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八田 衛明

ドキュメント内 33308 (ページ 46-49)

HATTA Moriaki

特 集 車 両 技 術

写真−1 貨物列車牽引中のHXD3 形機関車

マスコンからのノッチ信号は速度指令を基本としてお り、TCMSで走行速度に対応した必要トルクを演算して 主変換装置に伝送している。

4.車体と機器配置

車体は箱型両運転台式で、機械室は両側に機器および 装置を搭載した中央通路式である。

主変換装置はコンバータ/インバータのグループを 3セット収納し、冷却用の複合冷却器とともに機械室内 の中央通路を挟んで2組配置している。また補助電源装 置は主変換装置と同じ筐体内に収納している。

主変圧器は1台で、車体中央床下に配置している。

冷却風はすべて屋根側面から取り入れている。主電動 機の冷却は個別に冷却用ブロワおよび慣性分離式フィル タを配置し、その冷却風の一部を機械室内の換気に使用 している。主変換装置のコンバータ/インバータのパワ ーユニットは水冷式を採用し、装置内の水ポンプで隣接 の複合冷却器を通して冷却水を強制循環する。主変圧器 は内鉄形送油風冷式で、油ポンプ2台による2冷却系統を 内部に構成しており、2台の複合冷却器にそれぞれが配 管で接続される。複合冷却器は水冷用放熱器と油冷用放 熱器を2段に配置し、共通のブロワで冷却を行う。

運転室は機密性と低騒音に配慮した構造とし、冷房装 置と暖房装置を設けている。運転台はFRPによる一体構 造で、日本の機関車と同様に運転席左手にブレーキハン ドルを、右手にマスコンハンドルを配置し、また運転情 報、故障情報、応急処置ガイダンスなどを表示するモニ タ表示器を設けている。

運転士の長時間乗務に配慮し、機械室内にユニット式 のトイレを配置している。

5.主回路システム

主回路は、主変圧器の2次巻線、コンバータ/インバー タ、主電動機を1つの駆動単位とした6群構成としている。

パンタグラフで集電した電力は、パンタ断路器、VCB

(真空遮断器)を介して主変圧器に供給される。主変圧 器の2次側は6巻線で構成されており、それぞれが単独に 主変換装置のコンバータに接続され、2次巻線からの単 相交流電力が直流電力に変換されて後段のインバータに 供給される。インバータはVVVF制御で、主電動機の駆 動に必要な三相交流電力を供給する。

コンバータ/インバータはともにIGBT素子を用いた2 レベル電圧形としているが、6群それぞれにおいて位相 差運転を行って高調波を低減している。また各群の直流 リンク部に接地検知装置を設け、異常時には該当群を開 放するようにしている。

3軸台車の中間軸の主電動機に対応する2群および5群 の駆動回路には地上側からの給電を受けるための外部コ ネクタを設け、庫内など架線のない所での低速移動を可 能としている。

6.補助回路システム

補助電源装置は主変圧器の3次巻線からの交流電力を PWMコンバータで直流電力に変換し、インバータで三相 交流に変換して負荷に供給している。コンバータ/イン バータはともにIGBT素子を用いた2レベル電圧形である。

図−1 HXD3 形機関車形式図

機関車にはこの補助電源装置を2セット搭載しており、

通常時には容量の大きい冷却用電動送風機駆動用とその 他の三相負荷の駆動用とに分担して運転している。また 補助電源装置はそれぞれVVVF制御とCVCF制御の両方 の機能を持っており、電動送風機駆動用にはVVVF制御 で運転して起動時の安定を図るとともに、停車時などに おいては半分程度の周波数に出力を制限して省電力と騒 音低減を図っている。

なお補助電源装置は、それぞれが全負荷に供給できる 出力容量を持って冗長性を図っており、故障時には残り の1セットの補助電源装置をVVVF起動−CVCF運転する。

7.台車

台車は3軸ボルスタレス台車で、牽引リンクを介して 駆動牽引力を車体に伝達する。軸箱支持は軸梁式である。

主電動機はサスコロ軸受を使用した釣り掛け式で台車に 装架され、また駆動装置は、はすば歯車、油潤滑方式を 採用している。

各車軸には一方の軸端に接地装置、もう一方の軸端に 滑走制御用のスピードセンサを取り付けている。また中 間軸の軸端には速度計発電機を併設している。

8.主電動機

主電動機は連続定格1,250kWの4極三相かご型誘導電 動機であり、小型・軽量化を実現するためにフレームレ ス構造を採用した。軸受は電食を防止するために絶縁軸 受を使用し、また駆動装置に採用したはすば歯車によっ て生じるスラスト反力を受けるため、4点接触軸受を反 駆動側に配置している。

9.ブレーキシステム

空気ブレーキ装置はディスクブレーキ方式を採用し、

新幹線などと同様にブレーキディスクを車輪の両側面に 抱かせている。また各軸に設けたスピードセンサにより 空気ブレーキ作用中は各軸単位に滑走防止制御を行う。

第1軸と第6軸のユニットブレーキには、ばね式の駐車ブ レーキを内蔵している。

ブレーキ制御装置は、バルブ類を配置した空気機器パ ネルのほか、各種信号のインターフェースユニット、滑 走防止制御装置、補助コンプレッサとその制御部を含め てユニット化している。

運転台にはブレーキ専用の表示器を備え、MR、BP、

BC圧などの圧力表示のほか、故障発生時にはその情報 を表示する。

10.TCMS(Train Control & Monitoring System)

機関車全体の制御はTCMSが行い、機関車の状態監視 と故障診断機能を併せ持つ。

TCMSは冗長性を確保するため2重系で構成し、また 重連制御はイーサネットにより他の機関車との情報伝送 を行う。

11.技術移譲と中国国産化

中国国産化に当たり、技術移譲資料の提出、日本にて 実施する技術トレーニング、現地にて指導する技術サー ビスを技術移譲契約に基づいて行った。また中国国産部 品の採用に際し、日方、中方合同による部品認定作業を 実施した。

12.型式試験

中国では、鉄道車両の型式試験を中国鉄道科学研究院 に委託することが慣例となっており、

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形機関車も 中国鉄道科学研究院の実施の下で完成機関車としての型 式試験および車体の強度試験などを実施した。

特に走行性能試験は北京環状試験線および鄭州地区の 営業線を使用し、約3ヶ月の期間を要した詳細なもので あった。

13.おわりに

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形機関車は現地国産にて増備が進められてお り、現在南京地区および武漢地区にてそれぞれ100両以 上が運用に投入されている。今年度も新たに400両の発 注が決まり、今後中国鉄道貨物輸送の基幹を担う機関車 として活躍が期待される。

写真−2 運転台

2007年4月18日、中国鉄道部は第六次速度向上を 実施し、日欧からの技術導入による200km/h級動車 組の大量投入により最高速度を従来の160km/hから 一気に引き上げるとともに、一挙に140往復もの都 市間輸送列車が誕生した。「動車組」は固定編成列 車を意味し、広くは機関車列車を含むが、今回の列 車はすべて電車列車であり、CRH(China  Railway High-speed)を冠する形式名で呼ばれている。本稿 では中国鉄道部が電車列車の導入に至る経緯を概観 し、日本の協力によるCRH2およびその他CRHシリ ーズ動車組の概要を紹介する。

1.日中鉄道協力の経過

高速鉄道に関する日中の技術交流は、中国で北京上海 高速鉄道計画が浮上したのち、1994年6月の北京での中 国高速鉄道セミナーから開始された。1995年4月にはい わゆる官民一体の北京上海高速鉄道計画協力推進委員会

(1997年に日中鉄道友好推進協議会に改組)が結成され、

実 行 ・ 支 援 部 隊 と し て の 海 外 鉄 道 技 術 協 力 協 会

(JARTS)、1996年4月設立のメーカー・商社による北京 上海高速鉄道計画日本連合(後に中国高速鉄道日本連合 に改称)とともに、高速鉄道セミナーの開催などの技術 交流を開始した。1998年4月には北京の人民大会堂にお いて鉄道部と推進協議会間で日中鉄道交流協定書が調印 され、高官の視察や若手技術者の研修、各種セミナーや シンポジウム、21件のテーマを定めた日中共同研究など が精力的に実施された。

2.中国の状況と変化

中国の近年の社会・経済情勢と鉄道の状況を概括する と次の様に見られる。

1990年代に入り、経済発展に対応して鉄道の輸送力増 強のため線路建設が盛んとなり、また近代化の柱として 産業の中心地帯である渤海湾沿岸、上海地区を結ぶ北京 上海高速鉄道が計画され、研究が開始された。

しかし、90年代半ばには急激な経済発展に伴う輸送力 の逼迫、特に産業に不可欠な貨物輸送力の増強が急務と なり、旅客輸送は貨物に押さえられながらの速度向上を 進める状況であった。

2000年代では全国規模での輸送力増強、特に旅客輸送 ネットワークの抜本的改善、地域間格差の解消が喫緊の 課題となってきた。

この間、中国鉄道の速度向上は、第一次として1997年 に初の全国規模の速度向上、3大幹線の140km/h化に始 まり、第二次(1998年)には最高160km/h化、140km/h 線区拡大など、第三次(2000年)では西部地域への波及 を含めた「四縦四横」主要路線の160km/h化を完成させ た。その後更に計画を拡大し、貨物と分離した旅客専用 線の建設を決定、200km/h用の在来線改良と旅客輸送専 用線、300km/h用の旅客輸送専用線の建設を進めている。

昨年の第六次速度向上時点では路線の最高速度ごとに 1 2 0 k m / h : 約 2 . 2 万 k m 、 1 6 0 k m / h : 約 1 . 4 万 k m 、 200km/h:約6000km、250km/h:846kmにまで拡大し た。2004年の鉄道網中期計画では年間で2000kmを超え る線路を建設し、2020年には全国の鉄道営業キロを10万 キロにする計画としている。

一方、本格的な200km/h〜300km/hを目指した高速車 両の開発は、ドイツICE1がベースの「中華の星」、新幹

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