を通して、洗濯の3つの要素を基に洗濯を振り返ることができた。
第3・4時 くつ下(右)を洗濯する
くつ下は、全員同じものを購入し、これを1日履いたものを洗濯実習に用いた。2回 の洗濯実習のうち、1回目の洗濯実習で気が付いたことを2回目の洗濯実習に生かすこ ととした。新品を使用したのは、付いた汚れやその部分が明確になることと、洗った際、
付いていた汚れがどの程度落ちたのかを分かりやすくするためである。
子供たちは、手洗いでの洗濯の基本的な作業(汚れの点検、洗う、すすぐ、絞る、干 す)を実践する共通体験を行った。普段の洗濯機洗いでは見ることのできない洗濯の際 に出る汚れた水を見て、洗濯によって身近な衣服を気持ちよく着ることできることに喜 びを感じることができた。
洗濯実習では、ペアでくつ下の洗濯の様子を観察し合う活動を行った。ワークシート に、自己評価とは別に、洗濯実習の様子を見ていた「ペアの人から」の一言をもらう欄 を設け、洗濯の様子を客観的に見ることができるようにしたり、自分とペアの人の洗濯 の仕方を比較できるようにしたりした。
子供たちは、洗濯実習の終わりに「洗濯道具を使って汚れに直接力を加えることで効 率的に汚れが落とせる」「つまみ洗いで細かな部分の汚れもきれいになること」「空気が 入るように干すと早く乾く」ことに気が付いた。しかし、すすぎ方についてはあまり意 識が向いていないようだった。
第5時 1回目のくつ下の洗濯実習を2回目に生かそうとを考える
1回目の洗濯実習を振り返り、2回目の洗濯実習に向けて生かしたいことは何かを考え た。子供たちは、洗濯の3要素(水・洗剤・力)のうち、力を入れすぎるとくつ下が傷む こと、洗剤を使用量よりも多く使用しても汚れ落ちがあまり変わらないことから使用量を 守るとよいことについて目を向け、見直していた。しかし、水、つまりすすぎ方にはあま り目を向けていなかった。そこで、洗濯実習で「ためすす
ぎ」をしている子供の様子と「流しすすぎ」をしている子 供の様子をみせ、その時に使用している水の量の差をペッ トボトルに入れた色水の量の違いで表した。
子供たちは、「ためすすぎ」の方が少ない水の量で「流し
すすぎ」よりもきれいにすすげることに納得し、2回目の洗濯実習では、「ためすすぎ」を しようと考え始めた。
ブラシを使って汚れを落とす 洗剤をしっかりと量る 空気が入るように間を空けて干する
第6時(本時)
ねらい 洗濯実習を「すすぎ」の視点で振り返ることで、汚れや洗剤成分が残らず水を 無駄にしないすすぎ方について考えることができる。(生活を創意工夫する能力)
教師による指示・発問 子供の反応(省略あり)・学習活動 考 察 2回目の洗濯では、どんな工
夫をしようと思いますか
高廣さんは、確認しながらすす いだの?
それでは、水を無駄にしない洗 濯について考えていきましょう 流しすすぎをしていた人?
ためすすぎをしていた人?
次はためすすぎでやってみる人
?
やっぱり流しすすぎだという人
?
それでは、みんながやってみよ うという「ためすすぎ」をした 高廣さんの様子を観てみましょ う
(中間脱水なしの「ためすすぎ」
のVTRを視聴する)
これは洗っているところ?
北島:力を入れすぎると毛玉ができるか ら加減する。水は流しっぱなしでは節水 にならないから、ためすすぎ。洗剤は、
使用量を増やしても変わらないので使 用量を守りたい。
清水:粉石けんと汚れのひどいところ に固形石鹸を使ったら、洗剤を使いす ぎて、すすぐのに時間がかかった。洗 剤が残ると黄色くなるとお母さんに聞 いた。洗剤の量が多くなると水も多く 必要になる。
高廣:水を無駄にしないためすすぎだ と毎回きれいな水ですすげる。おけの 水に汚れが残っているか確認できる。
にごっていたら、洗いなおすことがで きる。
1回目はまだ残っていて、2回目は水 がきれいになっていた。
(26名が挙手)
(14名が挙手)
(全員が挙手)
(0名)
高廣:すすいでいるところ。ためてい
洗濯の3要素を意識した発言が見 られる。
この清水児の発言から、「水は減 らしたいけれど、しっかりすすぐ には」という学習課題が出せたの ではないか。
水をむだにしない洗たくの仕方について考えよう
何回すすいだの?
実習計画には、10回や20回す すぎたいという人もいましたが
、どうですか。
1回でばっちりでしたか?
しっかりとれたってどうして分 かるの?
実はそのときのすすぎの水を残 してあります。確認してみまし ょう
(各班のすすぎの際の水を提示 する)
これは干す前のくつ下からしぼ った水です。こうやって振ると 泡が出てきます。
これも。これは。こっちは…
これは「ためすすぎ」のすすぎ 水ですよ。これでも残っている ね。
ここで、1組さんのある人のた めすすぎの様子を観てみましょ う。
(中間脱水を行った「ためすすぎ
」のVTRを視聴する)
(再び視聴する)
え、しぼったほうがいいの?
しぼったほうがいいと思う人?
どちらも変わらないという人?
では、実際にやってみます。
(中間脱水なしとありの「ため すすぎ」を実演し、すすぎの際
る間にすすいで、最後に汚れをとって いる。
高廣:1回
宇尾:わたしも1回でやったよ。
齊藤光:1回か2回でいいかも 宇尾:2回か3回がいい。
高廣:(うなずく)うん
宇尾:高廣くんの場合は1回でしっか りとれていた。
宇尾:水に泡が残っていなかった。
わーめっちゃ白い
高廣:結構にごっているね。おれらの はもっと少ないよ。
宇尾:みんな一回以上すすいでいるは ずなのにこんなに残っているんだね。
やばい。泡がたちすぎているよ。「ため すすぎ」でも残るのか。
1組のは3回すすいでいる。
水をためてる間もすすいでいる?
もう1回観せて。
中川:1組のは、しぼってからすすい でいる。
そうしないと洗剤が残ってしまうから
。
(半分程が挙手)
高廣:しぼった方がいいのかな。
宇尾:しぼった方がいいんじゃない。
(半分程が挙手)
高廣:無意識にしぼっていなかっただけ なんだけど。
ここで、ただ「ためすすぎ」をし ただけでは洗剤が残ってしまう。
どうしたらよいのだろう という学習課題を出すべきだっ たか。