第 4 章 綿布の嗜好性に関する実験
4.3 評価結果および考察
4.3.2 性差
性別毎の,各評価語についての評価得点の平均値を図
4.3
に示す.エラーバー は標準偏差を示す.以下,本節における[ ]内には,男性および女性の評価得 点を併記する.図4.3
より,「気持ち良い[3.38,3.57]
」,「高級感のある[2.93,3.10]
」,「柔らかい[3.03,3.15]
」,「厚い[3.36,3.72]
」,「きれいな[3.95,4.07]
」,「湿った[3.90,4.24]」,「豪華な[2.87,3.00]」,「重い[3.08,3.33]」,「丈夫 な[3.62,3.79]」,および「珍しい[3.10,3.31]」において,女性の方が男性よ りも評価得点が高くなっている.そこで,SPSSを用いて男性と女性の評価結果
に対して
Mann-Whitney
のU検定を行った10) .その結果,「可愛い」,「気持ち良い」,「高級感のある」,「かっこ良い」,「柔らかい」,「好きな」,「厚い」,「きれ いな」,「湿った」,「豪華な」,「重い」,「丈夫な」,および「珍しい」の評価項目 において,有意水準
5
%で有意差がみられた.なお,有意差がみられた項目には「*」を記した.これらの結果より,「気持ち良い」,「高級感のある」,「柔らか い」,「厚い」,「きれいな」,「湿った」,「豪華な」,「重い」,「丈夫な」,および「珍
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しい」の評価項目において,女性の方が男性よりも有意に評価が高くなること がわかった.この理由のひとつは,実験試料の素材や織り方が男性よりも女性 により快適感を与えたからと考えられる.また,女性の方が男性よりも触感覚 が敏感である可能性が示唆された.
図
4.3 各評価項目における性別の評価結果
次に,女性と男性の評価得点の平均値の差異が
0.25
以上と比較的大きい「厚 い」,「湿った」,および「重い」の評価項目に着目した.図4.4
の (a),(b) およ び (c) は,「厚い」,「湿った」,および「重い」の評価項目における25
種類の綿 布を性別に分けた評価結果をそれぞれ示している.◯および●はそれぞれ男性 および女性の評価得点の平均値を示し,エラーバーは標準偏差を示す.図
4.4
より,女性は「厚い」,「湿った」,および「重い」の評価項目に関して,男性よりも高く評価する傾向がみられた.女性が男性よりも「厚さ」および「重
2 3 4 5
好きな
評価得点
: 男性 : 女性
気持ち良い 大きい可愛い
高級感のあるかっこ良い柔らかい
厚い きれいな
肌触りの良い 湿った豪華な重い
丈夫な安心な 珍しい
*
*
*
*
* *
*
* *
*
*
*
*
* p<0.05
41
さ」を高く評価する傾向にあった理由として,圧覚閾の性差が考えられる.
Weinstein
11) は,女性よりも男性の方が,有意に圧覚閾が高いと報告している.また,潮田,中島の報告12) によると,皮膚への圧迫の増加がぬれ感覚の増加を もたらすと結論づけている.これらの理由から,綿布を使って両掌を拭くとい う動作において,女性の方が厚さ,重さおよび湿り気の変化を男性よりもより 敏感に感じ取ったと考えられる.
図
4.4
「厚い」,「湿った」および「重い」の評価項目における評価結果2
3 4 5
2 3 4 5
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
2 3 4 5
綿布番号
評価得点評価得点評価得点
(a)
(b)
(c)
25cmx25cm
20cmx20cm 30cmx30cm 35cmx35cm 40cmx40cm
20cmx20cm
厚い ( ○:男性 ●:女性 )
湿った ( ○:男性 ●:女性 )
重い ( ○:男性 ●:女性 )
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