ガバナンス関連の商法改正他
一 平成 14 年商法改正と機関構造
Ⅰ.委員会等設置会社の機関構造
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.委員会等設置会社の定義・概要等以下では、コーポレート・ガバナンス改革に関する平成
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年商法改正の内容 を踏まえて、改正後の機関構造と問題点について述べたい(1)。委員会等設置会社とは、大会社またはみなし大会社であって、委員会等設置会 社に関する特例 (商特第2章第4節)の適用を受ける旨の定款の定めのあるもの をいう(商特1条の2第3項)。
株主総会、取締役会、代表取締役、監査役(会)からなる従来型機構とは別に、
株主総会、取締役会(内部委員会として監査委員会、指名委員会、報酬委員会)、執行
役(代表執行役)からなる米国型の機関構造を採用できるものとしたものである。
強制されるものではなく、定款の定めにより選択することを大会社およびみなし 大会社に認めたものである(2)。委員会等設置会社となることを選択しない会社 は、従来型の機関構造を維持することになる。選択しない主な理由は委員会等設 置会社制度が従来型の機関構造と大きく異なっていること、各委員会を構成する 取締役の過半数は社外取締役でなければならず、社外取締役の導入を強制するこ とは時期尚早であると考えられたことによろう(3)。
委員会等設置会社になることができるのは、大会社またはみなし大会社のみと される(商特1条の2第3項)。大会社またはみなし大会社では会計監査人が選任 されること、商法特例法上の小会社については監査役の権限等が制限されてお り、商法特例法上の小会社が委員会等設置会社となることは不自然であることな
第一章 平成14年コーポレート・ガバナンス関連の商法改正他
どによるものとみられる。ここに、大会社とは資本の額が
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億円以上の株式会社、或いは最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が
200
億円以上の株 式会社であり、みなし大会社とは資本の額が1
億円を超え、定款で会計監査人の 監査を受ける旨を定めた株式会社である。委員会等設置会社には、指名委員会、監査委員会、報酬委員会、及び
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人以上 の執行役が1
機関として置かれる(商特21条の5第1項)。委員会等設置会社では、株主総会の権限がやや縮減される。取締役会の構成、
権限等は従前の機関とほぼ同じであるが、執行役に業務執行の意思決定権限を大 幅に委譲することが可能である(4)。
取締役は取締役としては業務執行を行えず、執行役が会社の業務執行を行う。
代表取締役は置かれず、代表執行役(執行役が1人の場合はその執行役)が会社を代 表する。
各々取締役
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人以上からなる監査委員会、指名委員会、報酬委員会が設置され る。各委員会とも構成員の過半数が社外取締役でなければならない。3
つの委員 会設置、執行役制度採用、監査役(会)・代表取締役の不設置がセットになってお り、全て必要である。従来型機構では、取締役会の内部委員会を設け定款等で社 内権限を付与することは可能であるが、任意のものであり、委員会等設置会社に おける委員会の権限は法的には持たない。社外取締役の選任は、このため最低
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人以上必要となる。各委員会、執行役に 対して取締役会が業務執行の決定権限を大幅に委譲し、執行役による執行と取締 役会による監督の分離等を図り、取締役会の監督機能を高め、同時に迅速な決定 を可能にする。委員会等設置会社は、一定の要件の下で、利益処分・損失処理を取締役会決議に より確定することが認められ、これに対応した形で取締役の任期は
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年とされる。取締役会の監督機能強化のもとで、取締役・執行役の対会社責任は従来型機構 よりも軽減される。特に監査委員会は、取締役・執行役の業務執行を監査するが、
監査委員会の構成員である監査委員は過半数が社外取締役であり、また全員が取 締役会の構成員である取締役であり、取締役会を通じて監督機能を果たすもので ある(5)。
監査役(会)は設けられない(商特21条の5第2項)。これは監査役制度を否定
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一 平成14年商法改正と機関構造 会制度を設けるときは、監査役制度が不要になると考えられただけである(6)。監 査役設置会社においても、既に実務上執行役員制度が発展・定着し、更に平成
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年12
月商法改正における監査役制度等の改正、有意性について議論はあるもの の重要財産委員会制度も創設され、これらによって会社の健全且つ効率的な経営 システム構築は可能である。即ち、今般の改正の狙いは、会社にとっての選択肢 の増大であり、制度間競争によって、各々の適合的な経営管理機構構築を目指す ものといえよう(7)。以下では、その内容についてみていきたい(8)。
(表) 従前の大会社と重要財産委員会設置会社、委員会等設置会社の機構 1、従前の大会社における機関
2、委員会等設置会社の機関
株 主 総 会
取 締 役 会 監 査 役 会
代表取締役・業務担当取締役
取締役の選任 監査役の選任
選任 適法性監査
適法性監査 業務執行の監査
・適法性
・妥当性
株 主 総 会
指名委員会 取締役候補者の決定
(メンバーの過半数は社外取締役)
執 行 役
・取締役会から委任された業務の決定
・業務の執行
取締役の選任・解任
・適法性監査
・妥当性監査
取 締 総 会
報酬委員会 執行役・取締役各人の報酬内容 の決定
(メンバーの過半数は社外取締役)
監査委員会 1.業務執行の監査 2.会計監査人の人事案の決定
(メンバーの過半数は社外取締役)
報
告 報
告 報
告
選任・解任 選任・解任 選任・解任
・適法性監査
・妥当性監査 執行役の
選任・解任
第一章 平成14年コーポレート・ガバナンス関連の商法改正他
(資料) 長谷川俊明「経営機構改革の商法大改正と企業の対応」みずほ総合研究所資料, 大塚 章男・高野一郎「平成14年商法改正のすべて」中央経済社
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.委員会等設置会社の機関、特例等(
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) 委員会等設置会社における取締役の任期・権限従来型機構では、取締役の任期は
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年を超えることができないものとされる(商256条第1項、第3項)。委員会等設置会社における取締役の任期は、就任後
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年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとされる(商特21条の6 第1項)。委員会等設置会社では、会計監査人および監査委員会の適法意見がある場合、
利益処分・損失処理案は定時総会の承認を不要とし、取締役会の承認によって確 定する。
利益処分・損失処理案の確定について、定時総会から取締役会の権限に移譲す ることの均衡から、株主に取締役の信任を問う機会を毎年付与せんとしたもので
3、重要財産委員会設置会社の機関
代 表 取 締 役
選解任・監督
適法性監査
取締役会
社
+ 外
重要な財産の処分等および多額の借財について決定 合計10人以上+1人は社外取締役
重要財産委員会
社 外
社 外 監査役会
(平成17年5月1日 より社外半数以上)
適 法 性 監 査
株 主 総 会
選解任 報酬決定
報酬の決定 選解任
会計監査人
一 平成14年商法改正と機関構造 ら外されるため、決議事項がない株主総会となることを回避するという面もある とされる(9)。
取締役は、商法特例法または商法特例法に基づく命令に別段の定めがある場合 を除き、委員会等設置会社の業務を執行することができない(商特21条の6第2 項)。委員会等設置会社では、取締役会は業務の決定を取締役にさせることがで きないとされること(商特21条の7第2項)と共に、取締役と執行役を峻別し、監 督と執行との分離により取締役会の監督機能を高めるものである。このため、業 務担当取締役、使用人兼務取締役は、委員会等設置会社においては認められない
(10)。また同様に代表取締役も認められない(11)。
取締役を執行役として選任することはでき(商特21条の13第5項)、執行役と の兼務自体は認めているが、分離の徹底化は図られていない。取締役全員を社外 取締役、非業務執行者とした場合、適切な業務執行決定、執行役への実効的な監 督ができない怖れがあること、米国においても監督と執行との分離の徹底は必ず しも図られていないこと等が背景にある。もっとも、米国の場合は概ね取締役会 の構成員はそもそも社外取締役が大半であり、これに
CEO
等の経営幹部が加わ っており、その限りでの執行役員兼務が多いのではないかと思料される。そして 後述の通り、CEO
(最高経営責任者)と取締役会議長との兼務が米国の問題点の1
つとして指摘されている。委員会等設置会社では、業務担当取締役は認められ ないが内部取締役が執行役兼務であることは否定されない(12)。このために3
委員 会を法定し、その活動を通して取締役会の監督機能の実質化、端的に言えば役員 人事権、報酬決定権を社外取締役中心の委員会へ移行させ、これを担保として経 営権限を執行役へ委譲し、経営の機動性を確保している(13)。CEO
等以外に果た してどの程度の兼務者があり得るかは今後の経営機構設計の問題となろう(14)。(
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) 委員会等設置会社における取締役会の権限取締役会の権限は以下の通りである(商特21条の7第1項)(15)。
①経営の基本方針。
②監査委員会の職務の遂行のために必要なものとして法務省令で定める事項。
③執行役が数人ある場合における執行役の職務の分掌および指揮命令関係その 他の執行役の相互の関係に関する事項。
④執行役から取締役会の招集の請求を受ける取締役、その他委員会等設置会社 の業務を決定し、取締役および執行役の職務の執行を監督する。