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業者としての販売業者は、最終商品を購入するときに、最終消費者の好みを無視すること はできない。また、販売段階において、垂直的制限は通常、供給者と購入者の間の製品の 販売だけでなく、製品の再販売にも関係している。通常は異なる流通形態が競合しており、

市場は、一般には、適用される流通形態によっては規定されない。供給者が通常、製品を ポートフォリオで販売する場合、購入者が個別製品でなくポートフォリオ全体で代替性を 考えるときは、ポートフォリオ全体が製品市場を決定することもある。地理的卸売市場は、

販売業者が職業的購入者であるため、一般に製品が最終消費者に再販売される小売市場に 比べて広範囲である。このため、しばしば卸売市場は国レベルまたはそれ以上で確定され る。しかし、小売市場であっても、市場条件が均質で、地域または地方の集客エリアが重 複する場合には、最終消費者の活動範囲より広くなり得る。

(90) 垂直的協定が異なる取引段階で営業する3当事者間のものである場合、一括適用免 除規則が適用されるためには各当事者の市場シェアが30%以下でなければならない。一括 適用免除規則第3条2項で定めるように、多当事者間の契約において、一事業者が契約商品 またはサービスを一方の契約当事者から購入し、当該契約商品またはサービスを他方の契 約当事者に販売する場合、当該事業者の市場シェアが購入者としておよび供給者としてい ずれも30%の上限を超えないときにのみ、一括適用免除が適用される。例えば、製造業者、

卸売業者(または小売業者団体)、および小売業者の間の協定において、競業避止義務が 合意されている場合、一括適用免除の利益を受けるためには、製造業者および卸売業者(ま たは小売業者団体)は各販売市場における市場シェアが30%を超えてはならず、かつ、卸 売業者(または小売業者団体)および小売業者は各購入市場の市場シェアが30%を超えて はならない。

(91) 供給者が自社製品およびその修理用部品または取替用部品の両方を製造する場合、

その供給者はしばしば、アフターサービス市場において修理用部品または取替用部品の唯 一または主要な供給者となる。これは、供給者(OEM供給者)が修理用部品または取替用 部品の製造を下請に出す場合にも生じ得る。一括適用免除の適用における関連市場は、関 係する制限の効果、製品の耐用期間および修理または取替費用の重要性等の個別の事情に 応じて、スペア部品を含めての自社製品市場であったり、また別々の自社製品市場とアフ ターサービス市場とであったりする34。実際に、決定すべき問題は、購入者の大部分が製品 の生涯コストを考慮して選択するか否かである。生涯コストを考慮して選択する場合は、

34 例えば、第25次競争政策に関する報告書(1995年)87段で説明されているPelikan/Kyocera、Case No IV/M.12 — Varta/Boschにおける欧州委員会決定91/595/EEC, OJ L 320, 22.11.1991, p. 26、Case No IV/M.1094 — Caterpillar/Perkins Enginesにおける欧州委員会決定 OJ C 94, 28.3.1998, p. 23、Case No IV/M.768 — Lucas/Varityにおける欧州委員会決定 OJ C 266, 13.9.1996, p. 6を参照。また、EU競争法に おける関連市場の定義に関する欧州委員会通知の56段を参照。

自社製品とスペア部品を合わせた一つの市場があることを示している。

(92) 垂直的協定が契約商品の供給に加えて、供給者の商標の使用に関する条項など、購 入者による契約商品の販売に役立つ知的財産権条項を含む場合、供給者が契約商品を販売 する市場における供給者の市場シェアが、一括適用免除規則の適用に関連してくる。フラ ンチャイザーが再販売の目的で商品を供給するのでなく、一連のサービスおよび商品に知 的財産権条項を組み合わせて提供し、それがあわせてフランチャイズに提供されるビジネ ス手法を形成する場合、フランチャイザーは、ビジネス手法の提供者としての市場シェア を考慮する必要がある。この目的のために、フランチャイザーは、当該ビジネス手法が活 用されている市場、すなわち、フランチャイジーがエンドユーザーに商品またはサービス を提供するために当該ビジネス手法を活用する市場における自社の市場シェアを計算する 必要がある。フランチャイザーは、フランチャイジーがこの市場において供給する商品ま たはサービスの価格を自社の市場シェアの基礎としなければならない。このような市場に おいて、競争関係にある事業者は、フランチャイズを提供する別のビジネス手法の供給者 である場合もあるが、フランチャイズを行っていない代替可能な商品またはサービスの供 給者である場合もある。例えば、ファーストフードサービスの市場がある場合、市場の確 定にかかわらず、その市場で営業するフランチャイザーは、当該市場における自社のフラ ンチャイジーの関連売上高に基づいて、自社の市場シェアを計算しなければならない。

3. 一括適用免除規則に基づく市場シェアの計算

(93) 市場シェアの計算は、原則として価格データに基づいて行う必要がある。価格デー タが入手不可能な場合は、実証データに基づく推計値を使用することができる。そのよう な推計値は、数量データなど他の信頼しうる市場情報に基づくことができる(一括適用免 除規則第7条(a)を参照)。

(94) 社内生産、すなわち自社で使用するために中間財を生産することは、競争制限の一 つとして、または市場における企業の地位を強化するものとして、競争に関する分析にお いて非常に重要性が高いことがある。しかし、中間商品およびサービスの市場の確定およ び市場シェアの計算においては、社内生産は考慮しないものとする。

(95) ただし、最終商品の二重流通、すなわち最終商品の生産者がまた当該市場における 販売者でもある場合は、垂直統合された販売業者および代理店を経由した当該生産者の自 社商品の販売を市場の確定および市場シェアの計算に含める必要がある(一括適用免除規 則第7条(c)を参照)。「統合された販売業者(Integrated distributors)」とは、一括適

用免除規則第1条2項の意味における関連事業者(connected undertakings)である35

35 これらの市場の確定および市場シェアの計算においては、統合された販売業者が競合事業者の製品も追 加的に販売しているか否かは関係しない。