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平成24年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙状況

ドキュメント内 平成24年 年次報告書 (ページ 44-48)

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第2節  平成24年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙状況

第1項 組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙状況

1 検挙状況

 平成24年中における組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は、犯罪収益等

(注)隠匿事件158件、犯罪収益等収受事件80件の合計238件であった(表5-2参照)。

 (注)犯罪収益等とは、犯罪収益、犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産が混和した財産をい う(組織的犯罪処罰法第2条第2項から第4項)。

 組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、空き巣等の窃盗に係るもの が73件と最も多く、続いて、詐欺に係るものが65件、出資法・貸金業法違反であるヤミ金融事犯に係るも のが27件、わいせつ物頒布等に係るものが20件と続いている。

2 検挙事例からみるマネー・ローンダリングの手口

(1) 犯罪収益等の隠匿方法の例

 平成24年中の犯罪収益等隠匿事件は、他人名義口座への振込入金の手口を用いるものが多くを占めて おり、他人名義口座がマネー・ローンダリングの主要な犯罪インフラとなっている。

 このほか、偽名使用等により盗品等を売却する手口、犯罪収益の取得原因につき事実を仮装する手口等 がみられ、様々な方法によって捜査機関等からの追及を回避しようとしている状況がうかがわれる。

【事例1】(株式譲渡に係る多額詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿)

 会社役員の男は、化粧品製造業の許可を受けずに化粧品の成分表示を行うなどして化粧品を製造する とともに、化粧品の品質管理等を行わないまま販売するなど薬事法に違反する行為を繰り返していたが、

それらの違法行為が発覚した際には販売した化粧品の回収措置が必要となり、会社に多大な損害が生じ ることを知りながら、それを隠して男が所有する同社の株式を売却し、株式を購入した会社から約6億 8,000万円を騙し取り、そのうちの約4億1,000万円を元部下の口座に入金して隠匿していたことか ら、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。 (1月 島根)

表5-2【組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数】

区分 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年

法人等経営支配(9条) 0

(0) 0

(0) 0

(0) 1

(0) 0

(0) 1

(1) 0

(0) 1

(0) 1

(0) 0

(0)

犯罪収益等隠匿(10条) 45 (25) 50

(29) 65

(21) 91

(18)137

(35)134

(41)172

(49)139

(46)150

(43)158

(27)

犯罪収益等収受(11条) 11 (10) 15

(11) 42

(27) 42

(35) 40

(25) 38

(21) 54

(41) 65

(44) 92

(38) 80

(28)

合 計 56

(35) 65

(40) 107

(48)134

(53)177

(60)173

(63)226

(90)205

(90)243

(81)238

(55)

注:括弧内は、暴力団構成員等によるものを示す。

第5章 マネー・ローンダリング関連事犯の取締り

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マネー・ローンダリング関連事犯の取締り

【事例2】(盗難記念硬貨に係る盗品等有償処分あっせん及び犯罪収益等隠匿)

 無職の男は、知人から盗難被害に係る多数の記念硬貨の両替依頼を受け、偽名を記載した両替依頼書 を銀行に提出して現金約17万円に両替していたことから、盗品等有償処分あっせん及び組織的犯罪処

罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。 (7月 埼玉)

【事例3】(高額窃盗事件に係る犯罪収益等隠匿)

 無職の男らは、会社経営者の家から現金約1億6,000万円を盗み、そのうちの約1億5,000万円を 山林内の土中に埋めて隠匿していたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。

(9月 熊本)

(2) 犯罪収益等の収受方法の例

 平成24年中の犯罪収益等収受事件は、売春防止法違反、窃盗、詐欺等に係る犯罪収益を収受する事件 等がみられ、犯罪者が入手した犯罪収益等が、様々な方法で別の者の手に渡っている状況がうかがわれる。

【事例4】(盗難自動車等に対する盗品等有償譲受け及び犯罪収益等収受)

 無職の男は、知人に自動車を盗むことを依頼し、盗難被害に係る自動車及びナンバープレート2枚を 5万円で買い受けて収受していたことから、盗品等有償譲受け及び組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等

収受)で検挙した。 (2月 警視庁)

【事例5】(売春防止法違反事件に係る犯罪収益等収受)

 無店舗型性風俗店の元経営者の男は、顧客との連絡用携帯電話等を引き渡した謝礼として、売春によ り得られた収益であることを知りながら、現経営者から現金約46万円を収受していたことから、組織 的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で検挙した。 (7月 滋賀)

3 暴力団構成員等が関与するマネー・ローンダリング事犯

 平成24年中に組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯で検挙されたもののうち、暴力団構 成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)が関与したものは、犯罪収益等隠 匿事件で27件及び犯罪収益等収受事件で28件の合計55件で、全体の23.1%を占めている。

 暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、詐欺に係るものが17件、

窃盗に係るものが10件、ヤミ金融事犯に係るものが7件、売春事犯に係るものが6件等となっており、暴 力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。

(1) 暴力団構成員等が関与した犯罪収益等の隠匿方法の例

 平成24年中の暴力団構成員等による犯罪収益等隠匿事件については、詐欺に係るものが9件、ヤミ金 融事犯に係るものが6件、窃盗に係るものが4件等となっている。

 犯罪収益等の隠匿の手口としては、詐欺やヤミ金融等で犯罪収益を得る際に、他人名義口座を利用する などして犯罪収益の帰属を仮装するものが多い。

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【事例6】(医薬品無許可販売の薬事法違反事件に係る犯罪収益等隠匿)

 六代目山口組傘下組織構成員の男らは、薬局の開設や医薬品の販売の許可を受けずに代金引換郵便を 利用して医薬品を販売し、複数の客から、郵便局員を介して販売代金約2,000万円を他人名義の口座 に振込入金させていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。(3月 千葉)

【事例7】(大規模な貸金業法等違反事件に係る犯罪収益等隠匿)

 無登録で貸金業を営んでいた男らは、資金繰りに窮した中小企業の経営者を対象に違法な高金利で金 銭の貸付けを行い、複数の借受人に、返済金合計約3億7,000万円を営業実態のない法人名義の口座 に振込入金させていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙するとともに、前記 口座に残存していた約200万円の預金債権に対して起訴前の没収保全命令の発出を受けた。

 前記口座は、六代目山口組、五代目工藤会等複数の暴力団の構成員が、返済金を振込入金させるため、

多数の営業実態のない法人の名義で開設した数百の口座の一部であり、それら口座を金融機関から騙し 取っていたことから、当該暴力団構成員を口座詐欺で検挙した。

 また、暴力団構成員らが口座開設に利用した法人の設立事務の手助けを行った行政書士は、犯罪収益 移転防止法に規定する顧客等の本人確認等の措置を履行していなかったことから、国家公安委員会・警 察庁の意見陳述を受けて広島県知事から是正命令が発出されるとともに、行政書士法に定められた帳簿 を備えていなかったことから同法違反で検挙した。 (8月 福岡)

金融機関 ヤミ金融業者

③架空法人名義の  通帳等を詐取

④架空法人名義口座  (口座詐欺被害)

⑥高金利貸付 ⑤架空法人名義

 口座の供給 口座詐欺に

利用 ②本人確認を経ず  設立された法人  (架空法人)

暴力団関係者

⑦営業実態のない法人名義の口座に 返済金を振込ませる

①架空法人設立依頼

→本人確認等の不履行

設立事務代理 帳簿等の不備

行政書士

多数の借受人 貸金業法等違反

口座詐欺

預金債権約200万円に 起訴前の没収保全命令

組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)

行政書士法違反

犯罪収益移転防止法に基づく 是正命令

第5章 マネー・ローンダリング関連事犯の取締り

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【事例8】(国際的な多額詐欺事件に係る犯罪収益等隠匿)

 極東会傘下組織幹部及びナイジェリア人の男らは、米国内で発生した詐欺事件の被害金約2,400万 円が、日本国内に開設された銀行口座に国外から振り込まれた際、銀行担当者に対し商品の買付代金等 と虚偽の説明をし、その後、払戻手続をするに当たり、商品の買付代金等と記載された虚偽の取引明細 書を提出するなどして、これらの被害金が正当な事業収益であるように装ったことから、組織的犯罪処 罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。 (12月 新潟・警視庁)

(2) 暴力団構成員等が関与した犯罪収益等の収受方法の例

 平成24年中の暴力団構成員等による犯罪収益等収受事件については、詐欺に係るものが8件、売春事 犯に係るもの及び窃盗に係るものがそれぞれ6件等となっている。

 犯罪収益等の収受の形態としては、みかじめ料や上納金名目で犯罪収益を収受している事件等がみられ、

暴力団がその組織や威力を背景に犯罪収益を獲得している状況がうかがわれる。

【事例9】(売春防止法違反事件に係る犯罪収益等収受)

 六代目山口組傘下組織幹部の男は、配下組員が経営する派遣型売春クラブの収益から約3万8,000 円を受け取っていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)で検挙した。 (3月 大阪)

4 来日外国人によるマネー・ローンダリング事犯

 平成24年中に組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯で検挙されたもののうち、来日外国 人によるものは17件で、全体の7.1%を占めている。

 その内訳は、犯罪収益等隠匿事件が12件、犯罪収益等収受事件が5件であった。事件態様別に見ると、

地下銀行事犯に係るもの及び窃盗に係るものがそれぞれ5件、詐欺に係るものが4件、商標法違反に係るも のが2件等となっており、来日外国人犯罪の犯人らが、日本国内に開設された他人名義口座を利用するなど、

様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。

【事例10】(偽ブランド品販売事件に係る犯罪収益等隠匿)

 韓国人の男らは、偽ブランド品を代金引換郵便を利用して販売し、その客から、郵便局員を介して代 金約1万9,000円を他人名義の口座に振込入金させていたことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収

益等隠匿)で検挙した。 (5月 大阪)

【事例11】(海外で発生した身代金目的略取事件に係る犯罪収益等隠匿)

 中国人の男は、オランダ国内で発生した身代金目的略取事件の身代金約1億8,000万円が、日本国 内に開設された銀行口座に国外から振り込まれた際、銀行担当者に対し商取引に関する手付金等と虚偽 の説明をするとともに、虚偽の商取引に関する契約書を示すなどして、振り込まれた身代金が正当な事 業収益であるように装ったことから、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で検挙した。

(11月 神奈川)

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