第 5 章 湿潤綿布の温度が印象評価に与える影響
5.2 主観評価実験
本実験では,
SD
法を用いた主観評価実験を行うため,第3
章にて選定した8
語に対して,それぞれの反意語を当てはめ,各評価語対を構成した.表5.1
に構 成した8
つの評価語対を示す.53
表
5.1 評価語対
5.2.1 実験条件
実験では,綿布の温度を,5 ℃,15 ℃,30 ℃,45 ℃,60 ℃,および
75
℃ の6
種類とし,室温は,文献14) を参考に20
℃,25 ℃,および30
℃の3
パタ ーンとした.室温への順応時間は,文献15) の曝露時間を参考に10
分間とした.湿度は,50 ± 10% RHとした.実験は春季 (5月中旬 ~ 6月上旬),夏季 (7月 中旬 ~ 8月中旬),秋季 (10月中旬 ~ 11月上旬) および冬季 (12月下旬 ~ 1 月中旬) の合計
4
回行った.実験試料は,全て未使用の綿布を使用し,製造の際 に付着した汚れや糊を除去するために一度洗浄処理を施した.なお,綿布のサイズは,前章の実験13) で高評価であった
30 cm × 30 cm
に統 一した.残留塩素濃度は100 ppm
以下とした.また,宮川らの報告4) を参考に,最も快適と思われる水分率は,湿潤時重量が標準乾燥時重量の
2.5
倍になるよう に設定した.よって本実験では,標準乾燥時重量27.5 g
に対して湿潤時重量が68.8 ± 2 g
になるように水分率を調整し,水分量の変化を避けるためにラッピングフィルムで包装した.表
5.2
に実験で使用した試料の詳細を示す.嫌いな
⇔
好きなありふれた
⇔
珍しい冷たい
⇔
熱い肌触りの悪い
⇔
肌触りの良い安っぽい
⇔
高級感のある気持ち悪い
⇔
気持ち良い固い
⇔
柔らかい乾いた
⇔
湿った54
表
5.2 実験試料
5.2.2 実験方法
被験者は,室温
20
℃,25 ℃,および30
℃のいずれかに設定された実験室 に入室し,順応時間として10
分間,椅座状態で待機した後,以下の手順で主観 評価を行った.被験者には,6
種類の温度に設定した綿布の中からランダムに一 本手渡し,手を拭かせた後に,8
語の評価項目中の1
語に対して,1
~ 5まで (1:×××,
2:
やや×××,3:
どちらともいえない,4:
やや◯◯◯,5:
◯◯◯) の5
段階で評価させた.実験で用いた評価シートを図5.1
に示す.綿布の使用方法 については,被験者全員に両方の手の平のみをまんべんなく拭うよう指示した.被験者には,各綿布を評価し終えた後,次に使用する綿布の評価に影響を与え ないよう,手をタオルや扇風機で十分に乾燥させるよう指示した.その後,先 ほどと同じ温度の綿布を被験者に手渡し,別の評価語に対して
5
段階で評価さ せるという試行を8
つ全ての評価語について回答するまで繰り返した.そして,全ての評価語について回答した後,被験者には別の温度の綿布を手渡し,全て の温度の綿布を回答するまで同様の手順を繰り返し行った.
なお,他の室温における実験は,日をあらため同様の順応時間を設けて実施 した.本実験における季節ごとの
1
人当たり総試行回数は,実験規模,および糸番手 パイル長
(Ne) 経密度/2.54 cm 緯密度/2.54 cm (mm) 乾燥時 湿潤時
20/2 13 13 3.0 305.3 763.7
厚さ サイズ 織組織 色
乾燥時 湿潤時 (mm) (cm × cm)
27.5 68.8 1.30 30 x 30 平織り 白
織物密度 織物重量 (g/m2)
重量 (g)
55
綿布温度の測定精度を考慮し,144 試行 (綿布の温度
6
パターン×綿布の提示回 数8
回×室温3
パターン) である.図
5.1 実験評価シート
5.2.3 被験者
被験者は,春季
18
名 (男性:9名,女性:9名),夏季14
名 (男性:6名,女 性:8名),秋季15
名 (男性:7名,女性:8名) および冬季15
名 (男性:7名,女性:8名) の合計
62
名とした.被験者は,繊維に関して専門知識のない20
歳 から25
歳の大学生および大学院生とし,綿布に関する官能検査の未経験者とし た.本来であれば,季節ごとの実験において同一被験者であることが望ましい が,全実験を通して同一被験者は確保することが困難であった.このため,実 験結果については対応のない分散分析を実施することとした.嫌いな 柔らかい
固い 湿った
乾いた きれいな
肌触りの悪い 肌触りの良い
安っぽい 高級感のある
気持ち悪い 気持ち良い
5
嫌いな 好きな
ありふれた 珍しい
冷たい 熱い
やや どちらとも言えない やや
1 2 3 4
56