我々の調査でも明らかになったように,4人に1人の身近に認知症の人が存在するほど 認知症は身近な存在となってきた.また,高齢運転者の約
3
割に認知症の恐れがあること もわかってきた.高齢者がかかりたくない病気の
1
位が認知症と言われている現在,認知症の初期段階の「物忘れ」が病的なものか,加齢に伴う一般的なものかを自覚することが重要である.
物忘れがひどくなる認知症の初期段階は「軽度認知障害(MCI)」=「認知症予備群」と され,そのまま放置すると翌年には
12%, 3~4
年後には約半数の人が認知症になると言わ れている.このMCI
の時点で積極的な予防対策を取ることにより,認知症に移行すること を防いだり,進行を遅らせたりできることも医学的常識となっている.しかし,ここでの課題は我が国における認知症に対する理解度の低さである.本研究会 では,認知症を特別なものとせず,高齢者の理解と社会的なコンセンサスを得るための啓 発活動として,先に述べた自動車教習所での高齢者向け安全運転教室等の実施に加え,以 下のような取り組みを行っている.
5.1
日本認知症予防学会における研究発表平成
25
年9
月新潟市において開催された「第3
回日本認知症予防学会学術集会」におい て当研究会と会員による研究発表を行った.平成24
年度に続き2
度目の発表となる.医療関係者や福祉関係者が多く集まる学術集会の場で,認知症と車の運転に関する問題
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を提起することにより,危機意識の共有や解決に向けた取り組みの必要性についての理解 促進,共同歩調への同意など,非常に有意義な取り組みとなっている.
5.2
マスコミ報道対応高齢者の交通事故が社会問題となった現在,各報道機関も認知症に起因する事故とその 防止に関する報道に力を入れ始めた.
認知症と高齢者の交通事故を体系的に研究する医療系以外の団体がほとんどない中で,
インターネット検索などで本研究会がヒットすることなどを通じ,取材依頼が増えてきた.
取材に際しては十分な資料を作成,自動車教習所での調査なども取材を実施,高齢者の 運転問題を具体的に理解していただくことを旨としている.
日本経済新聞,日本農業新聞,毎日新聞,朝日新聞,シニアライフ総研,共同通信社な どの取材を受け,それぞれ比較的大きな掲載となった(付録参照).
5.3
イベントを通じた啓発活動当研究会として福祉行政と連携した初めての取り組みとして,高齢になっても安全に自 動車の運転を続けてもらうための講演会を,奈良県三郷町地域包括支援センターの主催で 地域にお住まいの高齢の方々を対象に,平成
25
年6
月16
日(日)に開催.講演会では,当研究会会員である八尾自動車教習所(大阪府)の地域安全推進課長浅田 克子が,年齢とともに衰える視覚能力や判断スピード,反射動作や,高齢者の運転や事故 の特徴などについて話した.
また,同じく当研究会会員である利根川
K
スタジオ(神奈川県)の利根川久女紅(くに こ)による指導で,運転に必要な筋肉の衰えを防止するエクササイズを参加者全員で体験 していただいた.参加された方々には興味深く聴講していただき,また積極的にエクササ イズに取り組んでいただいた.図
5.1-1
日本認知症予防学会における研究発表風景図
5.3-1
浅田氏の講 図5.3-2
利根川式エクササイズ- 30 -
5.4
モーターショー(東京,大阪)会場での「MSP」デモ実施一般社団法人日本自動車連盟の協力を得て,平成
25
年度に実施されたモーターショーの うち「第43
回東京モーターショー2013」と「第8
回 大阪モーターショー」のJAFブー スにおいて「物忘れ相談プログラムMSP1100」の展示デモを行った.モーターショーの会場においては,老若男女が混在し正確なデータ取りは望むべくもな いが,認知症の兆候を簡便に捉える仕組みがあること,早期発見で早期の手当につなげる ことが認知症の発症を予防したり,その結果として末永い運転が担保できること,さらに は交通事故の予防にもつながることの啓発には最も適したイベントであった.
【東京】
名 称:第
43
回東京モーターショー2013 [The 43rd Tokyo Motor Show 2013]テーマ:「世界にまだない未来を競え.」“Compete! And shape a new future.”
会 期:平成
25
年(2013年) 11月22
日(金)〜12月1
日(日)会 場:東京ビッグサイト
主 催:一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)
【大阪】
名 称:第
8
回 大阪モーターショー(THE 8th OSAKA MOTOR SHOW) テーマ:人とつながる 社会とつながる クルマはもっと進化する 会 期:2013年12
月20
日(金)~12月23
日(月・祝)会 場:インテックス大阪
主 催:大阪モーターショー実行委員会
図