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第4章  新しいライフスタイルと地域再生のメカニズム 4−1:新しいライフスタイルへの期待と現実のギャップ

市内で協力してくれる飲食店は最初の 3 店から徐々に広がり、

飲食店による「ふらのカレンジャーズ」も結成された。飲食店だけ でなく、高校の園芸科の学生など、取り組みに参加する人々の 輪は広がり、2004 年、地域の各組織を巻き込んだ市民団体とし て新たなスタートを切った。 

  基本理念は、(1)地産地消を軸にした“ふらの”型カレー文化の 創造、(2)食育の推進、(3)地域経済の活性化、の 3 点である。 

  近年では、新しい取り組みとして、地域の独自性を強調した

「富良野オムカレー」が発表され、新しい目玉として注目を集め ている。 

成功のポイント 

a  飲食店だけでなく、異業種の人々のネットワークを形成し、連 携を深めた取り組みが行われている。 

 

b  地産地消が可能な食材を先手駆使、農業と観光の共生によ

る地域経済の活性化を図っている。 

名称  元気村・夢の農村塾  地域  北海道深川市  テーマ  農業全般 

概要 

  2002 年、農家 19 戸が集まり、将来を担う子ども達に農業を理 解してもらおうと農業体験受入組織「元気村・夢の農村塾」が設 立され、全国の高校生などの受入を開始した。 

  全国から訪れる子ども達は、土に触れ、食物や農村の自然を 通し、食べることの大切さを学ぶ。 

  深川市から始まった取り組みは、現在北空知一円(深川市、妹 背牛町、秩父別町、北竜町)に広がっている。また、体験交流活 動は年交流活動の拠点組織として位置づけられ、行政や JA 等 からも積極的な支援を受け、運営が行われている。 

成功のポイント 

a  悩みなどを持つ子ども達が、活動を通して人生の目標を持て るようになるケースもあり、農業者が農業の持つ教育力を実 感し、農業に誇りを持てるようになっている。 

 

b  交流活動を通じて地域を元気にするため、会員同士の情報交 換も盛んに行われるようになった。 

 

c  北空知に全国から体験に訪れる子どもが増え、地域全体に

交流活動の輪が広がり、地域活性化に役立っている。 

名称  新得町立レディースファーム

スクール  地域  北海道新得町 

テーマ  農業全般 

概要 

  北海道の農業にあこがれ、研修に訪れる女性のために、1996 年、就農を目指す独身女性の研修施「新得町レディースファーム スクール」が開校した。毎年 10 数名の受入を行っている。 

  それまでの農業研修では、特定の農家に住み込む方法だった ため、農家・研修生共にカルチャー・ショックやストレスを感じるこ とも多く、研修・就農を断念する人々がいた。スクールでは家具 やパソコンなどが完備された快適な宿泊施設で生活しながら会 員農家を回り、実習に専念することができる。 

  2007 年 3 月現在、長期研修修了生 100 名の内、新得町内に在 住するのが 31 名(内農業関係に就職 22 名)、新得町外で農業 関係に就職しているのが 20 名である。 

成功のポイント 

a  新しく就農したいという女性の生き方を応援する仕組みが展 開され、参加者が農家と無理なく交流が持てるよう場づくりが 行われている。 

 

b  研修の結果、新得町に移り住む女性たちも多く、「住・職のギ ャップ」の解消につながっている。 

 

c  後継者不足に悩む農業の活性化につながると共に、就農した

女性たちが都市生活者との触媒にり、活躍することが期待さ

れる。 

名称  さーくる森人類  地域  北海道下川町  テーマ  森林・移住 

概要 

  1996 年、下川町森林組合・商工会・下川町の有志が実行委員 会をつくり、森林・林業体験ツアーを企画して大成功を収めたの が活動のきっかけである。ツアー参加者の一人が代表となり、メ ンバーのほとんどが移住者である「さーくる森人類」は 1997 年に 結成された。 

  森林での交流活動を行うとともに、他の都市からの移住や就 業を円滑に進める役割を務めている。 

  具体的には、通年の森林ツーリズム、年数回開催の 2 泊 3 日 の森林・林業体験ツアー「すくもり」、町内の巨木散策プログラム なども実施している。 

成功のポイント 

a  森林・林業体験ツアーには東京からの参加者やリピーターも 多く、交流事業をきっかけとして、都市から町へ移住・定住す る人々が増えている。 

 

b  町内の森林体験事業を行うことにより、以前は当たり前と思わ

れていた森林景観に対する住民認識が変化してきている。 

名称  八百−ねっと  地域  北海道大野町  テーマ  農業全般 

概要 

  地元産の野菜を、地元の人々に味わってほしい、生産者と消 費者を直接結び付けたい、そんな思いから、2001 年より野菜の 宅配サービスを始める。(1)おいしいものを届ける、(2)新鮮なもの を届ける、(3)生産者の気持ちを届ける、(4)消費者の声を持ち帰 る、を 4 つの柱に据える。 

  地域の農家を結びつけ、情報のネットワーク活用し、新しい流 通の形にチャレンジしていると共に、生産者と消費者による「交 流会」を積極的に開催し、農家・消費者からの様々なアイデアと 取り入れている。 

成功のポイント 

a  地域における個々のこだわり生産者を、情報通信技術を用い てネットワーク化し、交流の輪を広げている。 

 

b  生産者と農家との交流を大切にし、活発な意見交換が行われ

ている。 

〜「食・食文化」を通した地域再生事例(千葉県)〜 

名称  鴨川市棚田オーナー制度  地域  千葉県鴨川市  テーマ  棚田・都市/農村交流 

概要 

  鴨川市の千枚田は地形上機械化が進まず、休耕地や荒廃地 が増加。農業従事者の高齢化や後継者不足等、地域での保全 が困難となり、都市の人々に支援を呼びかけ、米作りに参加して もらおうと始まった。棚田の維持と共に、都市に住む人々に対 し、米作りの苦労と喜びから農業に対する理解を深めてもらうこ とも目的となっている。 

  主催は鴨川市であるが、事業の管理、及び利用者への米作り 指導や交流イベントなどは、NPO 千枚田保全会が担っており、

農家と都市住民をつないでいる。 

  2000 年度より実施され、2004 年度からは特区を活用し、鴨川 市各所でオーナー制度が開始されている。 

   

成功のポイント 

a  農家、NPO、行政、そして都市からの利用者(オーナー)との 連携により、日本の原風景である棚田が守られると共に、都 市生活者と農村のギャップを埋めている。 

 

b  「会費を払えば、農作物が届く」というシステムのオーナー制

度と違い、進んで田に入り、積極的に稲作に取り組むオーナ

ーを募集することで、農家とオーナーとの深い関係が構築され

る。 

名称  ネイチャースクールわくわく

WADA  地域  千葉県和田町 

テーマ  林業・漁業(くじら) 

概要 

  和田町が主催、NPO「ネイチャースクール緑土塾」が企画・運 営を担当するネイチャースクール。2000 年度より事業が行われ ている。 

  始まりは、1980 年に発足した、日比谷一水会という東京のサラ リーマンや経営者、主婦などが集まる勉強会。異業種間のネット ワークが広がり、1998 年頃、現事務局長である四方氏が、「都会 ではなく、自然の中での学習・交流をしたい」という希望から、ネ イチャースクールの構想を立ち上げた。 

  和田町の廃校利用施設「くすの木」を宿泊所とし、林業や農 業、漁業(くじらの食文化)等を具体的に学ぶイベントを通年で開 催している。 

成功のポイント 

a  業者などが入らない NPO と自治体の協力による手作りによる 事業であり、手探りながらもお互いの信頼を得ることができ た。 

 

b  単なる観光客や海水浴客などとは違い、ネイチャースクール

に参加する都市住民は、じっくり地元の人と交流しようという

姿勢があり、町の人々からも歓迎されている。 

名称  (有)よもぎの里  地域  千葉県四街道市  テーマ  農業全般・女性の起業・地産地消 

概要 

  四街道市亀崎地区に住む兼業農家の主婦 10 名が、それまで

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