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急性大動脈解離 Acute aortic dissection

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mid-systolic notch

2. 急性大動脈解離 Acute aortic dissection

大動脈壁の

3

層構造のうち、内膜に亀裂が入り、その亀裂より中膜に血流が入り込むこと により、中膜が

2

層に解離する疾患。解離した中膜が偽腔(解離腔)を形成し、時に末梢 側で再流入(リエントリー)を生じる。必ずしも瘤形成を認めないことから、解離性大動 脈瘤

dissecting aneurysm of the aorta

と区別して扱われる。

解離した大動脈は脆弱となり、時に破裂を生じる。また、大動脈起始部(バルサルバ洞)

に解離が進展すると、冠動脈の入口部を閉塞し心筋梗塞を起こしたり、大動脈弁輪拡張に 伴い急性大動脈弁閉鎖不全を生じたり、心膜腔内へ出血し心タンポナーデを起こす。いず れも死に至る合併症である。さらに偽腔が臓器血管を閉塞することにより、脳梗塞、脊髄 梗塞、腸管などの消化管虚血、下肢の虚血を引き起こす。重要臓器に対する虚血が起きた 場合の救命率は手術を行い得た場合でも

70%

以下であり、特に重篤な病態といえる。

原因疾患としては、高血圧症が多いが、遺伝性結合組織疾患である

Marfan

症候群や

Ehlers-Danlos

症候群、また梅毒や外傷(交通外傷など)でも生じる。解離(エントリー)の

好発部位は上行大動脈(

50%

)、左鎖骨下動脈起始部末梢の下行大動脈(

50%

)である。

3.

急性大動脈解離の治療

内科治療の予後は、

1

時間の経過毎に死亡率は

1%

増加し、

2

日間で

50%

に達すると言われ ており、早期診断、可及的早期の手術が重要である。特に上行大動脈に解離がある

Stanford A

型では、死亡率が高く、緊急手術の適応である。

Stanford B

型では、破裂・切迫破裂、下肢や腹部臓器の虚血症状がある場合には手術適応と

なるが、それ以外の場合には厳重な血圧管理、鎮静・適度な安静の上経過観察される。

偽腔閉塞型であれば保存的に治療を行う。急性期の合併症は少なく、慢性期に瘤の退縮も 期待され、予後は比較的良好と考えられている。しかし

Stanford A

型の偽腔閉塞型では、早 期再解離や心タンポナーデのリスクが高く、注意深い観察が必要である。

4.

画像診断

急性大動脈解離・大動脈症候群の診断、解離の進展、心膜液貯留の有無、主要臓器血管へ の解離の進展等の観察に、造影

CT

が最も優れていることは言うまでもない。しかし

CT

に搬送しなければならないため、血行動態の安定しない状態においては、経胸壁心エコー 図、経食道心エコー図によって確定診断を行う。

5.

急性大動脈解離・大動脈症候群の診療における心エコー図の役割

大動脈解離の初期診断において、経胸壁心エコー図(

TTE

)は非常に有用である。

通常の傍胸骨アプローチにおいて、大動脈弁直上の上行大動脈、左房後方の下行大動脈内 のフラップを観察する。またアプローチを変えることにより、腹部大動脈、大動脈弓部、

頚動脈などにおけるフラップを観察することが可能である。

特に早急な対応が必要となる急性大動脈解離は、上行大動脈基部に進展し冠動脈閉塞や心 タンポナーデ、急性大動脈弁閉鎖不全を生じている、あるいは生じる危険性の高い症例で ある。強い胸背部痛で救急来院した患者の初療においては、心電図に引き続き

TTE

を行う ことにより、上行大動脈基部、大動脈弁閉鎖不全、心膜液貯留の状態を数分で観察するこ とにより、ほぼ上記の診断が可能である。またこれらの合併症は、時間経過とともに発生・

増悪することがあるので、心エコー図により経過観察を行うことも重要である。

図:上行大動脈の拡大、および可動性に 富むフラップを認める。

図:本例では、下行大動脈内のフラップ を明瞭に認め、初期診断に有用であった。

(memo)

(memo)

(memo)

(memo)

(memo)

(memo)

(memo)

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