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崩壊分岐比の上限

∆ EMbc VS ∆E

3.4 探索結果

3.4.2 崩壊分岐比の上限

5.200 5.225 5.250 5.275 5.300 0

2 4 6

8

Mbc

(Exp Data)

Mbc(GeV/c )

Number of event

2

図 3.24: Mbc分布のフィット結果:

エラーバーつきの点が実験データ、実線はフィット結果を表している。5.28GeV /c2 傍のピークは正規分布関数、それ以外は位相空間分布を表現するARGUS関数として、

これら2つの和をとった関数でフィットした。(詳細は本文参照)

B0 →J/ψγの事象数 Nsig 0.1±6.5事象

検出効率 ε 35.4±0.6 %

B0の数 NB0 (2.77±0.03)×108事象

J/ψ→l+lの崩壊分岐比 Br(J/ψ→l+l) 11.87±0.12%

表 3.2: 崩壊分岐比算出に使用した値 として考慮した。最新の世界平均[10]によれば

Br(B0 →J/ψπ0) = (2.05±0.24)×105

であるので、相対誤差で11.7%の不定性がある。よって、B0 J/ψπ0 バックグラウンドの不定性は、モンテカルロシミュレーションによる期 待値にこの不定性を乗じて、1.6事象と見積もった。

次にその他の系統誤差(systematic error)について表3.3にまとめると ともに、それらについて説明する。

B

0

J/ψπ

0

バックグラウンドの不定性 1.6 事象

系統誤差 5.3 %

シグナルのモンテカルロの統計 1.6 %

飛跡の再構成      2.0 %

レプトンの同定         3.9 % γの検出効率         2.0 %

Br(J/ψ→l+l) 1.0 %

NB0 1.1 %

表 3.3: 崩壊分岐比測定の誤差

飛跡の再構成

荷電粒子の飛跡に対する検出効率の不定性によるものである。この 不定性は

η →π+ππ00 →γγ) η→γγ

の崩壊過程を用いて見積もった。2つの崩壊モードで得られるηの 個数の比をとり、

RN = N→π+ππ00 →γγ)) N→γγ)

を求める。η π+ππ0π0は、π0 γγ 過程と分母のη γγ 過程とが同じ終状態となるので、2つの比をとるとπ+πの検出効 率のみが寄与する。そこでデータとモンテカルロシミュレーション のRNを比較し、両者の差を荷電粒子2個の検出効率の不定性とす る。よって荷電粒子1個あたりの不定性はその半分である。

その他にもいくつかの方法がとられている。その1つが、D+ D0π+過程において、D0 →KS0π+πが起こり、さらにKS0 →π+π が生じる過程の利用である。最後に生じる2つの荷電π中間子のう ち、片方を無視しても、Ks0D0の質量を束縛条件として使うこ とにより、無視した荷電π中間子の運動量を算出することができ、

D+を再構成することができる。これを部分再構成と呼ぶ。通常よ く行われるD+の事象数と荷電π中間子を無視せずに全ての粒子 を捕まえて再構成した場合に得られたD+の事象数の比は、KS0 か ら生じた荷電π中間子1個の再構成の効率となる。これを実験デー タとモンテカルロの場合で比較し、その差を荷電粒子1個あたりの 不定性として見積もっても、ηを用いた場合と無矛盾な結果を得る。

レプトンの同定

J/ψを再構成するレプトンの識別効率の不定性である。 第三章に 既に詳細な記述をしたので、重複を防ぐためここでは割愛する。

γ(光子)の検出効率

e+e→e+eγ反応を用いて、高エネルギーの光子の検出効率につ いて、実験データとシミュレーションデータの間に差が見られるか を調べた結果、1.5GeV以上の光子の検出効率の不定性は2%と見 積もった。[26]

J/ψ→l+lの崩壊分岐比

Br(J/ψ→l+l) = 11.87±0.12 %[10] であり、相対誤差は1.0%で ある。

NB0

ハドロン事象の形状を表現するパラメータの分布からB 中間子対

生成事象数を決定しているが、この際Bhabha散乱やµ粒子対生成 事象の数を比較して事象数の規格化定数の不定性を見積もるととも に、ビームガス事象の混入している割合の不定性を算出し、これら を合わせて相対誤差1.1%と見積もられている。

以上、統計誤差とB0 J/ψπ0 バックグラウンドの不定性と比べ、

その他の系統誤差は十分に小さいと言える。統計誤差とB0 J/ψπ0 バックグラウンドの不定性の和をとり、Nsigの不定性を8.1事象とした。

90%C.L.(Confidence Level)の上限値は平均値をµ、不定性をσとおいて、

µ+ 1.28σで与えられるので、

0.1 + 8.1×1.28 = 10.5事象

Nsigの90%C.L.上限値となる。これを本小節冒頭の崩壊分岐比を与え る式に代入し、

Br(B0 →J/ψγ)<9.0×107 (90%C.L.) を得た。

4 章 まとめ

Belle検出器が収集した2.77×108B中間子対生成事象のデータを用い て、B0 →J/ψγ崩壊事象を再構成し、シグナル事象数Nsig

Nsig = 0.1±6.5事象

と得た。この結果はシグナル事象は見出せずゼロ事象であったことと無 矛盾である。系統誤差も考慮した上で得た崩壊分岐比の上限値は、

Br(B0 →J/ψγ)<9.0×107 (90%C.L.) であった。

今回の測定は、これまでにBaBar実験によって行われた探索で得られ た上限値1.6×106を2倍近く更新するものである。

関連図書

[1] M.Nakao et al, Belle collaboration, Phys.Rev.D69 112001(2004) B.Aubert et al, BaBar collaboration, Phys.Rev.D70 113006(2004) [2] D.Mohapatra et al, Belle collaboration, Phys.Rev.Lett.96,

221601(2006)

B.Aubert et al, BaBar collaboration, Phys.Rev.Lett.92, 111801(2004)

[3] B.Aubert et al, BaBar collaboration, Phys.Rev.D70 091104(2004)

[4] A.Carter and A.I.Sanda,Phys.Rev.Lett.45,952(1980);Phys.Rev.D23,1567(1981) [5] M.Kobayashi and T.Masukawa,Prog.Theor.Phys49,652(1973)

[6] J.H.Christenson,J.W.Cronin,V.L.Fitch and R Turlay, Phys.Lett.13,138(1964)

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[14] 井本絢子,B0 →J/ψπ+π崩壊の研究,修士学位論文(2004)

[15] 岡田葉子,B± →J/ψρ±過程の観測,修士学位論文(2003) [16] Anders Rydat el,BAD 522 v6

[17] R.Brun et al,GEANT321 CERN Report No.DD/EE/84-1 (1987) [18] K.Hanagaki and et al, BELLE Note 312(2000)

[19] E.Nakano, BELLE Note 338(2000) [20] M.C.Chang, BELLE Note 884(2007)

[21] Rajeev K Sharma and et al, BELLE Note 876(2006) [22] B.Aubert et al, Phys.Rev.Lett,91,061802(2003) [23] A Fitting and Platting Package Using MONUIT [24] J.Yashima and et al, BELLE Note 491(2002) [25] Belle Collaboration,BELLE-CONF-0201(2002)

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[27] P.Koppenberg,Belle Note 665(2004) [28] 小林誠,消えた反物質(1997)

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[31] 横山広美,よくわかる素粒子の基本と仕組み(2006)

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[33] 藤田真由子,B0 →J/ψχc1π0過程の観測,修士学位論文(2003)

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