(1)特定健康診査・特定保健指導
○ 平成 22 年度の本県の特定健康診査の実施率は 39.0%であり、全国の 42.6%を 下回っています。
○ また、特定保健指導実施率は 14.3%で、全国の 13.3%より高い実施率となって います。
4 本県の各種健診の実施状況
(2)がん検診
○ 本県の平成 22 年のがん検診受診率は、平成 19 年の受診率と比較して高くなっ ていますが、全国値より低く、高いものでも 20%台にとどまっています。
○ これをがん種別に見てみると、受診率は、胃がん 26.6%(全国値 30.1%)、肺 がん 17.3%(全国値 23.0%)、大腸がん 20.2%(全国値 24.8%)、子宮(頸部)
がん 29.9%(全国値 32.0%)、乳がん 27.6%(全国値 31.4%)となっています。
がん検診受診率
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」
※ 子宮(頸部)がん検診、乳がん検診については、原則として2年に1回行うものとしているため、平成 22 年より過去2年間の検診受診率を算出している。
平成 14 年の基本指針策定当初から、県民一人ひとりが自主的に健康づくりに取り組 み、「健康寿命」の延伸を目指して、健康づくりに取り組む関係団体と連携した取組を行 っています。
平成 20 年 3 月に策定した前計画の取組の推進は、学識経験者、関係機関、関係団体 の専門家及び公募県民などあわせて 25 名の委員からなる「いきいき福岡健康づくり推 進協議会(地域・職域連携推進協議会)」を設け、幅広い意見を計画に反映させ、各分野 の目標達成に向けた推進を図ってきました。
特に、前計画策定後は、生活習慣病対策を重点施策として、健康づくりの普及啓発な どの一次予防に重点を置き、「栄養・食生活」、「運動・身体活動」、「たばこ」、「アルコー
5 これまでの健康づくりの取組
県民の健康と生活習慣の現状
(1)評価の目的と方法
(2)評価結果
前計画の評価は、これまでの健康づくりの取組の評価を行い、平成 25 年度からの 計画に反映させることを目的として、16 分野の 73 指標について、計画策定時の値と 直近の現状値の比較を以下の判定基準で行い、目標の達成状況や関連する取組の状況 の評価を行いました。
目標の達成状況は、全 73 指標のうち、達成した項目は、18 指標(24.7%)、目標 値に達していないが改善傾向にある項目は 22 指標(30.1%)、変わらない項目は 2 指標(2.7%)、悪化している項目は 16 指標(21.9%)であり、その主なものは、図 に示すとおりでした。
6 前計画の評価結果
判定区分と判定基準
判定区分 判定基準
A(達成) 目標値に達した
B(改善) 目標値に達していないが、改善傾向にある C(変わらない) 変わらない
D(悪化) 悪化した
E(判定不能) 評価不能
県民の健康と生活習慣の現状
生活習慣形成期である未成年期は、食習慣や喫煙、飲酒について改善傾向が見られ ましたが、その取組は、直接働きかける機会のある保育園や学校等との連携による取 組がより効果的であり、今後も連携を進めていくことが必要です。
成人期の生活習慣では、運動習慣のある者・喫煙する者の割合で目標が達成でき、生 活習慣病の指標では 40 ~ 74 歳の女性で改善が多く見られ、県民の健康づくりは、一 定の推進が図れたものと考えます。
しかし、改善が見られなかった指標が 40 ~ 74 歳の男性の生活習慣病関係の指標 に多く見られるなど、この分野の対策の強化が課題となっています。
また、今回の評価では、評価のための現状値が把握できない指標も多くあり、評価 指標の設定については、継続して把握できることを踏まえた指標の設定が必要です。
評価結果
各判定区分の主なもの
ベースライン値と現状値とを比較 全 体 A(達成) 18 指標 ( 24.7%) B(改善) 22 指標 ( 30.1%)
C(変わらない) 2 指標 ( 2.7%)
D(悪化) 16 指標 ( 21.9%)
E(判定不能) 15 指標 ( 20.5%)
合 計 73 指標 (100.0%)
判定区分 主なもの
A(達成)
・運動習慣のある者の割合(成人男性・成人女性)
・喫煙する者の割合(成人男性・成人女性)
・肥満者の推定数及び割合(成人女性)
・メタボリックシンドローム予備群・該当者の推定数及び割合(40 ~ 74 歳 女性)
・糖尿病有病者推定数及び割合(40 ~ 74 歳男性・女性)
・脳血管性疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率(人口 10 万対)(男性・女性)
B(改善)
・朝食を必ず食べている者の割合(3 歳児、小学校、中学校)
・脂肪エネルギー比率(成人)
・特定健診実施率
・特定保健指導実施率
・高血圧予備群の推定数及び割合(40 ~ 74 歳女性)
・内臓脂肪症候群の概念を知っている者の割合(成人以上)
・がん検診受診率(胃・肺・大腸・乳・子宮(頸部)がん)
C(変わらない) ・野菜をほとんど食べない者の割合(3 歳児)
・多量飲酒者の割合(成人女性)
・野菜摂取量(成人)・日常生活における歩数(成人男性・女性)
・多量飲酒者の割合(成人男性)
県民の健康と生活習慣の現状
第
Chapter1 3 章
計画の基本的な方向
この計画では、「県民一人ひとりが、地域の中でともに支えあい、健やかでこころ豊か に過ごせ、長生きしてよかったと実感できる社会の実現」を基本理念としています。
この基本理念のもとに、第2章で述べた県民の健康と生活習慣の現状を踏まえ、本計 画の基本的な方向として、次の5つの事項を掲げます。
① 健康寿命の延伸
次の②から⑤の施策を推進することで、平均寿命の延び以上に健康寿命を 伸ばす。
② 主要な生活習慣病の早期発見、発症予防と重症化予防
③ ライフステージに応じた健康づくり
④ 生活習慣の改善
⑤ 個人の健康づくりを支えるための環境づくり
計画の概念図
1 計画の基本的な方向
計画の基本的な方向
2 計画の施策体系
計画の基本的な方向
第
Chapter1 4 章
健康づくりを推進するための施策と目標
1 施策の目標設定とその考え方
(1)目標の設定に関する基本的な考え方
○ 目標の設定については、前計画の評価において指標が悪化したものや全国の中で も下位に位置している健康課題を踏まえ、国が設定した全国的な健康増進の目標を 勘案するとともに、県が策定する他の関連計画において、健康づくりに関する目標 が設定されている場合は、これらとの総合的な調整を図ることとしました。
○ また、目標とする指標に関する情報収集に関しては、独自に信頼度の高い調査を 実施することも考えられますが、時間、費用等の面から現実的ではないため、既存 の調査結果を活用することとしました。
○ さらに、前計画の最終評価では、評価のための現状値が把握できない指標が多か ったことから、本計画の目標設定の検討に当たっては、5 年後の中間評価や 10 年 後の最終評価を視野に入れ、継続的に把握可能なデータを目標として設定すること としました。
(2)目標の評価
○ 目標の評価については、実質的な改善効果を中間段階で確認できるよう、目標設 定後 5 年を目途に全ての目標について中間評価を行うとともに、目標設定後 10 年 を目途に最終評価を行います。
○ 数値目標を評価する際は、目標策定時、中間評価時、最終評価時の調査データは 比較可能で十分な精度を持つことに留意しながら、策定時と直近値を比較した上で 行います。
2 具体的な施策と目標
(1)健康寿命の延伸
健康寿命とは、介護が必要になるなど健康上の問題で日常生活が制限されることな く生活できる期間のことを言います。
平均寿命の延伸とともに、健康な期間だけではなく、不健康な期間も延びることが 予想されるため、平均寿命の延び以上に健康寿命を伸ばすことが重要です。
健康づくりを推進するための施策と目標
【現状と課題】
○ 厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用 対効果に関する研究」によると、本県の健康寿命は、平成 22 年で男性が 69.67 年、
女性が 72.72 年となっています。
○ また、平均寿命と健康寿命との差である、日常生活に制限のある「不健康な期間」
は、男性が 9.69 年、女性が 13.77 年となっています。
【施策の方向】
○ 以下の(2)~(5)に掲げる 4 つの施策すべてに取り組むことによって、県民 の健康づくりを一層推進し、健康寿命の延伸を図ります。