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米国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄特殊表記による和歌一覧
神田久義・豊島秀範
米国議会図書館蔵﹃源氏物語﹄の特徴のひとつに︑和歌を一行内で 分
かち書きのように表記するという︑特殊な書写様式が挙げられる︒
とは言え︑すべての和歌がこの特殊な表記法で書写されているわけで
はない︒この表記法による和歌は︑12巻﹁須磨﹂︑13巻﹁明石﹂︑14巻
庸「標﹂︑20巻﹁朝顔﹂︑22巻﹁玉髪﹂︑24巻﹁胡蝶﹂︑25巻﹁螢﹂︑28
巻﹁野分﹂︑29巻﹁行幸﹂︑44巻﹁竹河﹂︑46巻﹁椎本﹂︑51巻﹁浮舟﹂︑
52巻﹁蜻蛉﹂の︑計13の巻に偏在しており︑また︑その総数は62首
の み に留まる︒
何
故ごく一部の和歌だけにこの特殊な表記法が用いられているの
か︑その原因を究明することは︑﹃源氏物語﹄本文の享受の一端を明
らかにすることに他ならない︒このような意識のもとに︑豊島秀範に
は
ア「メリカ議会図書館本の和歌表記の特徴−和歌の一行散らし書き
を中心にー﹂︵﹃國學院大學大学院平安文学研究﹄第二号︒1101O年
九月︶の論考が︑神田久義には﹁米国議会図書館本﹃源氏物語﹄の書
写 形 態
に関する一試論﹂︵豊島秀範編﹃源氏物語本文の研究﹄︒文部科
学 省 科 学
研究費補助金基盤研究︵A︶﹁源氏物語の研究支援体制の組
織
化と本文関係資料の再検討及び新提言のための共同研究﹂︑課題番
Ule ﹇19202009︺︑二〇=年三月︶の論考がある︒上記の論考では︑
和 歌 の 表 記
法との関わりに︑豊島は物語内容や書写者の本文理解を︑
一方︑神田は複数の書承段階を想定した︒
両者の意見に食い違いが見られるように︑この写本の和歌の表記法
に つ い
ては︑いまだ解明されていない部分も多く︑今後の更なる研究
が
望まれる段階にある︒本稿では62首全ての特殊な表記法による和歌
の 画
像を掲載した︒今後の研究の一助となれば幸いである︒
謝 辞
画像の撮影および掲載について︑米国議会図書館から許可を頂いき
ました︒御尽力いただいきました米国議会図書館アジア部日本課の伊
東英一氏・中原まり氏・㊥弓国国図゜Y清代氏に感謝申し上げます︒
179
o8 t
凡 例
1︑和歌には物語内での出現順にー〜62までの通し番号を付した︒
n︑和歌の一覧は以下のように構成した︒
(i︶第一行目には︑通し番号︑巻名・丁数と表裏の別・行数︑和歌に関する簡単
な説明を記し︑﹇﹈内に新編日本古典文学全集﹃源氏物語﹄①〜⑥での該当ペ ージ数を示した︒
(:=︶ wa1 I行目には︑該当部分の写本の画像を示した
(iN︶ ue三行目には︑翻刻本文を示した︒
H︑翻刻本文は以下の通りに作成した︒
(.−︶漢字は新旧・異体字を問わず︑通行のものに改めた︒
(:皿︶変体仮名は通行の仮名に改めた︒
(正︶写本での字配りを再現するよう努めた︒
冨一
1.須磨 7オ5 光源氏から紫の上への贈歌︹②巻田頁︺
涕ヨ:藷瀞滴口竃淘泊姦︑1
ぬと かあたり かけは
⑳身はかくてさすらへも さらぬごみの
はなれし
オ ま とめても
圃
月かけのやとれるネ引はくとも 見はやあかぬひかりを
3 須磨 10ウ2 光源氏から藤壷への返歌︹②巻捌頁︺
膓りずい§阜︑鳶ぎ議βλ欝・養
ことは 又そ
團
わ か
れしにかなしき
つきにしを この世の うさはまされる
︑須磨ωウ9右蕩将監から光源氏への贈歌︹②巻皿頁︺
あふひのかさし かもの
團
ひきつれて そのかみを みつかき おもへはつらし
り のオ からエハ け への サ ぬ ロ
ト エ なけきの いつまて
圃
あまかすむ
しほたれて
すまの 中に うらになかめむ
6竃穿6議氏の唱和歌︹ ユ②巻別頁︺
こひしき人の こゑの
團
は
雁つ
は た ひ の 空とふ
つらなれや かなしき
N
oo 一7 須 磨
28
オ9 光源氏から宰相中将
ξ⁝弘゜暴 C︐︑ いつれの うらやま
⑳
ふるさとを
はるかゆきてみん しきは
(か
つ て の
頭中将︶への贈歌︹②巻描頁︺
か へる 雁 金
ξ ㌧ ・−
8.須磨 28ウ9 光源氏から宰相中将︵かつての頭中将︶への贈歌︹②巻珊頁︺
頑
とひかふ われは
⑳
雲ちかく 空に見よ たつを はる日の vもりなき身そ 9
ヂ ロオヨ から ガの への ニ ロ
やよや とふ人 こAうに
園
い ふ せくも な や む いかにと もなみ 物をかな
10.明石 15オ9 9の歌に対する明石の君から光源氏への返歌︹②巻捌頁︺
劃おもふらむご︑ろ勒とややよいかにまた見畑のき︑Sやまむ
11.明石 19オ9 明石の君から光源氏への返歌︹②巻蜥頁︺
やかて いつれを わきて
⑳
あけぬ夜に
ご﹂うには ゆめと かたらん まとへる
12. ヂ のウヨ ぬ から の への ロ
みるめは すさひ まつそ
團
しほ/\と
なかる﹂ あまの なれともかりそめの
8 S t
13.明石 20ウ6 12に対する紫の上から光源氏への返歌︹②巻捌頁︺
おもひ まつより こえし
圏
うらなくも ちきりしを けるかな なみは 物そとむ ヂ ぬオ ぬ から ヂの への ロゆ ロ
かた見に しらへは かはら
ことに さらなん ちきる 中のをの ふまての
ロ ザ ぬウヨ ヂの から への ロ
とまやも
⑳
かへる 身をたくへ年へつる
あれて うき浪の
か た に
や まし
16.明石
s.{25
tSオ 6
光源氏から明石の君への返歌︹②巻捌頁︺ ぱき
かふへ
圃
か た
かりけるみにもあふことの 日かす
二雰.欝璃擬
中のころもを
へたてん
17.
濡標 6オー0 光源氏から宣旨の娘︵明石の姫君の乳母︶への贈歌︹②巻捌頁︺
へたてぬ わかれは
圏
か ね てより
ならはねは
物にそありける
中と おしき
18.
濡 標
6ウ2 17の歌に対する宣旨の娘から光源氏への返歌︹②巻珊頁︺
圃打つけのわかれ端しむかことにておもは鮎たにしたひやはせぬ
寸
8 L
19−
ウ ろの から への ロ
おほふ かけをし
團
なつるは ひとりして
そての はかりの ぞまつほとなきに
20.溝標 8ウ3 紫の上から光源氏への贈歌︹②巻部頁︺
浮
潴⑭璽鵬ス鷲.ゴ三.パ竺
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劇思ふとちなひく あらす われそ さきたち
かたには とも けふりに なまし
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⑳
に よをうみ ゆき たえぬ うきしつ より 山に めくり なみたに む身そ22.