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心理的サポートをするロボット

4. まとめ

第5分科会 老後生活とロボットの活用

プロフィール

博士(工学).04年4月(独)産総研知能システム研究部門・特別研究員,07年より首都大学東京シス テムデザイン研究科・准教授,現在に至る.ロボット・セラピー,福祉ロボットの研究等に従事.

健康生きがい学会第5回大会

首都大学東京人間健康科学研究科 准教授

井上 薫

「アザラシ型ロボット「PARO」が支援する高齢者の在宅生活」

筆者は作業療法士として高齢者と接する機会が多い。そこで、人生の先達から、「生き様」「価値観」に ついて実に様々な考えや思いをうかがい、学ばせていただいている。そこでは、「やっぱり、『ピンピンコ ロリ』が最高だね」という言葉をしばしば耳にする。多くの人が理想とするこの生き方、人生の終え方は、

多くの要因が重なって可能となることであり、場合によってその実現は簡単ではない。生活に支障をきた すほどの、何らかの疾患や障がいをもつ人の数は決して少なくないだろう。そのような中でも、人は理想 的な自分らしい生き方、人生の終え方を目指し、日々、生活を送っている。一方で、「あちこち体が弱って くるのは仕方ないが、気持ちの面では幸せでいたいものだ」という意見もうかがった。この語りが示すよ うに、加齢現象は生物の宿命であるため不可避であるが、幸せであると感じる状態が保たれることが大切 であることも事実である。

一方で、独居高齢者が増加してきている昨今、人と人とのつながりの重要性が強調されている。このこ とを否定する人は皆無であろう。しかし、独居高齢者は一歩外に出れば人と触れ合うことができるが、自 宅に戻れば一人になる。そして、毎日外出できる人、外出先で人と触れ合える人ばかりではないだろう。

家族と同居していても孤独を感じている人もいるかもしれない。もちろん、孤独を愛する人もいるだろう が、人と触れ合うことが心身機能を良い状態に保つために必要であることは周知の通りである。このよう な独居高齢者、あるいは孤独な高齢者の生活を支援する手段の一つとして、ロボットに注目が集まってい る。

近年、ロボット技術の発展に伴い、高齢者、障がいをもつ人の生活を支援する様々な高性能ロボットが 開発されている。その中で高い実用性をもつロボットの筆頭が、柴田崇徳博士((独)産業技術総合研究所)

が開発したアザラシ型ロボット「PARO」である。PAROは、その愛らしい外観、優れた人工知能、リアルな 動物のような動きや鳴き声をもって人の心に働きかける。PAROの効果は、科学的検証や多くの事例検討に より、高齢者の楽しみを増やし、より良いコミュニケーションを促し、うつや孤独感を減少させることが 世界中から報告されている。

今回は、在宅生活を送る障がいをもつ高齢者に対し、筆者らがPAROを使用して行った作業療法支援の実 例を紹介し、今後の高齢者の在宅生活にロボットがどのように寄与できるのか、作業療法士の視点から講 演する。

第5分科会 老後生活とロボットの活用

プロフィール

《現職》首都大学東京大学院 人間健康科学研究科 作業療法科学域 准教授

《資格》作業療法士,博士(学術),英ブラッドフォード大学認定Dementia Care Mapping: DCM基礎マ ッパー

《研究分野》医療福祉工学:産学連携による家電製品・福祉用具の開発,脳血管障害者に対する自動車 運転支援に関する研究,ロボットの臨床応用に関する研究

作業療法教育学:作業療法学生に対する教育プログラムの開発,医療・福祉専門職の生涯教育に関する 研究

健康生きがい学会第5回大会

老人保健施設 ほほえみ三戸

作業療法士

砂庭 忍

「ロボットと共存する生活」 ~リハビリテーションにおけるイノベーション~

日本社会は、すでに世界一の高齢社会となり、青森県でも独居高齢者や高齢者夫婦のみの世帯が急 増している現状である。この様な中、高齢者・障害者が住み慣れた自宅で生活を送れる様に自立を支 援するリハビリテーション技術は老人保健施設に於いて、必要に迫られている。

介護保険領域でリハビリテーションを提供する場面では、発症からの経過年数の長さ、加齢に伴う 介護度の重度化により、機能改善やADL能力の改善、生活範囲の拡大を期待する事が困難な事例に 遭遇する。しかし、今まで行えなかった動作を、ロボットを用いて練習する事で、自身の意思で動作 可能となり、さらに日常生活場面における行為に反映する事が出来た事例を経験した。

ロボットを用いてリハビリテーションを行う事で得られる効果は、高齢や障害の為に、不自由を感 じる方々に対して、生活の質を向上させるためのツールになっていると実感した。

ロボットは、リハビリテーションのツールとして期待されている。しかし、開発者や生産者立場に おいて、素晴らしいロボットであっても、運用する側が臨床の場で効果を出せなければ、製品開発を 盛んにし、生活の場で使用しやすいロボットに改良して行く事は難しいと思われる。人のために活用 するロボットの利点を、リハビリテーション技術の中で発揮出来る様、新しいツールを悲観せず、自 己研鑽を重ねていくことが、リハビリテーションにおけるイノベーションには欠かせない事であると 感じている。

リハビリテーションにおけるイノベーションは、今まで経験的に行っていた技術を実践し続けて形 成するのではなく、新たな技術を活用する事で成し得た結果を形にし、生活を創り出す事であると演 者は思う。

人とロボットの新しい関係を築きあげる事は、身体機能に障害のある方や高齢者が自立して安心・

安全に生活出来る活力ある健康長寿社会に向けた未来開拓に挑戦している事であると考える。

当日は、当施設で運用しているロボットや、リハビリテーションの補助機器について、運用方法や 事例を紹介したいと思っています。

プロフィール

1977年 青森県三戸郡南部町に生まれる。

1999年 城東学園弘前ホスピタリティーアカデミー作業療法科を卒業。

同年免許取得。その後、地元の病院にて作業療法士として勤務。

2004年 大里脳神経リハビリテーションクリニック勤務(開設に携わる)。

リハビリテーション医師のもとで、自分の仕事の素晴らしさを経験する事が出来た。

2006年 老人保健施設ほほえみ三戸 勤務。

2011年 ロボットスーツHALを施設で運用する事となる。

第47回日本作業療法学会、第16回世界作業療法士連盟大会・第48回日本作業療法学会にて ロボットスーツHALの運用について発表。

第5分科会 老後生活とロボットの活用

健康生きがい学会第5回大会

第6分科会 高齢期の多様な住まい

座 長 児玉 桂子 日本社会事業大学特任教授

発表者 金沢 善智 介護環境研究所所長

発表者 辻 哲夫 東京大学高齢社会総合研究機構特任教授

発表者 三木 得五郎 ㈱ハーフ・センチュリー・モア代表取締役社長

座長プロフィール

日本社会事業大学大学院特任教授、工学博士。2013年3月まで認知症介護研究・研修東京センター副セ ンター長。専門は高齢者の居住環境の評価と計画、認知症高齢者に配慮したケア環境づくり。著書は

「PEAPにもとづく認知症ケアのための施設環境づくり実践マニュアル、2010、中央法規」「認知症 高齢者が安心できるケア環境づくり、彰国社、2009」「高齢者が自立できる住まいづくり、彰国社、

2003」「超高齢社会の福祉居住環境、2008、中央法規」等。

健康生きがい学会第5回大会

株式会社バリオン 介護環境研究所 代表取締役 医学博士

金沢

かなざわ

よ し

の り

テーマ:自宅で最期まで!地域包括ケアの最初の一手、 「住環境整備」の重要性

1.住宅改修の実際

①トイレの改修

・40代男性脳出血・左半身まひ(片まひ)要介護4

・何かに強くつかまれば、何とか立っていられる。車いすで移動。

・要望:トイレだけは、何としても、自分一人でできるようになりたい。

②風呂場の改修

・70代女性変形性脊椎症(亀背)筋力弱化バランス障害(原因不明)

要介護3

・何とか歩ける(調子の良い時)。何かに強くつかまれば、段差を越えられる。

・要望:介助や見守りなしで、風呂に入りたい。

2.良き「住環境整備」の諸条件=良き「住宅改修施工事業者」の育成

①明確な目標を持って、住宅改修を行っているのか?

住宅改修によって、何を達成しようとしているのか

②継続した向上心があるのか?

達成するためには、どのような知識や技術が必要なのか

③終了後の確認と評価をしているのか?

実際、目標は達成できたのか

自らの仕事の確認(モニタリング)が、事業者を成長させる!

第6分科会 高齢期の多様な住まい

プロフィール

理学療法士として訪問リハビリを行う中で、過酷な住環境により「寝たきり」となった多くの利用者 さんに出会い、より適切な住環境の構築を目標に、大学および大学院にて建築学を学ぶ。住宅改修の現 場で、医療と建築の両視点から実践と研究を行う一方で、弘前大学(医学部保健学科・大学院助教授)

と目白大学(保健医療学部教授)にて約17 年間、より適時・適量・適切な住宅改修などについて教鞭 をとる。

2009年大学教員を辞し、起業。一部上場企業を複数含む十数社のメーカーでの商品開発顧問の経験を生 かして、医療・保健・介護の分野で「現場や大学の成果を産業につなげる方法」と、自らの起業と経営 者の経験をもとにした「起業家魂と経営者思考を持つ学生の育成方法」について、日夜、模索している。

博士(医学)、修士(工学)。「一本の手すりから」(祥伝社)など著書多数。

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