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* 山下 高賢

ドキュメント内 33308 (ページ 30-33)

YAMASHITA Takayoshi

**

西日本旅客鉄道株式会社鉄道本部技術部主査

西日本旅客鉄道株式会社鉄道本部技術部担当マネジャー

ブレーキ 中 力行中

架線電圧V)

0

1830V

電圧上昇分(V)=き電抵抗(Ω /km)×距離(km)×回生電流(A)

1700V

回生絞り込み制御の範囲

回生電流を絞り電圧上昇を抑制(軽負荷回生制御)

過電圧による車両側、き電側の機器破壊を防止

エネルギー損失

機械(空気)ブレーキで補足 熱エネルギー

メンテナンスコストの増加

ブレーキ 中 力行中

1830V

電圧上昇分(V)=き電抵抗(Ω /km)×距離(km)×回生電流(A)

1700V

エネルギー損失 メンテナンスコストの増加 図−1 軽負荷回生制御動作の概要

321系車両 223系車両

写真−1 JR西日本の主力通勤・近郊形電車

制御が始まり、以降1830Vで完全に絞り込まれ るまで比例的に回生電流を減少させている。

(3)軽負荷回生制御が発生したデータの例 駅ブレーキ時の電力回生ブレーキのデータを 図−3に示す。これは通勤形電車(2M2T)の データで、グラフの上半分は架線電圧の時間ご との変化、下半分は列車速度ならびに回生電力 の時間ごとの変化を、それぞれ横軸である時間 を揃えて示している。

時 間 の 経 過 に 沿 っ て グ ラ フ を 追 う と 、 約 95km/hまで加速していた列車はグラフ中央の 縦の点線で示すタイミングでブレーキノッチを 投入し、減速を開始している。回生ブレーキ動 作と同時に架線電圧は上昇し、1700Vを超過し た時点で軽負荷回生制御が始まる。

一方で、同時に下の領域にある回生電力を示 すグラフが2本に分かれるが、これは「車両が 本来性能から演算した回生電力」と「軽負荷回

生制御によって絞り込まれた結果の実際の回生電力」を 示している。後者は電流絞り込みの分だけ値が低く、こ の二者の差は架線電圧が再び1700V以下になるまで継続 する。

この差を時間で積分したもの(2本の線で囲まれた面 積)が、軽負荷回生制御により発生した電力エネルギー 損失量であり、この例においては2.17kWhである。

(4)回生エネルギー損失量の実態

近郊形電車の「姫路〜米原」間の「上り新快速」運用 における停車駅ごとの回生エネルギー損失量を図−4に 示す。これは1編成分(3M5T)の合計値である。

このグラフにおいて、大阪を中心とした都市部より郊 外に向かうほど回生電力のエネルギー損失が増大する傾 向がみられるが、これは列車運転密度の差や沿線に設置 されているき電設備の容量・距離など複数の要因が考え られる。

通勤形車両のデータでも同様の傾向がみられたが、近 郊形と比較して速度が低いためか損失量の絶対値は小さ

かった。一方でローカル線用電車においては、運転密度や き電設備とエネルギー損失量との相関はみられなかった。

2.軽負荷回生制御の変更方針

軽負荷回生制御による回生エネルギー損失を低減させ るには、より高い電圧までブレーキ電流を絞り込まない ような制御パターンへの変更が一つの手段である。

当社の回生ブレーキ搭載車両の軽負荷回生制御の開 始・終端電圧値は、国鉄時代に回生車両が初導入されて 以来大きく変更されていないが、その間に主回路の制御 方式はチョッパ・添加励磁制御からVVVFインバータ制 御へ、またVVVF制御でもすべり周波数制御からベクト ル制御へと大きく進化しており、制御応答速度も格段に 高速になっている。これらの背景も鑑みて、主回路なら びに制御機器のハードウェアを変更することなく、制御 機器の内蔵ソフトウェアの変更のみで回生電力をより有 効に活用できる制御の実現を目指し、開発と検証に取り 組んだ。

               

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1200

1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000

回生電力kW架線電圧V) 速度km/h

列車速度 架線電圧

実際の回生電力 性能上の回生電力

エネルギー損失量 2.17(kWh)

ブレーキ時間(約50秒)

軽負荷回生制御 開始(1700V超)

終了

1700 1830

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 2100 2200 2300 2400 2500

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1200

1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000

列車速度 架線電圧

実際の回生電力 性能上の回生電力

エネルギー損失量 2.17(kWh)

ブレーキ時間(約50秒)

軽負荷回生制御 開始(1700V超)

終了

1700 1830

図−3 電力回生ブレーキ測定データの例

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

西

駅ブレーキ 時の1列車あたりの平均損失量

損失量(kWh

近郊形電車(8両編成3M5T)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

駅ブレーキ 時の1列車あたりの平均損失量

図−4 近郊形電車の回生エネルギー損失量

1700V 1830V

架線電圧(FC電圧)

絞込み開始

絞込み終端

(=回生失効)

1700V 1830V ブレーキ力大

ブレーキ力小

絞り込み開始

絞り込み終端

(=回生失効)

図−2 軽負荷回生制御の絞り込みパターン

図−5に今回検証する変更制御パターンとその考え方 を示す。「変更制御1」はブレーキ力の大小にかかわらず、

最大のブレーキ力パターンに当るまで絞り込まない変更 である。この場合、ブレーキ力が常用最大パターンより 小さい場合に絞り込み開始電圧は現状よりも高くなるた め、この電圧上昇分だけ損失削減が可能になる。

「変更制御2」は、ローカル線用電車への適用を検討し たもので、「変更制御1」を基準とし、絞り込み開始電圧 を1700Vから1750Vへ昇圧するパターンである。

「変更制御1」は既存制御の最大値以下での パターン変更であるが「変更制御2」は絞り 込みパターンの傾きが増加(=制御ゲインが 増大)することにより不安定状態になること が想定されるため、制御上の振動発生や回生 失効の増加がないことを確認しながら開発を すすめた。

3.検証結果

都市部線区において、近郊形電車の軽負荷 回生制御を「現行制御」から「変更制御1」

に変更し、長期的に省エネ効果を検証した結 果を図−6に示す。

省エネ効果は、図−4と同様、「姫路〜米原」

間の新快速運用における停車駅ごとの軽負荷 回生によるエネルギー損失量の比較で示し た。これより、現行制御と比較して約33%の 省エネ効果(回生エネルギー損失量の削減効 果)のあることがわかった。

一方「変更制御2」に変更したローカル線 用電車においては、調査線区全体の平均で約 72%の省エネ効果がみられ、変更制御1より 顕著な改善が確認できた。

4. 鉄 道 シ ス テ ム 全 体 で の 回 生 電 力 有 効 活用

今回紹介した開発を含め、当社では、「車 両と地上(き電・変電)のシステムとして、

バランス良く回生電力の有効活用を図る」を コンセプトとし、車両担当と電気担当が共同 で同テーマに取り組んでいる。図−7にその 取り組み体系を示す。

地上側においても、蓄電技術を活用したハ イブリッド地上蓄電システムなど開発の成果 が実用化され、それぞれが着実な効果をあげ ている。

5.おわりに

軽負荷回生制御の制御パターンを変更することで、制 御状態を悪化させることなく、絞り込みによるエネルギ ー損失量を低減し、電力コストの削減が可能なことを定 量的に検証できた。

今後も前述の「鉄道システム全体での回生電力の最大 限活用」を念頭に、省エネな交通手段としての鉄道をさ らにアピールできるよう、開発を展開していきたいと考 えている。

 

       

変更制御1を基準に制御応答性を 確保しながら開始電圧を昇圧する。

ブレーキ 力の大小に関わらず 最大パターンで絞り込む。

考え方

ローカル線用電車(125系)

近郊形電車(223系2000代)

通勤形電車(207系2000代)

適用 制御 概略図

変更制御2 変更制御1

分類

1700V 1830V

架線電圧(FC電圧)

ブレーキ 力大

ブレーキ 力小

1700V 1830V

ブレーキ 力大

ブレーキ 力小

(1700V)

架線電圧(FC 電圧)

ブレーキ力大

ブレーキ 力小

ブレーキ力大

ブレーキ 力小

1830V

図−5 軽負荷回生制御の変更パターン

 

回生電力の 有効活用

車両側の 方策

地上側の 方策

蓄電技術の活用 軽負荷回生制御の 最適化

変電所送り出し電圧 の適正化

送電ロスの低減

蓄電技術の活用 地上蓄電システム

・上下一括き電

・クロスボンド

・整流器更新

・変圧器タップ変更 車上蓄電システム 絞り込みパターンの 見直し

軽負荷回生制御の 最適化

絞り込みパターンの 見直し

図−7 地上側を含めた回生電力の有効活用策

               

0 2 4 6 8 10 12 14 16

西

エネ損失量kWh

近郊形電車(8両編成3M5T)新快速運用上り

現行制御 変更制御1

損失量低減

0 2 4 6 8 10 12 14 16

現行制御 変更制御1

損失量低減

図−6 制御パターン変更による省エネ効果

JR貨物では速達化、重牽引といった輸送サービス の向上のためコンテナ輸送体制の整備に力を入れて おり、車両面においても、コンテナの外法高さや荷 重の増大等の輸送効率アップを目指した要求に応え るべく、コンテナ車に改良を加えてきた。

平成18年度に、既存形式の各部を見直したコンテ ナ車としては8年振りの新形式となる、コキ107形式 コンテナ車の開発、試作を行った。今後は、平成20 年度に144両、さらに次年度以降も量産を予定して いる。本稿ではコキ107形式の概略について紹介する。

1.はじめに

現在、昭和62年度に試作したコキ100形式コンテナ車 を翌年度より量産化したコキ100系(コキ100〜105)が、

3,740両運用中で、JR貨物のコンテナ輸送の主力形式と なっている。コキ100系は、昭和46年度より量産された コキ50000形式を基本とし、コンテナの大型化に対応す べく積載荷重の増大および床面高さの低減、さらに最高 運転速度110km/hの列車設定のために電磁自動空気ブレ ーキの採用といった変更を加えたものである。その後、

国際間複合一貫輸送の拡大によってISO規格海上コンテ ナの輸送量が増したため、総重量の大きいISO規格コン テナに対応が可能なコキ106形式が平成9年度に開発さ れ、平成19年度まで1,162両が量産されてきた。

これらの形式においては製作年次によって逐次細部の 改良を行ってきたが、老朽車の取り替えを踏まえた将来

の車両計画における要求に合致することを目的として、

今回各部を見直した新形式コンテナ車を製作することと した。

2.コキ107形式の概要

(1)主要諸元

貨車は、従来より一部を除いて一両単位で運用するこ とが基本となっている。一時期、コキ100〜103形式では 4両、コキ105形式では2両を一ユニットとした構造を採 用したが、途中駅における解結作業に対して柔軟な運用 が困難なこと、故障時に正常な車両も運用停止となるこ と、またユニットによる車両長さに対応可能な検修箇所 の数が少ないことなどの理由により、現在は再び一両単 位の構造が主流となっている。このため、コキ107形式 でも1両単位の運用とした。また、列車組成や運転取扱 の面においては可能な限り汎用性を持つことが望まれる ため、本形式の車体の主要諸元は、現在の輸送ニーズに 合致しているコキ106形式のものを踏襲することとした。

一方、台車は構造面で保守低減や信頼性向上等に留意し た改良を加え、コキ200形式で実績ある方式とし、今後 の標準型コンテナ車となることを目指している。表に主 要諸元を示す。

(2)車体

車体の基本構造は従来のコンテナ車と同様に、左右の 側バリをマクラバリ、端バリ、横バリ等で結合した構造 である。コキ106形式車と同じようにISO規格の20ftコン テナ(総重量20.32t)の2個積載(車端寄り)、または同コ ンテナ(総重量24.0t)の1個積載(車体中央)を行うた

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