心外術後の AF のメカニズム
J Am Coll Cardiol 2008;51:793-801
・手術因子
外科的心房傷害、心房 虚血、肺静脈孔、静脈カ ニュレーション、急性の ボリューム変化
・術後因子
ボリューム過多、低血圧、
後負荷増加
・トリガー因子
心房性期外収縮、電解 質不均衡、自律神経系 の不均衡
・炎症
・酸化 ストレス 高血圧、
肥満 etc.
心房構造基質
心房電気生理学的基質 Postopera+ve
Atrial Fibrilla+on
心外術後の AF の一般論
・発生率
術後
2
~3
日後をピークに起こる。僧帽弁の手術を受けた 患者では30〜50%
、バイパス手術は約30%
である。心疾患で関連するのは、左室肥大、心不全、高血圧、心 筋梗塞、心膜炎、心筋炎、先天性心疾患である。
Cardiovasc Ther 2014;32:242-52
・危険因子
高齢、
sleep Apnea
、不整脈既往、うっ血性心不全、上・下大静脈カニュレーション、人工心肺長期化
Crit Care Med 2015;43:1477-97
危険因子として指摘されていた肥満患者のオッズ比は
1.12(95%CI:1.04-1.21;P=0.002)
と、リスクは中等度だった。Ann Thorac Surg 2013;96.1104-16
・スコットランド
,2001
~2012
年心臓手術を受けた
49264
人のデータを解析(除外:術前不整脈の既往)
・
POAF
と、死亡率・合併症・ICU
滞在日数・入院中コストなど の関連を調査・結果:
19%
(9255
人)に新規にPOAF
が発生。心外術後 AF の予後
Ann Thorac Surg 2014;98:527–33
←死亡率
,
再入院 率etc.
POAF
の方が全体 で高いPOAF
の死亡率の 調整オッズ比2.04
(
P<0.001)
↓
入院中のコスト
9000ドル増加(P<0.001)
心外術後の AF に対する予防的薬剤
・第一選択は、
β
遮断薬。アミオダロンは、β
遮断薬が禁忌 のときに使用。ソタロールは毒性の増加と関連。・適切な予防→
POAF
を約50%
減少できるCrit Care Med 2015;43:1477-97
Anesth Analg 2015;121.861–7
・
double blind RCT
の結果を再解析・対象:心臓外科手術患者
363
人(
除外:術前AF
精神疾患 腎不全 肝不全etc.)
・方法
Mg 50mg/kg iv
→Mg 50 mg/kg
術中3
時間持続静注(n=186) vs
プラセボ(n=177)
・結果:
AF
発生率Mg 42.5% vs
プラセボ37.9% (p=0.40)
心外術後の AF に対する治療
・
RCT
・対象:心外術後患者
,HR100/min
以上のAF/AFL(5
分以上) ,n=30
・方法
エスモロール
:
500μg/kgiv
→ 25〜50μg/
kg/min div
ジルチアゼム
:
0.25mg/kgiv
→反応不良0.35mg/kg iv ,5
~15mg/h div
Am Heart J 2000;140:176-80
エスモロール
vs
ジルチアゼム6
時間後の洞調律復帰率67% vs 13% (p=0.03)
24
時間後の洞調律復帰率80% vs 66% (
有意差なし)
レートコントロールと副作用:
両群で有意差なし(HR<90)
・結果
・スイス
,
心外術後ICU ,DC
の成功率を検討 後ろ向き観察研究,2013
~2014
年・対象:新規に発生した心外術後
AF
患者(7
日以内) ,n=72 (
除外:慢性心房細動と上室性頻拍)
心外術後の AF に対するカルディオバージョン
Crit Care Med 2015;43:2354-9
・結果:
71%
がDC
直後に洞調律→24
時間後の洞調律維持は23%
退院時:
20%
は薬剤介入なしに洞調律復帰46%
にアミオダロンが投与・
200J
のショックが85%
に施行心外術後 ICU 患者の AF のまとめ
・心外術後の AF は、発生のメカニズムが一般的な ものと異なり、発生率と死亡率も高い。
・心外術後の AF の予防的薬剤で有効なのは、
β 遮断薬で、次にアミオダロン。
・心外術後の AF は、予防的薬剤に関する研究が多 く、治療薬は、 β 遮断薬と Ca 拮抗薬が有効と考えら れるが、推奨するほどの情報はない。
DC では再発が多い。
5.AF 全般に対する薬剤の有用性
抗不整脈薬の AF に対する作用機序
・
Ic
群抗不整脈薬:Na
チャネル遮断作用を有し、房室伝導 抑制と不応期を延長させる。副作用はリエントリーが大き くなり、Ic flutterになる。日本循環器病学会
不整脈薬物治療に関するガイドライン
(2009年改訂版)
抗不整脈薬の AF に対する作用機序
・ β遮断薬:交感神経の緊張を減少させることにより、房 室伝導速度が遅くなり、房室結節不応が増加する。
JAMA 2015;314:278-288
・アミオダロン:
K
チャネル・Na
チャネル・Ca
チャネル遮断作 用を有し、交感神経ブロックとCaチャネルブロックで間接 的に房室結節に作用する。・
Ca
拮抗薬:洞結節・房室結節で主に働いているCaチャネ ルをブロックし、房室伝導抑制と同時に洞性徐脈をきたす。・Mg:
Ca
拮抗薬の作用の弱いものである。心拍数を下げる が、Ca
拮抗薬の副作用である房室ブロックや徐脈、低血 圧をきたさない。Heart 2007;93:1433–40
Ic 群抗不整脈薬
日本循環器病学会
心房細動治療(薬物)ガイドライン(
2013
年改訂版)・
mul+center ,double blind RCT
・対象:7日以内発症の非重症患者の
AF ,n=75
・方法
ピルシカイニド(
150mg
単回経口投与)vs
プラセボ 洞調律に戻るまでの観察時間は90
分・結果:ピルシカイニド
vs
プラセボ洞調律復帰率
45% vs 8.6% (p < 0.01)
*ピルシカイニドは日本と韓国でしか使われていない。