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所得効果と代替効果

ドキュメント内 ミクロ経済学 講義 (ページ 31-45)

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最適消費の変化

最適な消費は無差別曲線と予算制約線が接する点で決まる

消費者の所得や財の価格が変化すると予算制約線が変化する

予算制約線の変化に伴って,最適な消費がどのように変化するだろうか

x

1

x

2

O

財の価格は一定で,消費者の所得だけが変化したとする

所得が増加(減少)すれば,予算制約線は        傾きを変えずに上方(下方)にシフト

所得の変化に伴う最適消費の変化のことを        所得効果という

さまざまな所得水準に対応する最適消費点の軌跡のことを所得消費曲線 という[教科書 p.112 の図 10-1 ]

当初の最適消費を点

A

とする.所得が増えれば点

B

に,所得が減れば点

C

に移動する

所得の変化(1)

x

1

x

2

m から m

O

所得の変化(2)

所得の変化に伴ってある財の需要がどのように変化するかを描いた グラフをエンゲル曲線という

(所得消費曲線と似ているが軸の変数が異なる ことに注意せよ!)

[教科書

p.122

Check 2

のグラフはエンゲル曲線]

x

O m

エンゲル曲線

34

所得の増加に伴って消費量が増える財を上級財(または正常財)という

[教科書 p.113 の図 10-2 右]

→ 上級財のエンゲル曲線は右上がり

所得の増加に伴って消費量が減る財を下級財(または劣等財)という

[教科書 p.113 の図 10-2 左(リンゴは下級財,ミカンは上級財)]

例:カップラーメン,インスタントコーヒー,軽自動車など

 (ただし,何が上級財で何が下級財かは消費者の選好によって決まる)

→ 下級財のエンゲル曲線は右下がり

所得の変化(3)

所得が変化したときに需要がどれだけ変化するかを測るための概念が 需要の所得弾力性( income elasticity of demand )である

需要の変化率(    ) 所得の変化率(    )

需要の変化分 変化前の需要量

所得の変化分 変化前の所得

= 変化前の所得

変化前の需要量 × 所得の変化分 需要の変化分

= 変化前の所得

変化前の需要量 × エンゲル曲線の傾き

所得の変化(4)

需要の所得弾力性(  ) 

需要の価格弾力性と異なり,需要 の所得弾力性の定義にはマイナス の符号がつかない(何故か?)

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需要の所得弾力性 > 0 → 上級財

[所得が増加したとき需要が増加する]

1 > 需要の所得弾力性 > 0   必需品

  

[所得が増加した割合に比べ需要の増加する割合が小さい]

   需要の所得弾力性 > 1 → 奢侈品

  

所得が増加した割合に比べ需要の増加する割合が大きい]

需要の所得弾力性 < 0 → 下級財

[所得が増加したとき需要が減少する]

所得の変化(5)

支出 所得

必需品 所得

支出

奢侈品

所得

支出

支出額に占める食費の割合のことをエンゲル係数という

食料品は一般に必需品と見なすことができるので,「所得が増加する と食料品に対する支出の割合が減少する」と言える(エンゲルの法 則)

→ 食料品需要の所得弾力性は1より小さい

→ エンゲル係数を比較することによって,所得水準(生活水準)の 違いを見ることができる

所得の変化(6)

38

消費者の所得は一定で,財の価格だけが変化したとする

第1財の価格が下落(上昇)すれば,      

予算線は縦軸の切片を中心にとして        反時計回りに(時計回りに)回転する

さまざまな価格水準に対応する最適        消費点の軌跡のことを価格消費曲線        という[教科書 p.117 の図 10-4 ]

当初の最適消費を

A

点とする.価格が上昇すれば点

B

に,価格が下落すれば点

C

に移動する

x

1

x

2

O

第1財の価格が   から   へ下落

価格の変化(1)

価格の変化(2)

ある財の価格の変化に伴ってその需要量       がどのように変化するかを描いたグラフ       が需要曲線である

(価格消費曲線と似ているが,       

軸の変数が異なることに注意せよ! よく知られて        いる需要曲線は,実は,このようにし無差別曲線と        予算制約線を用いて導出されるのである)

図 10-4 において,第1財(リンゴ)の価格が下落するに伴って,予 算制約線が反時計回りに回転する.その結果,最適消費が点 A から点 C に移動して,第1財の需要量が増加する.つまり,「価格が下落す ると需要量が増える」という右下がりの需要曲線が導かれる.

p

O

x

需要曲線

40

価格の変化に伴う需要量の変化の要因を詳しく見てみる.

第1財の価格が下落して最適消費が点 A から点 C に移動する(図1)

点 A から点 C への移動を,点 A から点 B ,点 B から点 C への移動に分解す る(図2 , 3)

価格の変化(3)

x

1

x

2

O

A

C

x

1

x

2

O

A

B

C

x

1

x

2

O

A

B C

図1 図2 図3

第1財の価格が下落したことにより,      

第1財と第2財の相対価格が変化する.       

その結果,予算制約線の傾きが緩やか       になる.点 A から点 B への移動は,もと       の効用水準を保ったまま(つまり,も       との無差別曲線に沿って)予算制約線       の傾きだけが緩やかになる様子を描い       ている[黒色の予算制約線は,灰色の予算制約線と傾きが等しくなる まで,無差別曲線状に接したままクルッと回転する]

このように,変化前の効用水準を保ったまま,相対価格の変化により 最適な消費点が変化することを代替効果という

x

1

x

2

O

A

B

C

価格の変化(4)

42

x

1

x

2

O

A

B

C

価格の変化(5)

第1財の価格が下落したことにより,       

変化前の消費の組み合わせを買おうと        すると予算が余る.つまり,第1財の        価格の下落により,消費者の所得が実        質的に増えたことになる.点 B から点 C        への移動は,変化後の相対価格を所与        として,所得のみが増加したときの所        得効果を表している[青色の予算制約線は赤色の予算制約線に平行移動 する]

予算制約線,クルッと回って平行移動

価格変化の効果

= 相対価格の変化による代替効果 + 実質的な所得変化による所得効果 このように価格変化の効果を2つの効果に分解することをスルツキー 分解と呼ぶ

Eugene Slutsky

( 1880-1948 )

価格の変化(6)

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