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ドキュメント内 超音波診断講習_心エコー_本文.indd (ページ 46-53)

Kitasato University, Cardiovascular Medicine , 2015

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(J Am Coll Cardiol 2000;36:227–32)

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(memo)

日本超音波医学会「超音波診断講習会

(

心エコー

)

「急性心血管疾患をマスターする」

急性肺血栓塞栓症のみかた

聖マリアンナ医科大学循環器内科 鈴木健吾

急性肺血栓塞栓症(

acute pulmonary thromboembolism

APTE

)は血栓が塞 栓子となり、急激に肺動脈を閉塞し肺循環障害をひきおこす疾患である。

APTE

の診断は、近年では

CT

がその主軸となっているが、重症度判定や予後判定に心 エコー図は欠かせないツールである。本セッションでは

APTE

診療における心 エコー図の役割を中心に述べる。

APTE

の重症度分類は、患者の血行動態所見と心エコー所見を組み合わせて① 循環虚脱・心停止型、②広範型

(massive)

、③亜広範型(

submassive

)、④非広 範型(

non-massive

)に分けられる。

APTE

では肺動脈の血栓閉塞に伴う肺血管 床の減少から右室の後負荷の増大をきたし、右室拡大という形態変化と肺高血 圧という循環動態の変化をきたす。閉塞した肺動脈血管床が全体の

25

30%

以 上になると肺高血圧を生じるといわれている。

1)

右室拡大の評価

APTE

における右心系の圧負荷所見として、心エコー図では右室拡大が認めら れ、本症でまず確認するべき所見である。傍胸骨長軸像・短軸像、心尖部四腔 断層像で観察可能であるが、右室拡大に伴う心室中隔の扁平化は、傍胸骨短軸 像でより明瞭になる。右室圧負荷所見を反映して収縮期に心室中隔の扁平化や 左室への偏位を認める。

2)

右房拡大や下大静脈の評価

右心系の圧負荷により生じる静脈うっ滞の評価として、下大静脈の径や呼吸性

日本超音波医学会「超音波診断講習会

(

心エコー

)

「急性心血管疾患をマスターする」

変動を確認する必要がある。下大静脈径が

21mm

を超える場合は中心静脈圧・

右房圧が

8mmHg

以上であることが多く、さらに呼吸性変動の減弱を伴う場合

15mmHg

以上あると推定される。

3)

右室壁運動異常の評価

右心系の圧負荷に伴い、右室の壁運動が低下することがある。右室心尖部の壁 運動は保たれるが、右室自由壁の壁運動が低下するというものである。

1996

年 に

McConnell

が報告したことから、

McConnell

徴候と呼ばれ、

APTE

に特徴的 とされている。

McConnell

らによると感度

77%

、特異度

94%

APTE

を診断で きるという。その機序は明らかではないが、心尖部は左室の壁運動に伴う

tethering

のため右室の壁運動が修飾されること、右室自由壁に虚血が生じてい

る可能性があることなどが考えられている。

McConnell

徴候 左:拡張期、右:収縮期

右室自由壁の壁運動は低下するが、矢印のヒンジを境として心尖部の壁運動は 保たれる

(Catherine M. Otto: Practice of Clinical Echocardiography, 4th Edition, Elsevier Philadelphia, 281, 2012)

4)

肺高血圧の評価

a)

連続波ドプラ法を用いた三尖弁逆流シグナルにおける収縮期肺動脈圧の推定

APTE

では肺高血圧と右室拡大に伴う三尖弁輪拡大による三尖弁逆流を認める。

三尖弁逆流の最高速度から、簡易

Bernoulli

式を用いて右室

-

右房間の圧較差を 算出し、これに右房圧を加えて収縮期肺動脈圧とする。

日本超音波医学会「超音波診断講習会

(

心エコー

)

「急性心血管疾患をマスターする」

図 三尖弁逆流から推定する収縮期肺動脈圧

三尖弁輪逆流の最高速度から、簡易

Bernoulli

式を用いて右室

-

右房間圧較差を 求め、これに右房圧を加えて収縮期肺動脈圧を推定する。

b)

連続波ドプラを用いた肺動脈弁逆流シグナルにおける拡張期および平均肺動 脈圧の推定

APTE

では肺高血圧と肺動脈拡大に伴う肺動脈弁輪拡大による肺動脈弁逆流を 認めることがある。増山らによると、拡張早期肺動脈

-

右室間の圧較差は平均圧 較差と相関するといわれ、肺動脈弁逆流の最高速度から、簡易

Bernoulli

式を用 いて前述の圧較差を算出し、平均肺動脈圧が推定可能である。拡張期肺動脈圧 は、肺動脈弁逆流の拡張末期血流速度から拡張期肺動脈が推定可能である。簡

Bernoulli

式を用いて算出した拡張末期肺動脈

-

右室間の圧較差に右房圧を加

えて、拡張期肺動脈圧とする。

日本超音波医学会「超音波診断講習会

(

心エコー

)

「急性心血管疾患をマスターする」

図 肺動脈弁逆流から推定する拡張期および平均肺動脈圧

肺動脈弁逆流の最高速度から、簡易

Bernoulli

式を用いて拡張早期肺動脈

-

右室 間圧較差を算出し、右房圧を加えて平均肺動脈圧を推定する。また、拡張末期 肺動脈

-

右室間圧較差に右房圧を加えて、拡張期肺動脈圧を推定する。

c)

パルスドプラ法を用いた右室流出路の駆出血流の流速波形による推定

パルスドプラ法を用いた右室流出路の駆出血流の流速波形は、通常ほぼ左右対 称な形であるが、

APTE

では肺高血圧に伴い、加速時間

acceleration time(AT)

の短縮を認める。収縮中期の血流の減速が認められることもあり、

midsystole

notch

とよばれ、流速波形が

W

時型に変化する。これら所見は平均肺動脈圧と

相関するといわれ、

AT

を駆出時間

Ejection time(ET)

で割った値が

0.3

未満であ ると平均肺動脈圧が

30mmHg

以上であるという。ただし、

AT

短縮は肺動脈の コンプライアンスの低下に基づくものといわれ、肺高血圧のみならず加齢など でも短縮するため解釈には注意を要する。また、

AT

を用いて平均肺動脈圧を推 測することができ、推定式:平均肺動脈圧

(mmHg)

79-0.45

×

AT

で算出される。

これは三尖弁逆流が軽微な場合や三尖弁逆流波形のピークのエンベローブが綺 麗に描出できないときに参考になる。

図 パルスドプラ法を用いた右室流出路の駆出血流

APTE

では、加速時間

acceleration time(AT)

の短縮を認める。収縮中期血流の 減速が認められることもあり、

mid-systole notch

とよばれ、流速波形が

W

時型 に変化する。

ドキュメント内 超音波診断講習_心エコー_本文.indd (ページ 46-53)

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