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広島県における消費者ならびに小売業者の意識調査

ドキュメント内 広島県における小売業の活性化 (ページ 31-64)

 

1.消費者の意識   

(1)アンケート調査の概要 

  前章までにみたとおり,小売業界の構造変化は消費者意識の変化とも密接に絡んでいる。バブ ル崩壊後の経済情勢の悪化は,消費者の低価格志向や消費の引き締め傾向に大きな影響を与えた。

近年は,こだわり志向,ブランド志向,利便性重視,健康志向など消費者行動の多様化がみられ,

小売業もこれに対応すべくコンビニエンスストア,ショッピングセンター,ドラッグストア,ホ ームセンターといった多様な形態の店舗立地を展開してきた。

  最近の消費者意識については,2006 年2月から3月にかけて中国地域の居住者約 850 人を対象 に,中国電力株式会社エネルギア総合研究所と社団法人中国地方総合研究センターとの共同によ るアンケート調査(第9表)があり,この中から,中国地域全体および広島県の分析結果を紹介す る。なお,以下で示す数値については,いずれも無回答は除いたものであり,また,構成比は各 項目で四捨五入していることから,合計が 100%にならないことがある。

(2)価格志向と買物行動 

  消費者意識の中でもバブル崩壊後に最も変化したのが,価格に対する意識と考えられる。もち ろん,消費者は同一種類・同一品質のものであればより低価格なものを志向するという行動パタ ーンは以前からみられるが,バブル期に高価格・高級志向が高まった反動として,バブル崩壊後 はそれが一層強まったとみられる。しかし,最近では単なる低価格志向だけではなく,いわゆる 品質に対するこだわり志向も徐々に高まりつつあり,価格と品質のバランスが重視されるように なってきている。

アンケート調査結果によれば,「近くで高いものを買うより遠くで安いものを買う」という設問 (第 14 図)に「当てはまる」と回答したのは広島県,中国地域とも 10%前後と低い割合にとどまっ ている。これに「やや当てはまる」を加えると全体の4割程度となり,「あまり当てはまらない」

「当てはまらない」の合計値をやや上回っており,低価格志向の表れとみることができる。一方 で,「高くても納得のいく商品を選ぶ」(第 15 図)については,「当てはまる」との回答割合は2割 程度だが,「やや当てはまる」を加えると中国地域,広島県とも6割を大きく上回っている。

この結果から,低価格志向は依然として存在しており,遠方であっても安いものを買いたいと 項  目 内        容

調査対象 中国地域に居住する生活者,約850名

(県別・年齢階層別にサンプリングを実施)

調査時期 2006年2月上旬〜3月上旬

調査対象の抽出 民間調査会社の個人マスターサンプルを利用 調査方法 郵送法

鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 中国地域 30歳未満 8 12 34 23 22 99 30歳代 19 19 30 48 40 156 40歳代 27 29 35 39 32 162 50歳代 34 36 43 40 42 195 60歳以上 50 54 41 45 45 235 合計 138 150 183 195 181 847 第9表  アンケート調査の実施概要 

(調査の実施概要)      (県別・年齢階層別のサンプル数) 

考える消費者がみられる一方で,品質などにもこだわりを持ち,納得のいくものであればある程 度高くてもかまわないとの考え方を持つ消費者が相当に多いことを示している。

20.8 18.8

22.9 8.7

31.3 13.2

23.1 20.5

47.9 49.0

46.9 60.9

43.8 50.0

51.3 40.9

22.4 25.0 19.8 17.4

12.5 31.6

15.4 34.1

7.3 8.7 8.3 6.3

5.2

5.3

4.5 5.1

5.1 4.2 4.3 3.1 2.1 2.6

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=192) (N=96) (N=96)

(N=23) (N=48) (N=38) (N=39) (N=44)

22.1 20.9 23.2 22.2 20.6 19.9 23.8 23.1

41.5 43.9 39.6 47.5 45.2 39.1

39.9 39.4

25.5 25.1 25.7

19.2 23.2 28.6

24.9 28.1

8.8 7.8 9.5 10.1

9.7 10.6 9.3 5.9 3.6

2.1 1.9 1.3 1.0 2.0 2.3 2.2

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=829) (N=383) (N=444)

(N=99)

(N=155) (N=161) (N=193) (N=221)

当てはまる やや当てはまる

どちらともいえない あまり当てはまらない

当てはまらない

11.2 13.0 9.7 12.1 12.2 11.2 8.8 12.2

28.2 25.8 30.1

31.3 23.7

27.3 31.1 27.9

30.4 32.8 28.5 29.3 38.5 29.2 24.4 31.5

21.3 21.1 21.3

22.2 16.7 23.6 24.9

19.4 8.9

7.3 10.3 5.1 9.0 8.7 10.9

9.0

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=831) (N=384) (N=445)

(N=99) (N=156)

(N=161) (N=193) (N=222) 9.9

9.4 10.4

13.0 12.5 7.9 7.7 9.1

28.1 25.0

31.3 34.8 22.9 23.7

30.8 31.8

35.9 42.7 29.2

30.4 39.6 42.1

35.9 29.5

18.2 14.6 21.9

17.4 14.6

21.1 15.4 22.7

7.8 8.3 7.3 4.3 10.4

5.3 10.3

6.8

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=192) (N=96) (N=96)

(N=23) (N=48)

(N=38) (N=39) (N=44)

第 14 図  近くで高いものを買うより遠くで安いものを買う 

(広島県)       (中国地域) 

第 15 図  高くても納得のいく商品を選ぶ 

(広島県)      (中国地域) 

当てはまる やや当てはまる

どちらともいえない あまり当てはまらない

当てはまらない

(3)ブランド志向やこだわり 

  消費者の意識として低価格志向ばかりでなく,こだわり志向もあることが明らかである。商品 選びに自分なりのこだわりや判断基準を持っているかどうかとの設問(第 16 図)に対して,自分な りのこだわりや判断基準を持つと考える消費者(「当てはまる」との回答者の割合)は広島県,中 国地域とも 26%程度と比較的高い水準である。「やや当てはまる」は広島県,中国地域とも5割 程度あり,「当てはまる」に「やや当てはまる」を加えると消費者全体の8割近くは自分なりのこ だわりや判断基準を持って商品選びをしている。

  この傾向は,男女別,年齢階層別にみてもそれほど大きな違いはなく,それだけ消費者のこだ わり志向が強いことを示している。

  次に,「流行に対して敏感であり,買物にも気を使う」という設問(第 17 図)については,「当て はまる」「やや当てはまる」との回答割合は両者を加えても全体の2割程度にとどまる。一方,「あ まり当てはまらない」「当てはまらない」の合計は広島県で4割,中国地域では5割となり,流行 には消費者意識があまり左右されていない。

  これを年齢階層別にみると,30 歳未満について,「当てはまる」「やや当てはまる」の割合が4 割を超えており,他の年齢階層に比べ著しく高い。従って,いわゆる流行に敏感なのは,主とし て若年者層であり,年齢階層が高くなるとともに,消費者意識や購買行動は流行にあまり左右さ れなくなっている。

  なお,広島県では中国地域に比べ流行に敏感ではないとの回答がやや低めであるとの違いも出 ているものの,それほど大きな差はないといえよう。全般的に「どちらともいえない」との回答

当てはまる やや当てはまる

どちらともいえない あまり当てはまらない

当てはまらない

26.1 24.5

27.5 28.3 26.3 22.4

25.4 28.2

48.1 46.2

49.5 48.5 50.0 49.7

47.7 45.9

17.6 20.1

15.5 14.1 17.3 18.6 15.5 20.5

6.3 7.3 5.4 6.1

4.5 7.5 9.3

4.1 1.9 1.8

2.0 3.0 1.9 1.9

2.1 1.4

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=829)

(N=383) (N=444) (N=99) (N=156)

(N=161) (N=193) (N=220) 25.5

21.9 29.2 26.1

35.4 10.5

25.6 27.3

51.0 54.2

47.9 47.8

43.8 63.2

56.4 45.5

16.7 18.8 14.6 17.4

14.6 18.4

10.3 22.7

4.2

2.1

7.7 4.5 7.9 5.2 4.72.1

4.2

8.7 4.2

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=192) (N=96) (N=96) (N=23)

(N=48) (N=38) (N=39) (N=44)

第 16 図  商品選びに自分なりのこだわりや判断基準を持っている 

(広島県)      (中国地域) 

が広島県において高めであり,都市部を抱える広島県では,それだけ消費者意識がとらえにくく なっていると考えることもできる。

  消費者のこだわり志向の中で,ブランド品に対する志向(第 18 図)をみると,「買物ではブランド を重視する」という設問に対し,「当てはまる」との回答割合は,広島県で 2.6%,中国地域で 1.9% 

11.2 10.7 11.7

16.3 20.5 10.6 7.8 5.9

20.4 22.5 18.5

30.6 22.4 17.4 17.1 19.5

28.5 29.2 27.7

29.6 21.2 39.8 31.6 22.2

38.0 35.5 40.3

20.4 32.7

30.4 41.5 52.0 2.1

3.1 1.8

0.5 1.9 3.2 2.1 1.9

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=829) (N=383) (N=444) (N=98)

(N=156)

(N=161) (N=193)

(N=221) 6.3

12.0 13.5 10.4

17.4 14.6 13.2 12.8

25 25 25

21.7 27.1 18.4

28.2 27.3

29.2 30.2 28.1

34.8 18.8

47.4 33.3 18.2

31.3 29.2 33.3

21.7 33.3

18.4 25.6 50 2.6

4.3 3.1 2.1 2.6

4.5

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=192) (N=96) (N=96) (N=23)

(N=48)

(N=38) (N=39)

(N=44)

4.5 12.1

4.1 17.8 13.3

21.6 34.3 20.5 18.6 14.0 11.3

31.0 30.2

31.5 24.2 26.3

31.7 32.6 35.3

30.0 33.1

27.5 20.2 34.6

32.9 33.2 26.2

17.5 20.6

14.9 9.1 14.7 14.9 16.1 26.2 3.7

2.9

3.8 1.9

0.9

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=830) (N=384) (N=444) (N=99) (N=156) (N=161) (N=193) (N=221) 4.7

6.3 17.4 8.3

16.1 17.7

14.6 26.1 14.6 23.7 15.4 6.8

39.1 35.4

42.7

39.1 31.3

34.2 48.7 43.2

27.1 32.3

21.9 8.7 33.3

36.8 17.9 29.5

13.0 11.5 14.6

8.7 12.5 5.3 15.4 20.5 3.1

2.6

0 20 40 60 80 100

合計 男性 女性 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上

(%)

(N=192) (N=96) (N=96) (N=23) (N=48) (N=38) (N=39) (N=44)

第 17 図  流行に対して敏感であり,買物にも気を使う 

(広島県)      (中国地域)

第 18 図  買物ではブランドを重視する 

(広島県)      (中国地域) 

当てはまる やや当てはまる

どちらともいえない あまり当てはまらない

当てはまらない

当てはまる やや当てはまる

どちらともいえない あまり当てはまらない

当てはまらない

と非常に低い水準にとどまっている。これに「やや当てはまる」を加えても,広島県,中国地域 とも2割に満たない水準であり,ブランドを重視した購買行動を行う消費者の数は少ない。

  なお,広島県と中国地域の比較では,広島県の方が中国地域全体に比べわずかにブランド志向 が強いという傾向が出ているが,広島市のような都市部を有することがブランド志向を高めてい るものとみられる。

  また,年齢階層別にみると,30 歳未満,および 30 歳代において「当てはまる」「やや当てはま る」の合計値が他の年齢階層に比べやや高めとなっている。上で示した流行に敏感であるという 回答とほぼ同様に,ブランド志向についても年齢階層が低いほど強いという傾向が表れている。

  以上の結果からは,消費者のこだわり志向は強いものの,その内容は昨今のブランド志向や流 行の先端を行くといったようなものではない。若年層にはそうした傾向も多少みられるものの,

少なくとも広島県や中国地域においては消費者全体としてはブランドや流行などのほかに,何ら かのこだわりを持つ要素が存在している。

  また,消費者の低価格志向もある程度は存在しており,品質などに大きな差がないものである ならば,より安いものを購入したいとの意識が強い。ちなみに,特に分析結果は示していないも のの,低価格志向が強いからといって,必ずしもこだわり志向が弱いわけではない。「遠くで安い ものを購入する」と回答した消費者の中にも,「高くても納得のいくものを選ぶ」との回答はそれ なりにみられた。このことは,低価格志向とこだわり志向が並存していることを示しており,価 格もさることながら,より品質に対する要求が高まっていると考えられる。

 

(4)買物場所 

①よく利用する買物場所

  消費者がよく利用する買物場所(第 19 図)としては,広島県,中国地域ともに「郊外のショッピ ングセンター」との回答が最も多く,広島県で 30.1%,中国地域で 34.2%となっている。次いで,

広島県では「都市中心部の商店街・繁華街」が 24.7%となっているが,中国地域全体では「都市 中心部のショッピングセンター」の割合が 22.0%とわずかながらも「都市中心部の商店街・繁華 街」を上回っている。これは,近年では都市中心部の商店街や繁華街の活力が低下している中で,

広島県では広島市など大都市を中心に,都市中心部の商店街・繁華街が比較的賑わっていること を示している。ただ,いずれにせよ買物場所としては都市中心部より郊外のウェイトが高いこと に変わりない。

  男女別にみると,男性は女性に比べて「郊外のショッピングセンター」との回答割合が高い。

日常的に買物を行っている女性は「都市中心部の商店街・繁華街」「都市中心部のショッピングセ ンター」などの割合が男性より高く,郊外のショッピングセンターは休日の娯楽場所としての役 割が大きいとみることができる。

  年齢階層別には,30 歳未満および 50 歳代,60 歳以上で「都市中心部の商店街・繁華街」のウ ェイトが高く,「郊外のショッピングセンター」は 30 歳代,40 歳代での割合が高い。30 歳代,40 歳代は子どもを中心に家族で行動する可能性が高い年代だとみられることから,家族でのショッ ピングを行う場所として「郊外のショッピングセンター」が最も好まれている。

ドキュメント内 広島県における小売業の活性化 (ページ 31-64)

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