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言葉自体のイメージも悪く,人権を虐げるような印象であったため,改められて今では

「認知症」と呼称される.

しかし現実的には言葉が変わっただけで,病気に対するイメージが抜本的に改められた わけではない.認知症の検診を受けることへの抵抗感も非常に大きく,発症本人も隠した がる傾向にある.

誰もが発症する可能性のある病気ではあるが,近年の医療技術の発達により様々な治療 薬も開発され,初期段階での認知機能の維持・回復のための医学的手法も確立されつつあ る.

このためあらゆる機会を通じて発症前の段階で兆候を見いだし,予防措置を講じること がもっとも重要なこととなっている.

運転の現場にその役割を求めることは大いにわかりやすいが,具体的方法論の確立と一 般の方々の理解をどう得るかが今後の課題と言える.

また,本年度行ったアンケートの「警察や自動車教習所の指導員に助言されても運転を やめない」,「医者や弁護士から促されても運転をやめない」という結果にも本研究の大 きな課題が見つかった.

本研究の目的である高齢者の安全運転を支援する相談員の仕組みは,自動車教習所の指 導員を念頭に構築するものであり,認知症に関する医療的知見を取り入れるものでもある.

とすれば,仕組みを構築しても運転の可否についての助言は効力を有しない恐れが見え るのである.しかし,大多数の意見として「自らが危険を感じれば運転を諦めても良い」

となっているところにヒントがあると思われる.

現行の講習予備検査も自身の「記憶力・判断力を確かめる」として,自身で運転に関す る能力の衰えなどを自覚することを目的としている.つまり,自分自身が自らの現状での 運転能力をしっかりと把握し,運転に危険があるとすれば具体的にどの部分がどの程度危 ないのかを,客観的に見ることができるような仕組みを構築することで,運転継続の可否 を納得できるようにすることが課題解決の方法として浮かび上がってくる.

来年度は全指連との協同研究も視野に入れ,より実践的な研究の実施を始め,広く社会 に対する認知症と運転の問題の啓発を行っていくこととしたい.

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注・参考文献

※1.平成

24

年時点での

65

歳以上の運転免許保有者

14,209,958

人(男性=9,577,910人 女性=4,632,048人)に、平成

24

年時点の

65

歳以上の認知症割合

15%(厚生労働省発表)

を乗じた。

※2.研究者や時期によって相違はあるが、最近の研究では全認知症の中にアルツハイマー 型が占める割合は

60%~70%とされている。(鳥取大学医学部教授

浦上克哉)

※3. 厚生労働省研究班(代表者・朝田隆筑波大教授)の調査によると、

2012

年時点で

65

歳 以上の高齢者のうち認知症の人は推計

15%、約 462

万人に上った。軽度認知障害(MCI

=認知症予備群)の高齢者も約

400

万人いると推計された。

参考文献

(社)日本バス協会「バス事業者のための高齢者雇用推進の手引き」2006年 毎日新聞生活報道センター「高齢ドライバー」岩波ブックレット 2008年 荒井 由美子「認知症高齢者の自動車運転を考える

家族介護者のための支援マニュアル」国立長寿医療センター 2009年 浦上 克哉「認知症 よい対応・わるい対応」日本評論社 2010年 池田 学「認知症」中公新書 2011年

(財)全日本交通安全協会「交通の教則」2011年

三村 將 監訳「医療従事者のための 自動車運転評価の手引き」

新興医学出版社 2011年 浦上 克哉「認知症は怖くない 18のワケ」JAF MATE社 2011年

浦上 克哉「あなたのもの忘れ、『いわゆるボケ』ですか『認知症』ですか」

徳間書店 2011年 浦上 克哉「認知症は怖くない2 18の対応」JAF MATE社 2012年 杉本 和哉「高齢運転者の交通安全政策に関する考察」

-「高齢運転者標識」及び「高齢者講習」が高齢運転者の交通事故件数に与える 影響の分析-

政策研究大学院大学 2012年

12

月 まちづくりプログラム MJU11012

浦上 克哉「これでわかる認知症診療 改訂第

2

版」南江堂 2012年 浦上 克哉「60代から始める認知症予防」JAF MATE社 2013年

全指連「高齢運転者支援士(補)の認定の在り方」自動車学校 2013年

10

月号 警察庁「運転免許統計」「交通事故統計」 2013年

山口晴保「認知症予防 第

2

版」協働医書出版 2014年

読売新聞「認知症」取材班「認知症 明日へのヒント」中央公論新社 2014年

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