• 検索結果がありません。

忍者の装備

ドキュメント内 忍者 (ページ 34-66)

本章では、まず忍者の服装について述べ、次に忍者の武器と道具について詳しく紹介す る。

2-1 忍者の服装 2-1-1 忍者の服装の色

忍者の服装の色について、山北(2004:152-153)1は、以下のように説明している。

忍者といえば、誰でも思いつくのは真っ黒な忍者装束だろう。暗闇に活動する忍者ら しい装束として、数々の時代劇などにも登場していて、知らない者はいない。最近では、

白や赤、ピンクといったとんでもない色の忍者装束が映画に登場することもあるが、あ れは冗談としても、黒い忍者装束について疑ってみた人はいないに違いない。

だが、本当に忍者は、黒い忍者装束を着ていたのか。そう問いただしてみると、大き な疑問がある。实は本当の忍者は、黒い忍者装束など着ていないのだ。これは、大きく 2つの理由による。

① 目立って邪魔

はっきりいって、忍者装束で街中を歩いたら、恐ろしく目立ってしまう。

あの服装でいる限り、「俺は忍者だ!」と叫んでいるも同然だ。尐なくとも、昼間にあ の格好で出歩いていては正気を疑われてもしかたがない。つまり、忍者装束は、昼間着 て歩けない衣装なのだ。

夜間に物陰に隠れるときには目立たないかもしれないが、街中を歩くことのできない 衣装は、使い勝手が悪いのではないだろうか。(略)

② 黒色は高価

黒は、高価な色だ。もちろん、黒っぽい灰色のような汚い色だったらそうでもない。

しかし、忍者映画に登場するような鮮やかな黒に染めるためには、非常に高価な染料を 使う必要があった。

今でも、高級な礼服や喪服の黒と、安物の礼服の黒では、同じ黒でも全然違う。そし て、きちんとした黒い服は、本当に高価なものだ。これは、昔も同じで、きちんとした 黒を着るためには、それなりの財産が必要であった。

もちろん、下っ端忍者風情が簡卖にひょいひょい買えるような代物ではない。

つまり、敵の城に忍び込むような下っ端が、本当に黒い忍者装束を着ることは不可能 だといってよい。

このように、黒色は昼間逆に目立つことと高価であることが理由で、本当の忍者は黒い 服を着ていなかったことがわかる。では、实際はどんな色の服を着ていたのだろうか。こ れについて、山北(2004:154-156)2は、以下のように説明している。

1 山北篤(2004)『概説 忍者・忍術』新紀元社, pp.152-153

2 同上, p.154-156

实際の忍者が忍者装束を着けなければならなくなったときには、柿渋色(赤黒くて暗 い色)のものを使ったとされる。

誰彼時になると、物が青黒く見える点に関して、さらに詳しく説明しよう。杆体だけ でものを見ているのなら、モノトーンに見えるだけで、青っぽく見える説明にならない。

实は、この状態でも、錐体はわずかながら働いている。ただし色覚を感じる錐体は、暗 くなるとエネルギーの低い(波長の長い)光からだんだんと見えなくなっていく。この ため、波長の長い赤はすぐ見えなくなり、短い青はかなり後まで見えている。よって、

全体が青っぽく見えるのだ。

このため、柿渋色の装束は、最も早く色が消えて目立たなくなる色なのだ。しかも、

真っ黒ではないので、完全な夜になっても他の物と明度の差がほとんどない。

また、昼間でも、柿渋色は黒よりもかなり明度があるので、目の端で見た時などでは その周辺と明度の差を感じにくいのだ。

さらに、真っ黒に染めるのは難しく、本当に黒くするためには大変な手間がかかる(つ まり、そのような布は高価である)が、柿渋色ならそれほどの手間もかからず、安く手 に入れることができるのだ。裕福ではない忍者たちにとって、装束が安上がりであるこ とも重要であった。

このように、柿渋色の忍者装束こそ、低コスト高パフォーマンスの優れものであった。

このように、柿渋色は昼間でも夜でも黒より目立たないし、安いという利点がある。同 じく、柿渋色について、「伊賀忍者衣装.com」1というウェブサイトは、以下のように書い ている。

図1 柿渋色の衣装2 図2 柿渋色のマスク3

写真は柿渋染で染めた柿渋色に近い色の忍者衣装になります。柿渋色は夕暮れ時には、

黒の忍者衣装よりも輪郭が分りにくく、早く色が目立たなくなる性質を持っています。

又、真っ黒ではないので真夜中になっても色々なものとの明度の差はないとされていま す。柿渋染は化学染料のない時代から染められ生地を強くし、防水効果もあり、民間薬

(火傷・ムカデ・蜂・毒蛇など、タンパクの毒の中和作用がある。)としても利用されて きました。野戦などの激しい戦いをする忍者にとって利点の多い染色で、忍者及び昔の 人々の生活の知恵がうかがわれます。平安時代には下級の侍や、山伏が利用した「柿衣」

があったとされ、柿を熟成させた染料で染める為、コストパフォーマンスにも優れてい

1 『伊賀忍者衣装.com』「忍者衣装の色は」http://www.ninja-isyo.com/archives/21/ 2009.08.18

2 同上

3 同上

たのではないかと思われます。

このように、柿渋染は生地を強くし、防水もあり、民間薬としても利用されていた。ま た平安時代から下級の侍や、山伏がよく使っていた。

さらに柿渋色以外の色について、「伊賀忍者衣装.com」1というウェブサイトは以下のよ うに述べている。

もう一色注目しなければならない色があります。

それは「クレ色」です。

図3 クレ色の頭巾2

上の写真はクレ染で染めたクレ色に近い色の忍者衣装のおこそ頭巾です。クレ染めは 夕暮れ時の空によく似た色になることから「暮れ染」とも書きました。暮れ染めは柿渋 で下染めしたものをクレと呼ばれる鉄分を含む水で更に染めることにより黒に近い色に 染めたものです。こう言う染色方法を取ることにより生地が丈夫になり色がはげにくく なると言う特徴があります。又、真黒には染まらない為、黒の衣装よりも輪郭が分りに くい特徴があります。忍者衣装の原型は野良着でもあり、その野良着もクレ染めであっ たと言われています。滋賀県甲賀地方ではクレ染めがよく使用されていたということで す。

図4 クレ色の衣装3 図5 クレ色の手甲と帯4

尚、上記の色の説明で柿渋色に近い色、クレ色に近い色と表現したのは、それぞれの 染色は柿の实で取れた液を使用し、天日で干し色を出すので、染色の上がりが一定でな

1 『伊賀忍者衣装.com』「忍者衣装の色は」http://www.ninja-isyo.com/archives/21/ 2009.08.18

2 同上

3 同上

4 同上

いと言われ、又、染色をするときの気候温度湿気の状態でも上がりが一定ではないとい うことで、柿渋染め・暮れ染めで染めたものでも同じ色に上がらないため、それぞれの 色に近い色と表現しました。それが又、天然染料の特徴でもあります。

そうしてどうしても忘れてはならない色は、藍色(濃紺)です。これは植物から採れ る天然染料の色になります。藍色(濃紺)の植物が地場で採れ易く、簡卖に手に入った 物と思われます。色は藍色(濃紺)なので、普段着の着物として着ていても自然です。

又、植物の藍は虫除け・まむし除けにも効果があったと言うことです。しかし、どれく らい効果があったかは定かではありません。又、アメリカ西部やカナダ・メキシコのカ ウボーイが实用面から良くはいた、ジーンズにも似たところがあります。

図6 正藍染(天然染料)の忍者衣装の着物1

このように、柿渋色以外に、クレ色(暮れ色)や藍色があったことがわかる。以上のこ とからわかった忍者の服装の色について、以下の表に整理してみた。

表1 忍者の服装の色の効能

柿渋色 生地を強くし、防水効果もあり、民間薬(火傷・ムカデ・蜂・毒蛇など、

タンパクの毒の中和作用がある。)としても利用されてきた。平安時代には 下級の侍や、山伏が利用した「柿衣」があったとされる。

クレ色

(暮れ色)

柿渋で下染めしたものをクレと呼ばれる鉄分を含む水で更に染めることに より黒に近い色に染めたもの。生地が丈夫になり色がはげにくくなると言 う特徴がある。忍者衣装の原型は野良着でもあり、その野良着もクレ染め であったと言われている。滋賀県甲賀地方ではクレ染めがよく使用されて いた。

藍色 藍色(濃紺)の植物が地場で採れ易く、簡卖に手に入った。色は藍色(濃 紺)なので、普段着の着物として着ていても自然。虫除け・まむし除けに も効果があったと言われる。

1 『伊賀忍者衣装.com』「忍者衣装の色は」http://www.ninja-isyo.com/archives/21/ 2009.08.18

2-1-2 忍者の服装の機能

忍者の服装の機能について、尼子(2009:30)1は、以下のように述べている。

忍び装束には、大小12か所の隠しポケットが付けられているという(名和弓雄『なぜ なぜ忍法帖2』より)。もちろん、正確な位置が定められていたわけではなく、各人が自 分に合わせ、形や大きさを含めて工夫していたはずだ。目的は体の要所を防御するのが 第一で、手裏剣などの武器を忍ばせ、盾代わりにしていた。

図7 ポケットの位置(前)2 図8 ポケットの位置(後)3

このように、忍者の服装には大小約12の隠しポケットがあり、さまざまな武器を入れる とともに、体の要所を守る盾代わりにしていたことがわかる。ポケット以外の服装につい て、尼子(2009:25-29)4は、以下の表のように説明している。

1 尼子騒兵衛(2009)「忍び装束」【決定版】忍者・忍術・忍器大全』学習研究社, p.30

2 同上

3 同上

4 同上, pp.25-29

ドキュメント内 忍者 (ページ 34-66)

関連したドキュメント