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我々の活動において「物忘れ相談プログラム」を実施すると,多くの現場で「これはど こで受けられるのか?」という質問に遭遇する.さらに「来年も受けたい」「毎年1回は 受けたい」と言った声も多く聞かれる.このことは高齢者がかかりたくない病気の1位が 認知症と言われている状況を如実に反映しているものと思われる.

認知症の初期段階の「物忘れ」が病的なものか,加齢に伴う一般的なものかを自覚する ことが重要である.

「軽度認知障害(MCI)」=「認知症予備群」の時点で積極的な予防対策を取ること により,認知症に移行することを防いだり,進行を遅らせたりできることも医学的常識と なっていることは先にも述べた.

しかし,ここでの課題は少しずつ改善されつつあるとは言え、我が国における認知症に 対する理解度の低さである.

本研究会では,認知症やMCIを特別なものとせず,さらに今年度からは「運転時認知 障害」についても高齢者の理解と社会的なコンセンサスを得るための啓発活動として,先 に述べた自動車教習所での高齢者向け安全運転教室等の実施に加え,以下のような取り組 みを行っている.

4.1 各種講演会における高齢運転者問題に関する講演

当研究会関係者による認知症と自動車運転に関する講演の依頼が急増.問題意識が高ま っていることが伺える.特に医療関係機関での講演も増えており,現場での「認知症の人 にどうすれば運転をあきらめてもらえるか」という難問への対処が問われることが多くな っている.

平成26年

10月1日(水)「自動車事故対策費補助事業」関連講演

・主催:都南自動車教習所,講演者:中村拓司

10月7日(火)交通安全啓発研究会

主催:トヨタ自動車東京本社,講演者:浦上教授

11月29日(土)高齢者の交通安全

主催:千葉県柏市,講演者:JAFメイト社鳥塚編集長

12月9日(火)ドラプリ2014 「高齢者とドライブレコーダー」

主催:ドライブレコーダー協議会,講演者:岩越理事長講演

平成 27年

2月15日(日)認知症予防セミナー(図 付録8参照)

主催:ひまつぶしの会(川崎市,川崎市看護協会等後援,協賛),講演者:浦上教授 3月21日(土・祝日) 「認知症市民公開講座」(川崎市)

主催:日本医科大学街ぐるみ認知症相談センター,講演者:平塚雅之

3月21日(土・祝日) 認知症疾患医療協議会研修会での講演(神奈川県横須賀市)

主催:久里浜医療センター認知症疾患医療センター,講演:鳥塚編集長

4.2 日本認知症予防学会における研究発表

平成26年9月東京都において開催された「第4回日本認知症予防学会学術集会」におい て当研究会と会員による研究発表を行った.平成24年度から3度目の発表となる.

医療関係者や福祉関係者が多く集まる学術集会の場で,認知症と車の運転に関する問題 を提起することにより,危機意識の共有や解決に向けた取り組みの必要性についての理解 促進,共同歩調への同意など,非常に有意義な取り組みとなっている.

「高齢運転者の認知症予防への自動車教習所の取り組み」

浅田克子(八尾自動車教習所,特定非営利活動法人高齢者安全運転支援研究会)

「高齢運転者のMCI早期発見と交通事故防止のために」

中村拓司(特定非営利活動法人高齢者安全運転支援研究会)

写真:4.2 第4回日本認知症予防学会学術集会における研究発表風景

写真:4.1.2 認知症疾患医療協議会研修会での講演風景

「認知障害による運転状況の変化」

鳥塚俊洋(株式会社JAF MATE社,特定非営利活動法人高齢者安全運転支援研究会)

「エクササイズ現場における「認知症予防専門士」の機能発揮とMCI早期発見の実践」

利根川久女紅(利根川Kスタジオ,特定非営利活動法人高齢者安全運転支援研究会)

4.3 マスコミ報道対応

インターネット検索などで本研究会にたどり着くことなどを通じ,またすでに報道され た記事やニュースから本研究会を知って,取材依頼が急速に増えてきた.

特に今年1月7日の首都高5号線の認知症高齢者による逆走死亡事故などを契機に,高 齢者の交通事故が社会問題となったことや,道交法の改正,さらには国による認知症国家 戦略などの政策表明に伴い,各報道機関も認知症に起因する事故とその防止に関する報道 に力を入れ始めた.

取材に際しては十分な資料を作成,自動車教習所での調査なども取材を実施,高齢者の 運転問題を具体的に理解していただくことを旨としている(付録参照).

(テレビ)

・関西テレビ 12月22日 「スーパーニュースアンカー」

・関西テレビ 1月21日 「スーパーニュースアンカー」

・フジテレビ 1月27日 「スーパーニュース」

・TBSテレビ 3月 4日 「ニュース23」

(雑誌)

・福祉広報 2月号 「認知症の人と自動車運転」

・週刊朝日 12月17日号 「認知症と車の運転」

(新聞)

・朝日新聞 3月11日 「高齢者の足,どう確保 運転免許の認知症対策強化」

4.4 イベントを通じた啓発活動

今年度も当研究会として福祉行政と連携する取り組みとして,高齢になっても安全に自 動車の運転を続けてもらうための講演会を,奈良県三郷町地域包括支援センターの主催で 地域の高齢者を対象に,平成27年2月23日(月)に開催.当研究会会員である利根川K スタジオ(神奈川県)の利根川久女紅(くにこ)による指導で,運転に必要な筋肉の衰え を防止するエクササイズを参加者全員で体験していただいた.参加された方々には興味深 く聴講していただき,また積極的にエクササイズに取り組んでいただいた.

4.5 全指連総会会場での「MSP」デモ実施

一般社団法人全日本指定教習所協会連合会の協力を得て,平成26年11月4日(火)の

「第 47回指定自動車教習所全国大会 教習機器等展示会」において「物忘れ相談プログラ ムMSP1100」の展示デモを行った.

全国の指定教習所が一堂に会する機会に,認知症の兆候を簡便に捉える仕組みがあるこ と,早期発見で早期の手当につなげることが認知症の発症を予防したり,その結果として 末永い運転が担保できること,さらには交通事故の予防にもつながることの啓発を行った.

図4.5 展示プログラムの一部

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