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成富兵庫の治水・利水システムの現状評価

ドキュメント内 untitled (ページ 137-169)

成富兵庫の治水・利水とは、佐賀城築城、佐賀城下経営のために実施した佐賀平野にお ける水利システムの構築である。

その治利水思想は、

「守るのは人であって、自然界のなかでおたがいに制しあうものである。我々人間はこれ を利導すればよい。自然にさからって、自分の意のままに仕事をやれば思いもよらぬ禍根 をのこす」

とあるように、地形や有明海の干満差、江湖、自然型クリークといった佐賀平野の特性に 逆らわない考え方によっている。

当時の佐賀平野の水利課題には、江湖が排水手段という佐賀特有の困難な排水問題、川 は嘉瀬川のみという用水問題、溜池以外に水源がない、既耕地と伸びていく干拓との調整 などがあった。

また、洪水課題としては、背振山地から流れて来る洪水を平野への浸入を防ぐための嘉 瀬川および城原川に対する対策、筑後川対策、高潮対策としての海岸防禦、江湖による下

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からの突き上げに対する考慮などがあり、これらに対し独自の技術を持って水利システム の構築を行った。

成冨兵庫の工法、技術は下記に示すように、佐賀平野の水利システム構築を目的として、

鳥瞰的な治利水施設の立地(配置)から個々の施設の仕組み設計まで多岐に渡っている。

・江湖とのつながりによる洪水対策、平野全体での受け止め

・.筑後川の遊水施設(千栗土居)

・.乗越(のこし)提、野越、遊水池

・横堤(人工的な河川の屈曲伴う)

・石井樋(嘉瀬川から多布施川)

・上流河川の付け替え(水源対策)

  そしてこれらは、基本的に現在まで通用する内容である。

成富兵庫の行った事業により佐賀平野全体の治水上の安全性は向上し、利水による荒地 の開発が進み、佐賀平野全体の生産性は大幅に向上していった。

しかしながら佐賀城下を中心とした水利として、佐賀城並びにその中心地と非城下域で の水利に関する役割分担を明確に定めていて、成富兵庫の治水は野越堤、二重堤防と遊水 域、水害防備林などを駆使し、受水地として洪水を佐賀平野全体で受け止めるシステムで あった。

そのため、水害時には佐賀城や優良な耕地を守るために犠牲となった遊水地が存在する。

そのような土地では三年に一度の収穫があれば良いほうといわれるなど、常に水害の危険 にさらされていた。

佐賀市から神埼市にかけての地域では金立および竹・尾崎地区などに遊水地とされた地 域がある。それらの地域では堤防が対岸よりも低く作られ、または堤防が切りかかれた野 越が設けられ、洪水流が河川から越流して流れ込むよう設定されていた。城原川の野越は 嵩上げされたものの、現在もまだ残っている。

また、水害常襲地は佐賀平野にあふれた水を城原川に流す役割を持った佐賀江川の左岸 側(北側・佐賀平野側)および城原川と田手川に挟まれた地域などである。佐賀江川では 南側の堤防が高く作られている。城原川では左岸側(田手川側)に越流水を流すように野 越が多く設けられている。このような水害常襲地も当初から遊水地として位置づけられて いたと考えられる。

いわば洪水等受水分担地域の存在が前提のシステムである。しかしながら減免措置等救 済策の実施により利益バランスを保持していた。

また個々の施設の維持に関しては直接の受益者負担の原則で、維持に関するコントロー ルを綿密に行っている。また、維持に関しては、祭り催し等実施し定常化に努めた。

水量等水源、江湖等有明海に関係する事柄、最低部を流れる筑後川の宿命等佐賀平野の 持つ自然的な制約は実質的になおまぬがれず、これら制約下における最善、最適のシステ ムを作り上げた。

そのため佐賀城下への用水引水には、絶対水量に基づいた番水順序、番水時間、樋門等

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佐賀平野に見られる堤高差 

の基準規制といったソフトコントロールを実施し運営している。

以上より、成富兵庫の治水・利水システムは兵庫同時代の佐賀の人口、土地利用、生活 産業形態における水利システムであり、これらの条件内で完全なシステムということがで きる。

しかしながら、現在では人口、土地利用、生活産業形態の変化が著しく、そのため兵庫 のシステム思想を継承しつつも、状況に追従する変化が求められるといえよう。

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8.成富兵庫治水資料集成 

『疏導要書』に記載されている位置図や解説図について、現在の位置との対比も含め整 理を行い、集成資料「『疏導要書』にみる成富標語土木実績」としてとりまとめる。

  以下に各ページを示す。

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