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平成 22 年度 EPRI Welding & Repair Technology for Power Plants 出席報告

Section Ⅴ : Adopt ASTM E2700-09 Standard Practice for Contact Ultrasonic Testing of Welds

4. 平成 22 年度 EPRI Welding & Repair Technology for Power Plants 出席報告

Welding and Repair Technology for Power Plants Ninth International ERPI Conference 出 席 報 告

1. 出席スケジュール

6月23日(水) Key Noteセッション

Generalセッション Nickel Alloyセッション

6月24日(木) Nuclearセッション Fossilセッション 6月25日(金) Generalセッション

(注記)6/23および6/24の並行セッションでは、関連の深い報告を聴講した。

2. 開催場所:Sanibel Harbour Marriott Resort and Spa, Fort Myers, Florida, USA.

3. 会議の概要

今回のEPRI火力原子力設備機器に対する溶接及び補修技術の関する国際会議(第8回)は、

EPRIのWelding and Repair Technology Center、Generation/Major Component Reliability 及びP63(Boiler Life and Availability Improvement)の共同開催会議である。火力及び原子 力発電プラント機器の溶接及び補修技術は、設備機器の安全性の観点で密接に関連し、技術的 には同等なものと看做されることから、両者を統合化して会議を行い、両者の意見を交換する ために行われた。

4. 会議のトピックス

(1)6月23日(水)

KEYNOTE

① Welding Technology at Vogtle 3 and 4 Project, Cheri Collins, Southern Nuclear

SN社はFarley、Hatch及びVogtleの原子力発電所を有する電力会社である。Vogtle 3 and 4を計画している理由はGeorgiaの人口増加(2030年には 400万人の増加)が予測されて いて、大きな電力需要の増加があるため。電力の増加を原子力発電に依存するのは、環境負 荷が小さいことが大きいが、許認可手続きが簡素化(Streamlined Licensing Process)され たことが大きい。また、原子力発電に関する技術の進化も大きい。例としてPassiveなAP1000、

設計の標準化、Modular Constructionの進歩がある。

Vogtle 3 and 4(WHが主契約者)は2009年にEarly Construction Permitを得ていて、

2011年にPre-COL Constructionの予定である。Excavationは2009年8月10日に開始さ れた。

Post-COL Construction は 2015 年の予定で、48 months Construction + 6 months Start-upの予定である。プラント建設における大きなChallengeは溶接士の問題である。米 国では 30 年の間、原子力発電所の建設が無かったことから、溶接士の数と需要の間に大き な差がある。溶接士に対するChallengeとして次を上げることができる。

Current Welders Battle of Culture

Future Welders Educational Program GENERAL

① Ambient Temperature Temperbead Welding Using the Underwater Laser Beam Welding Process, Bruce Newton, WEC Welding and Machine

水中 LBW による常温 TBW 法は東芝が開発した技術である。特徴は、Dry Underwater

及び自動溶接プロセスである。OHPには次の表示があった。

Endorsed for Nuclear Components Application by Japan Regulatory Authority

原子炉容器ノズルへのInlay ApplicationはDraft ASME CC N-766による。N-766 Inlay は2層仕上げであり、その各層共に、24%Cr以上である。(TBWは3層であるが、初層は 24%Crは達成できない。)

溶接部の品質は溶接姿勢の影響を受けないし、水中深さの影響(0.2m及び30mで実験)

も受けない。Alloy 82溶接金属表面にAlloy 52で溶接した結果、第3層目の化学成分は概ね 溶接材料の成分に等しくなった。0.030%Sのステンレス鋼表面にAlloy 52MSを溶接した結 果、割れの無い溶接部を得ることができた。TBWはGTAWプロセスが通常であるが、GTAW のHAZ深さ2.3mmに比して、LBWのHAZ深さは1.1mmであった。TBW後のHAZ硬さ の測定結果では、GTAWの最高硬さ約305HVに比して、ULBWでは再考硬さ約320HVで あった。

ULBW法の規格化に関してASME ULBW TBW Task Groupが組織され、May 2010に WGでDraft Caseが承認された。今後の予測ではあるが、2010年11月にはDraft Caseが Sec. IX委員会で承認されると思われる。

② Alloy Selection to Avoid Stress Relaxation Cracking in Fabricating Nickel Alloys for High-Temperature Application, R. Zhang, Special Metals Corporation

ニッケル合金のStress Relaxation Crackingに関する報告である。ニッケル合金溶接部の Stress Relaxation Crackingは500~700℃の温度に溶接部が暴露された場合に生じる割れ である。割れは結晶粒界に沿ったものである。溶接 HAZ の他に冷間加工した母材部にも生 じる。このStress Relaxation Crackingは次の条件が満足される場合に生じる。

粗大化した結晶粒界 大きな残留応力 高い運転応力

Stress Relaxation Crackingの検討は、Alloy 601、617、690、800H、800HT及び803 に対して行った。601、617及び800HではInservice Eventsとして生じ、800HTでは製造 中に生じる。以下に代表的なStress Relaxation Crackingについて示す。

(1) Alloy 800H 運転温度595℃で3ヶ月後にStress Relaxation Crackingが生じた。原 因は、製造中の溶接補修を行ったこと及び当該部にPWHTを行わなかったため。

(2) Alloy 617 運転温度590~620℃で14ヶ月後にStress Relaxation Crackingを生じた。

補修溶接部に950℃のPost Fabrication Heat Treatmentを行うことで、割れ感受性を下 げることが可能である。しかしながら。この熱処理を行うと靭性が低下する。靭性低下 を防ぐには2050deg-Fの熱処理が推奨される。

(3) 2133Mn 溶接部(母材:20Cr-20Ni-1Nb) 1600~1650deg-F、圧力 432psig で、18 ヶ月後にクリープ破壊が生じた。母材と溶接金属の熱膨張差による熱応力が原因の一部 となっている。製造又は溶接後の熱処理が割れ防止に有効である。

ASME Sec. VIII, UNF 56(e)で、N08800、N08810及びN08811の割れ対策として、設計

温度が540℃以上の場合には、885℃の固溶化焼鈍しを行うことが規定された。

③ Mini ID TB Welding for Small Bore Nozzles, Dave Waskey, AREVA

加圧器の小口径ノズル、原子炉容器BMIノズルのSCC対策として実施してきた工法とは別 のTBW付の工法を開発した。BWR CRD Nozzle RepairはCC N-606として規格化されて いる(BWR-VIP-58 Stub Tube Repairの成果)。この成果はPWR CRDM Nozzle Repairに も適用されている。

Min ID TBW方法の Mock-up試験で、低合金鋼HAZの硬さが360HV以下となることが 確認されたことが報告された。この方法をCalvert Cliff #1の加圧器Heater Nozzleに適用 するためのMock-up試験を実施した。

Replacement NozzleはAlloy 690である。この工法では、低合金鋼のTBW後の硬い領域 を機械加工で削除することとしている。

Process Qualificationを2010 Summerまで に終了する予定である。

④ ASME IX Heat Input Code Change, Teresa Melfi, Lincoln Electric

ASME July 2010 EditionでSec. IXに新しい溶接入熱計算方法が導入される。QW-409.1 は次の3種の計算方法となる。

(a) Heat Input ……従来の計算方法 (b) Volume of Weld Metal measures by

(c) Heat Input determined using instantaneous energy or power by

この変更に応じてQW-409.8, 409.26 and 409.29が変更される。そして、Sec. IXに次の Definitionが新たに追加される。

Instantaneous Power or Energy Waveform Controlled Welding

新たにNonmandatory Appendixが追加され、溶接入熱の計算方法の相違があっても、新た な PQR の必要はないことが明記される。また、溶接士についても新たな資格は必要とされな い。ただし、溶接士に対してWaveform Controlの溶接機に関する教育が必要としている。

⑤ Powder Metallurgy for PP Components, D. Gandy, EPRI

火力及び原子力発電用の大型機器に対する粉末冶金方法の適用に関する報告である。本報

告はEPRIのProjectの進捗報告である。粉末冶金の方法は概ね次のとおりである。

(a) Gas Atomized Metal Powder (b) 金属粉末をReverse Mold

(c) HIP 圧力≧15 ksi 温度≧2000 deg-

粉末冶金による製品の特徴は次のとおりである。

(a) 均一なミクロ組織

(b) 大型で複雑な形状の機器の製作が可能 (c) 製造期間の短縮

(d) 新しい合金成分への容易な対応 (e) 良好な溶接性

ただし、ASME規格が粉末冶金部材を想定していないことが問題である。本Project成果 に基づいてASMEではCode Caseを開発中であり、2011年の2nd QuarterまでにCode Case が制定される予定である。Fabrication Feasibility Demonstrationとして12 in. Valve Body

(316L)製作が行われた。1.5MHz 超音波(縦波及び横波)による体積検査では、Cast よ りも良好な検査性が認められた。結晶粒度はASTM 6~7であった。室温及び600 deg-Fの

硬い領域を削除

Alloy 690 機械加工線

機械試験では良好な結果が示された。今後は、Gr.91及び316NGのValve Bodyの製作検討 を行う予定である。

⑥ Dissimilar Metal Welding Challenges When Joining Creep Strength-Enhanced Ferritic Steels to Other Alloy Families, William F. Newell, Euroweld

CSEF の異材継手の溶接設計は一般に困難である。理想的には、異材継手の強度変化はス ムーズであるべきである。異材の線膨張係数、耐力、クリープ強度、他は異なっていること から、何を主眼に異材継手の溶接設計をするか迷うことが多い。

CSEFの異材継手の溶接設計では、最低でも次を守る方がよい。

(a) 比較的強度の低い溶接金属を適用すること。ただし、溶接金属の強度≧母材の強度 (b) ステンレス鋼との異材継手では、ニッケル合金をバタリングすること。

CSFEの異材継手のPWHTでは、母材及び溶接金属のAC1変態点を超えない温度とする必 要があるし、必要に応じて多段PWHTを適用するべきである。

347H Stub Tube と P91 Header の SMAW 溶 接 で 87 Filler Metal

(9Cr-2Mo-38Fe-1Nb-Ni-Bal.)を適用した。この組み合わせでは、87 Filler Metalは良い 選択である。

異材継手の溶接設計を容易にする方法として、Dissimilar Weld Decision Matrixを作成し た。これを利用することによって、良好な異材継手の溶接設計が可能となる。

(2) 平成22年6月24日(木)

① Cold Weld Repairs to Steam Chests in the UK Power Industry, K.C. Mitchell, RWE npower

Steam Chestの割れ機構には次がある。

(a) Thermal Fatigue Cracking

(b) Creep Damage ahead of Fatigue Crack Tip (c) Fast Brittle Fracture of Steam Chest

Steam Chestの補修工法としてCold Weldを開発し、既に多くの補修の実績がある。Cold

Repairの方法は概ね次のとおりである。

(a) 割れ部のガウジング、予熱100℃

(b) Inconel 182又はIncoweld Aによる補修溶接

(c) 溶接SequenceとしてTwo Layers Refinement法の採用 (d) 250℃/4hrsの水素除去Soakingに引続くHot Grinder

Cold Weldによる補修実績は次のとおりである。

(a) HP Steam Chest(Thermal Fatigue Cracks due to Internal Stress Concentration)

1991及び1999年に施工 2000年のUnit Closeまで適用 (b) IP Steam Chest(Thru Wall Crack)

10,000hrs/450start-ups運転した。

(c) HP Steam Chest Plug Repair(100mm depth Cracks in 180mm thick Plug Weld)

Plug Weld全周をCold Weld補修した。Replacementまで2年間隔の検査に合格

② Requirements of B31.1 Chapter VII, Operation and Maintenance, Joe Frey, Stress Engineering

6/9/85のMohaveのType IV割れの後、Appendix VがB31.1に追加された。火力配管規 格が運転を意識した開始点であった。Chapter VIIはOperation and Maintenance Factor であり、同様な内容がB31.4, B31.8及びB31.11にも規定された。O&Mの対象は、外径4in.

以上の配管で、750 deg-F以上、1025 psig以上のものである。検査と寿命予測が重要である。

Creep PI579-1/ASME FFS-1 Part 10 FAC PI579-1/ASME FFS-1 Part 4&5 Fatigue UT, every 100,000 hours

③ Update on Alloy 33 for Weld Overlay of Water Walls and Superheaters in Coal-Fired Power Plants, Larry Paul, ThyssenKrupp VDM USA

Overlay材料として、Alloy 625(22Cr)、Alloy 622(22Cr)、309(23Cr)、FM52(30Cr)、

Alloy 33(33Cr)、FM72M(37.5Cr)及びFM72(44Cr)を選定している。Water Wall に 対するOverlayの実機暴露試験を7基のBoilersで実施した。6基のBoilerでAlloy 33に割 れは認められなかったが、1基で割れが認められた。割れはMontourで6年暴露したAlloy 33 に認められ、周方向割れであった。原因は大きな応力と環境の要因である。Alloy 33の割れ はBoiler Specificである。他の6基のプラントの暴露試験結果では、Alloy 33は優れた耐食 性を示している。

SuperheaterのOverlayではAlloy 33に非常に僅かの腐食が認められた。

Alloy 33の利点は、Alloy 622に比してLow Ni, Low Moであり、コスト面で有利である こと。また、耐食性の観点では、FM72(44Cr)と同等であること。

④ Repair Welding of Single Crystal Turbine Blades, J.N. DuPont, Lehigh University ガスタービン用の単結晶ブレード(CMSX-4ニッケル超合金)の溶接補修方法について、

LBW、EBW 及び GTAW の適用の検討を行った。補修溶接部に生成する Stray Grain

Formation FractionはEBWが最も少ない(180Wで比較)。また、Powerが小さいほど少 ない。EBWとGTAWを比較すると、EBの方が割れ感受性が低い。Stray Grain Formation を最小化し、凝固割れを避けるためには、小さい溶接入熱が望ましく、大きな温度勾配が望 ましい。

⑤ Microstructure and Creep Property of Long-Term Serviced Mod. 9Cr-1Mo Steels After Repair Welding, Keiji Kubushiro, IHI

577℃で195,000 時間実機使用した2.25Cr-1Mo 鋼溶接部の補修を行ったことがある。同 様な方法で改良9Cr-1Mo鋼の溶接補修について検討した。日本での改良9Cr-1Mo鋼の適用 は1993年が最初であり、IHIは9プラントの実績がある(日本では21プラントに適用実績 がある。)。改良9Cr-1Mo鋼溶接部にクリープボイドが形成されるのは、クリープ寿命の40%

を超えた後である。

593℃で、約80,000時間実機運転した溶接部を補修し、HAZ in Base Metal及びHAZ in Weld Metal試験片を採取し、625、650及び675℃でクリープ試験を行った。HAZ in Base

Metal 試験片はクリープ破断曲線の 99%信頼限界以内の寿命であったが、HAZ in Weld

Metal試験片はクリープ破断曲線の99%信頼限界を下回る寿命であった。

実機で使用された材料のフェライト生成のノーズは、未使用材のそれに比して短時間側に シフトしていて、溶接金属では更に短時間側にシフトしていた。この結果、溶接冷却時に容 易にフェライト生成が生じ、クリープ強度が低下する。

⑥ Weld Metal Phase Transformation During PWHT of Grade 91, B.T. Alexandrov, OSU 厚さ0.75in.のGr.91のSAW溶接部(Mn+Ni=1.25)のPWHT時の相変態について検討 した。この材料の予測A1温度は767℃である。1.0≦Mn+Ni≦1.5のASMEのPWHT温度

は790℃であるので、この温度を中心として相変態に及ぼすPWHT温度、保持時間及び冷却

速度の影響を検討した。実験はグリーブル試験機(試験片φ0.25in.)で行った。

通常のPWHTを行うと硬さは195HVとなる。クリープ強度が低い場合には硬さは155~