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当行の海運融資の取組

ドキュメント内 RO/RO LPG LNG off-hire (ページ 58-61)

(1) 海運業との関わりと取組姿勢

① 無尽の発展

明治代の「波方(現在の今治市波方町)」の船主の船は木造船で、風を推進力として動く帆船であった。しかも船型 が小さく風や波に弱かったので、天候によっては思わぬ大事故に遭遇し、多大な損害が発生することがよくあった。

沈没せぬまでもその修理代の調達は大変であった。これらの船舶の建造や修理には多額の資金が必要だったが、当時 は銀行もなく簡単に資金を調達することができなかった。そこで波方の船主達は「無尽」を組織し、資金を融通し合 った。無尽制度は金融機関の発達しない頃の地方での唯一の金融手段であった。

今治においては「今治無尽株式会社」があり船舶金融を行ってきたが、昭和18年3月には県下の5つの優良無尽 会社(東予無尽、常盤無尽、松山無尽、今治無尽、南予無尽)が合併して「愛媛無尽株式会社」となった。この「愛 媛無尽㈱」が当行「愛媛銀行」の前身である。平成27年9月16日、当行は大正4年の「東予無尽貯蓄株式会社」の 創業から起算して創業100年を迎えた。

当時の波方・波止浜には他にも金融機関はあったが船舶への貸出は無く、船舶貸出はもっぱら愛媛無尽㈱であった。

当行は、前身の「無尽」の時代から当地ではいち早く船舶貸出に取組んできた実績がある。

【無尽制度】

「無尽」とは、日本で古くからあった相互扶助を理念とした金融方式のことをいう。(無尽講、頼母子講ともいう。)複数の個人や 法人等が「講」等の組織に加盟し、一定の口数を定め、一定の期日ごとに一定の出資(掛け金)をさせ、1口ごとに抽選や入札によっ て所定の金額を順次加入者に渡す方式でお金を融資するもの。

「無尽」は1500年前にインドから中国を経て仏教とともに日本に伝わったものといわれており、「相互扶助、助け合い、思いやり」

の精神で庶民の間で発達してきた。

愛媛県にも古くから各地に「無尽」があった。現代のように金融機能が発達していない時代に、多額の資金が必要な船舶の建造や大 事故の修繕費用を調達する場合において、互いが資金を持ち寄り大金を用立てる「金融システム」が必然的に発達してきた訳である。 

【愛媛の無尽会社】

無尽業法施行後、愛媛県では、東予無尽蓄積株式会社(大正4年9月設立、新居郡西条町)、今治無尽株式会社(大正5年2月設立、

越智郡今治町)、常盤無尽金融社(大正10年1月設立、宇摩郡土居村)、松山無尽株式会社(大正12年9月設立、松山市久保町)、南 予無尽株式会社(昭和7年10月設立、宇和島市本町)が設立され営業を開始した。

以後、5つの無尽会社がそれぞれ東予、中予、南予を地盤としながら競合していたが、戦時下の昭和18年3月20日に大蔵省の行政 指導下で5社は合併し「愛媛無尽株式会社」となった。その後、昭和26年10月に愛媛相互銀行、平成元年2月に愛媛銀行となった。

愛媛県では、大正8年に工業生産額が生産総額の過半に達してはいるものの、県統計書で就業構造を見ると、総戸数204万戸のう ち農業を本業とする農家と副業とする農家を合わせて 62%あり、農業は県内最大の産業であった。県内の農村でも無尽・頼母子講が 盛んだった。

※巻末に参考資料として、≪参考⑬≫「ひめぎん物語−愛媛銀行創業 100 年史−より」添付 

② 愛媛相互銀行(愛媛銀行)の船舶貸出

船舶貸出を得意としていた愛媛無尽㈱は、昭和26年5月に相互銀行法が成立に伴い、同10月、新しく㈱愛媛相互

銀行となった。また、当地の船舶は木帆船から鋼船へと切り替わっていき、それに伴い船価は高額化していった。そ れに対応して愛媛相互銀行も無尽方式から一般融資へ切り替え、更に積極的に船舶融資に取り組んでいった。船舶融 資では伊予銀行を上回った時期もあり、巷では「海運銀行」と呼ばれた。

      その後、平成元年2月には㈱愛媛銀行となり普銀転換した。海運業の発展に伴って海運業者は内航船から外航船へ 進出し、便宜置籍船を建造して来たが、当行は外国船を担保とした海外子会社への貸出にも早くから理解を示し、積 極的に取組んできた。

③ 地場産業の支援育成

海運業は愛媛県の地場産業であり、当行は古くから海運業向け貸出を積極的に行ってきた。お客様との取引歴も古 く、「先々代社長からのお付き合い」という取引先も沢山ある。その間、内航船も外航船にもいくつもの山谷があった が、お客さまと苦労を共にし、助け合い今日に至っているものと確信している。弊行は、お客様と我々地域金融機関 は運命共同体であると考えている。

これからも変らず、お客様との「絆」を大切にしつつ、地場産業である海運業を積極的に支援していく方針である。

④ 融資スタンス

海運市況は大きく変貌しているが、当行の融資スタンスは従来と変わることはない。融資の考え方の基本は、船主 コーポレートの信用力(財務内容、所有船のキャッシュフローと含み資産、実態バランスなど)と個別案件の事業計 画・収支計画(船価、用船料、用船期間、オペレーターの信用力、運航コストの状況、リスクヘッジ策、自己資金の 投入割合など)および外部環境(海運市況・需給バランス、世界経済の展望、為替相場、金利動向など)を勘案した 総合的な審査・判断である。

基本的な貸出形態は対象船舶の法定耐用年数内での均等返済(自己資金10〜20%、テールヘビー10%)である。ま た、契約・起工・進水から建造までの分割貸出(ブリッジローン)についても対応している。

その他、基本的な考え方は「1船1行主義」である。(ただし、大型船などについてはシンジケート・ローンや協調 融資も排除していない。)また、船の種類やオペレーターについて特に排除しているものはないが、基本的には国内オ ペレーターまたは海外有力オペレーターで、造船所は原則として国内造船所としている。

(2) 新しい融資手法の導入

① シンジケート・ローンと債権流動化

平成16年12月には、当行がアレンジャーとなり地元船主向けにシンジケート・ローンを組成した。シンジケート・

ローンは当行では初の試みであると同時に、地方船主向けの船舶シンジケート・ローンとしても国内初の取組みであ った。近年、愛媛船主の財務内容は格段に向上し、大型・高額船を所有できるようになってきており、これに対応し た取組でもあった。

続いて平成17年1月には船舶貸出債権の流動化スキームを立上げた。このスキームにより当行貸出債権の一部を 機関投資家に譲渡することで当行には新たな融資枠が生まれ、新造船の貸出支援につながった。

【シンジケート・ローン】

シンジケート・ローン(Syndicated Loans)とは、複数の金融機関がシンジケート団(協調融資銀行団)を組成し、一つの契約書 に基づき同一条件で融資を行う貸出形態で、借入人からの組成依頼を受け、アレンジャーが参加金融機関の募集・契約書の取り纏め等 を行う。借入人にとっては、アレンジャーを窓口とすることで大口の資金調達が可能となり、また、条件交渉が効率化される等のメリ ットがある。

なお、借入実行後についても、エージェント(一般的にはアレンジャーが担当する)が資金管理やシンジケート団との折衝・連絡等 を担当する。そういった意味で、シ・ローンは一般の「協調融資」とは異なる。

【船舶貸出債権の流動化、ローン・パーティシペーション】

貸出債権の流動化とは、金融機関が保有する貸出債権を特別目的会社(SPC = Special Purpose Company)へ譲渡し、当該債権の みのキャッシュフローを担保として、資本市場において不特定多数の投資家から資金を調達する市場直接金融の手法である。

ローン・パーティシペーション(Loan Participation)とは、貸出債権に係る債権者と債務者間の権利義務関係を移転・変更せずに、

原貸出債権に係る経済的利益とリスクを原債権者から参加者(ローンの購入者)に移転させる契約のことをいう。

② 今後の取組姿勢

シンジケート・ローンや貸出債権の流動化といった手法は、船舶が大型化、高額化する中で、お取引先様の資金ニ ーズに積極的にお応えする一方で、銀行としての「適正な資産規模の維持と貸出金の特定業種への偏重を回避」しな がら、且つ、お取引先様との良好な取引関係を保った上での「貸出資産の効率的な回転」を志向して導入しているも の。当行の基本的なスタンスは前述の通りで何ら変わること無く、これらの新手法は銀行としての融資手段の品揃え の一つとしての位置付けである。これらの手法を駆使することで、理論的にはVLCCやLNGなどの超高額船にも対 応することが可能となった。

  当行の融資スタンスは前述の通りで、基本的には1船1行主義としながらも、案件によってはシンジケート・ロー ン等の手法を組み合わせながら、お客様のニーズに応えていきたいと考えている。いずれにしても海運業は当地の有 力地場産業であり、お客様とのリレーションを大切にしつつ、引き続き海運業の発展に積極的に関わっていく方針に 変わりない。

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